スマホで使うSDカードは、どれくらいの容量(サイズ)が適切なのでしょうか。安いからと適当に選んでしまうと、後々「容量が足りない」といったことになりかねません。逆に大容量のSDカードを買ったものの、使いきれず無駄に高い買い物になってしまった、というのもありがちな失敗です。
この記事では初級ユーザー向けに、スマホ向けSDカードに必要な容量・スペック、おすすめ製品を紹介します。
スマホで使うSDカードにおすすめの容量とは?
現状、スマホで扱えるSDカードは「8GB」「16GB」「32GB」「64GB」「128GB」「256GB」「512GB」が一般的です(一部の機種では「1TB」も利用可能)。どの容量がベストかは個人のニーズや状況によって異なるので、「コレが正解」とは一概にはいえません。

あくまで筆者の個人的な意見ですが、万人におすすめしたいのは128GBタイプ。一般的なスマホの利用範囲であれば、内部ストレージ+128GBあれば大抵の用途において不足することはないと考えられるからです。
また、大容量でありながら価格が手頃というのも理由のひとつ(後述)。「SanDisk」や「Transcend」「Samsung」といった人気ブランドのSDカードも、128GBなら2000円程度で購入できます(Amazonの価格)。

とはいえ、この128GBというのはあくまで一般的なスマホの利用範囲での話です。動画クリエイターとして毎日ムービーを撮影する人や、ハイレゾ音源のアルバムを何枚もスマホに入れておきたい人は、容量が足りなくなるかもしれません。こういった人は、保存できる写真・動画・音楽の量から必要な容量を推定するのが最も分かりやすいでしょう(後述)。
もうひとつ指標となるのは、端末の内部ストレージの容量です。ここ数年以内に販売されているスマホの内部ストレージ容量は、64GB・128GB・256GBが一般的。このうち内部ストレージの容量が64GBしかない人は、想定する使用量よりもワンランク上の容量を選択するのがおすすめです。
SDカードの容量を選ぶときに着目したいポイント
ここからは、スマホで使うSDカードの容量の選び方を初心者向けにわかりやすく解説します。
スマホにSDカードの容量制限が設けられていないか
スマホの機種によっては、使用できるSDカードの容量が制限されている場合があります。

Xperia 5の仕様書

Xperia 5 Ⅱの仕様書
たとえば、2020年に発売されたXperia 5Ⅱは、最大1TB(1テラバイト=1000GB)までのSDカードを使用できますが、2019年発売のXperia 5は最大512GBまでしか対応していません。
対応していない規格のSDカードを入れると、認識されなかったり、正常に動作しなかったりする恐れがあります。特に少し古めのスマホ用にSDカードを購入する際は、あらかじめ公式サイトなどで端末の仕様書を確認するのがおすすめです。
どのくらいの写真・動画・音楽を保存できるか
続いて、容量ごとに保存できるおおよその写真枚数・動画時間・楽曲数を紹介します。自身のニーズに合わせて、SDカードに必要な容量を推定しましょう。
保存できる写真枚数の目安

500万画素 | 1000万画素 | 1800万画素 | |
---|---|---|---|
8GB(SD) | 5080枚 | 2375枚 | 1200枚 |
16GB(SDHC) | 1万160枚 | 4750枚 | 2400枚 |
32GB(SDHC) | 2万330枚 | 9510枚 | 4810枚 |
64GB(SDXC) | 4万670枚 | 1万9020枚 | 9620枚 |
128GB(SDXC) | 8万1350枚 | 3万8050枚 | 1万9250枚 |
256GB(SDXC) | 16万2710枚 | 7万6100枚 | 3万8510枚 |
512GB(SDXC) | 32万5420枚 | 15万2210枚 | 7万7030枚 |
キオクシアのSDカード紹介ページより引用
容量ごとに保存できるおおよその写真枚数は上表の通り。「写真」と一口にいっても、カメラで撮影した写真に加え、アプリ経由でダウンロードした画像や友達から共有された写真、スクリーンショットなどあるので、数万枚くらいは意外とすぐに溜まってしまうもの。
最近のスマホは高性能なカメラを内蔵しているケースも多く、昔と比べて写真1枚あたりのファイルサイズも肥大化しがちです。余裕をもって128GB以上あるといいかもしれません。
保存できる動画時間の目安

