妖怪のいる街、鎌倉の不思議な魅力に酔いしれ、永遠の愛で泣く──映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』 U-NEXTで見放題

監督は『三丁目の夕日』の映画化を手がけた山崎貴氏

鎌倉は不思議な土地です。都心から1時間ちょっとで行ける場所ですが、都会とは時間の流れ方が違います。古いものと新しいものが混在していて、独特の雰囲気があります。

『DESTINY 鎌倉ものがたり』は、そんな鎌倉という街の魅力をファンタジックに描くともに永遠の愛を謳い上げたラブストーリーです。原作は西脇良平氏の漫画『鎌倉ものがたり』、監督は同じ西脇氏の『三丁目の夕日』の映画化を手がけた山崎貴監督です。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』では昭和初期の日本の景色をCGで再現した山崎監督ですが、本作では、魔物や妖怪が人間と共存している街として鎌倉を捉え、死後の世界も登場させるなど、摩訶不思議で懐かしく感じさせる映像を作り上げています。

妖怪がいても不思議じゃない街、鎌倉の魅力が全開

鎌倉に居を構えるミステリー作家・一色正和(堺雅人)に嫁いできた亜紀子(高畑充希)は、正和との新婚生活に夢を膨らませています。しかし、この鎌倉では妖怪や