HD動画 | フルHD動画 | 4K動画 | |
---|---|---|---|
8GB(SD) | 1時間20分 | 45分間 | 14分 |
16GB(SDHC) | 2時間40分 | 1時間30分 | 19分 |
32GB(SDHC) | 5時間20分 | 3時間 | 39分 |
64GB(SDXC) | 10時間50分 | 6時間10分 | 1時間18分 |
128GB(SDXC) | 21時間50分 | 12時間20分 | 2時間37分 |
256GB(SDXC) | 43時間40分 | 24時間50分 | 5時間14分 |
512GB(SDXC) | 87時間15分 | 49時間50分 | 10時間29分 |
キオクシアのSDカード紹介ページより引用
容量ごとに保存できるおおよその動画時間は上表の通り。HD/フルHD/4Kと、動画の画質によってファイルサイズは大きく異なります。
現状多くのスマホでフルHD(フルハイビジョン)動画を撮影できますし、4K動画対応のスマホも少なくありません。動画を撮影する機会が多い人は、128GB以上の大容量タイプを持っておくと安心でしょう。
保存できる楽曲数の目安

圧縮音源 | ハイレゾ音源 | |
---|---|---|
8GB(SD) | 680曲 | 30曲 |
16GB(SDHC) | 1365曲 | 63曲 |
32GB(SDHC) | 2730曲 | 126曲 |
64GB(SDXC) | 5461曲 | 252曲 |
128GB(SDXC) | 1万922曲 | 504曲 |
256GB(SDXC) | 2万2016曲 | 1016曲 |
512GB(SDXC) | 4万3690曲 | 2016曲 |
- WALKMAN®公式ミュージックストア「mora」のダウンロードサイズを参考に算出
- 圧縮音源:1曲4分で12MB (AAC-LC/320kbps)
- ハイレゾ音源:1曲4分で260MB (FLAC/96.0kHz/24bit)
容量ごとに保存できるおおよその楽曲数は上表の通り。AACやMP3といった形式で圧縮されたタイプなら、音質を保ちつつも、ファイルサイズはかなり小さくなります。32GB〜64GBもあれば、十分な楽曲数を保存できるでしょう。
一方、無圧縮のいわゆる「ハイレゾ音源」の場合、1曲あたりかなりの容量を消費します。すべてハイレゾ音源で揃える場合、64GB以下では収まらないかもしれません。
SDカードの寿命(読み書き可能回数)
SDカードの容量は、もちろん大きいに越したことはないでしょう。しかし、だからといって単に最大量を選ぶのが正解というわけでもありません。SDカードには「寿命」があるからです。

SDカードは「一度買えばずっと使える」と思われがちですが、実は消耗品です。どのメーカーのSDカードにも「読み書き可能回数」が定められており、上限回数に達するとデバイスで認識されなくなったり、データの保存ができなくなってしまうといわれています。
一般的に広く使用される、耐久性に特化していないSDカードの書き換え可能回数は、およそ1000〜1500回程度。1日1回SDカードに保存したとすると、3年〜4年くらいで寿命が訪れます。

たとえば「1TBタイプ」を購入したとして、4年以内にその容量をすべて使い切れるでしょうか。人によってはデータ量を持て余して、無駄にコストがかかってしまう可能性もあるでしょう。
SDカードは永久に使えるアイテムではありません。数年で買い替えることを前提に、過不足なく使い切れる適切な容量を選ぶのが大事というわけです。もしくは少し割高にはなりますが、書き込み可能回数が多く設定された高耐久タイプのSDカードを選ぶのも手です。
容量ごとの価格
以下は、Amazon.co.jpで販売されている「SanDisk」「Transcend」「Samsung」のSDカードの価格を元に、編集部で算出した平均価格です。
容量 | 平均価格 |
---|---|
16GB | 1248円 |
32GB | 1550円 |
64GB | 1246円 |
128GB | 1978円 |
256GB | 4360円 |
512GB | 9110円 |
1TB | 2万4560円 |
いずれもスタンダードタイプの価格で算出(プロタイプ、高耐久タイプは除外)
SDカードの値段は一般的に容量が大きいものほど高額になりますが、上表のとおり16GB〜64GBまではさほど変わらず、128GB以降は容量が増えるごとに約2倍ずつ値段が高くなる傾向にあります。
128GBは2000円程度とまだ手を出しやすい価格であるものの、ワンランク上の256GBだと値段は4000円近くに。「128GB」が手頃な価格で買えるSDカードのボーダーラインだと考えていいでしょう。
なお、費用を抑えたいなら、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどで買うのがおすすめ。もちろん、ヨドバシカメラやビックカメラといった家電量販店の店頭でもSDカードは売っていますが、かなり割高です。
Amazon | ビックカメラ | |
---|---|---|
64GB | 1249円 | 5090円 |
128GB | 2048円 | 8690円 |
256GB | 3830円 | 1万4600円 |
上表は、同じ「SanDisk Ultra」の値段をAmazonとビックカメラで比較したものです(2022年8月時点)。見て分かる通り、同じ製品でもビックカメラのほうが3倍ほど割高になっています。

Amazonの場合、出荷元と販売元はカートボタンのすぐ下に表示される
ただ、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといった通販サイトで購入する場合は、必ず販売元(出品者)を確認し、実績や口コミ・評価などをしっかりとチェックした上で購入してください。まれに、偽造品や粗悪品が紛れ込んでいることがあると聞きます。
Amazonで購入する際は「Amazon.co.jp」が販売・発送する商品を選ぶことをおすすめします。万が一届いたSDカードがニセモノや粗悪品だったとしても、Amazon.co.jpが販売・発送する商品であればスムーズに返品できるからです。詳しくは以下の記事で解説しています。
SDカードの読み書き速度(スペック面)
容量以外でSDカードを選ぶ指標となるのが、データの保存速度・読み込み速度といったスペック面です。

緑:UHSスピードクラス/青:UHS規格/黄:ビデオスピードクラス/赤:アプリケーションパフォーマンスクラス
SDカードの読み書き速度は、表面の「C」や「U」に囲まれた数字、「V」「A」横の数字、またローマ数字(Ⅰ〜Ⅲ)で示されます。おおよそ、記載されている数字が大きいほどデータの保存や読み込みが素早くできる、と考えてもらえればよいでしょう。
SDカードの読み書き速度は早いに越したことはありませんが、個人的にはスマホで使う分にはそこまで高いスペックは必要はないと筆者は考えます。

そもそもSDカードの読み書きスピードは、主にデジタルカメラでの高速連写や高性能ビデオカメラでの4K動画撮影などで要求されるものです。
スマホ内蔵のカメラも性能が向上しているのは確かですが、さすがに専用機材と同じレベルに達しているわけではありません。高い値段を払って最高スペックのSDカードを買っても、現時点のスマホではオーバースペックになってしまい、かけたコストが無駄になってしまう恐れがあるというわけです。

普通のスマホで使うなら最低限上記3つのマーク(SDスピードクラス10・UHSスピードクラス1・UHS規格)が確認できれば十分だといえます。逆に上記3つのマークがない場合は、SDカード自体が少し古い製品(型落ちや在庫処分など)の可能性があるので避けるのが無難でしょう。
これに加えて、Xperiaのハイエンドモデルを使っている場合はビデオスピード30、Galaxyシリーズを使っている場合はアプリケーションパフォーマンスが保障されていると安心かもしれません(必須ではない)。
「SDスピードクラス」について詳しくチェック

「SDスピードクラス」は、SDカードにおけるデータ書き込み/読み出しの「最低速度」を保証するものです。
現在、「SDスピードクラス10」を満たすことはもはや当たり前になっているため、カードへの記載を省略する製品も多いです。
最低書き込み速度 | スピードクラス |
---|---|
10MB/秒 |
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6MB/秒 |
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4MB/秒 |
![]() |
2MB/秒 |
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Cの中にある数字がそのまま1秒間あたりに転送できるデータの大きさを示しており、この数字が大きくなるほど転送速度が速くなります。
たとえば「C10」と書かれている場合、そのSDカードは最低でも1秒間に10MBのデータを転送できることが保証されています。
「UHSインターフェース/UHSスピードクラス」について詳しくチェック

ローマ数字で表されるのが、読み書きの最高速度を保証するUHSインターフェイス(バスインターフェーススピード)」、U字に数字をあしらっているのが読み書きの最低速度を保証する「UHSスピードクラス」です。
UHSインターフェイス | UHSスピードクラス | 転送速度(最低) | 転送速度(最大) |
---|---|---|---|
UHS-I |
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30MB/秒 | 104MB/秒 |
![]() |
10MB/秒 | ||
UHS-II |
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30MB/秒 | 312MB/秒 |
![]() |
10MB/秒 |
※他にUHS-III(624MB/秒)があるが、実際に市場に出回っていないため割愛
前述した「SDスピードクラス」との違いは、いずれもデバイス側(スマホ)の適応を前提とした規格であること。たとえば「UHS-I」「U3」の性能があるSDカードでも、スマホ側が「UHS-I」に適応していない限り、上表の速度は出ません。
現状、UHS-Ⅱに対応しているスマホはほとんどありませんが、UHS-Iへの対応を明記するスマホは増えています。UHS-Iに対応しているSDカードを選んでおけば間違いないでしょう。
「ビデオスピードクラス」について詳しくチェック

ビデオスピードクラスも、SDカードの読み書き速度を保障する規定のひとつ。
2016年から運用が開始された比較的新しい規格で、Videoを表すアルファベットVの横にある数字が、そのままSDカード読み書きの最低保証速度を示します。
SDスピードクラス | UHSスピードクラス | ビデオスピードクラス | 対応動画フォーマット | |
---|---|---|---|---|
90MB/秒 |
![]() |
8K/4K/フルHD/HD/スタンダード | ||
60MB/秒 |
![]() |
4K/フルHD/HD/スタンダード | ||
30MB/秒 |
![]() |
![]() |
フルHD/HD/スタンダード | |
10MB/秒 |
![]() |
![]() |
![]() |
スタンダード |
6MB/秒 |
![]() |
![]() |
||
4MB/秒 |
![]() |
|||
2MB/秒 |
![]() |
8Kなら「V90」、4Kなら「V60」、フルHDなら「V30」といったように画質ごとに最適なクラスが規定されているのが特徴です。とはいえ、これはあくまでも目安です。V10のSDカードでも4K動画の録画はできます。
動画を撮影する機会が多い人は、少なくともV30以上を目安にするといいでしょう。
「アプリケーションパフォーマンスクラス」について詳しくチェックする

アプリケーションパフォーマンスクラスは、唯一スマートフォン向けのスピード規格です。Aの横に数字をあしらった記号で示されます。
ざっくり言えば、スマホアプリをSDカードに保存したときに快適に操作できる速度を規定したものです。
A1 | A2 | |
---|---|---|
ランダムリード | 1500 IOPS | 4000 IOPS |
ランダムライト | 500 IOPS | 2000 IOPS |
シーケンシャル | 10MB/秒 | 10MB/秒 |
IOPS(Input/Output Per Second)=1秒間に何回のデータ書き込み/読み出しが可能かを表す指標
通常、SDカードに保存したアプリは起動が遅くなったり、不具合が生じたりといったトラブルが発生しがちですが、A1/A2が記載されたSDカードはデータのやりとりがスムーズであることが保証されているので、アプリを快適に操作できるのです。
しかし2022年8月現在、SDカードへのアプリ移動を標準機能として搭載しているのはGalaxyシリーズなど一部機種に限られます。ほとんどのAndroidスマホはアプリをSDカードに保存できないので、そこまで重要視する必要はありません。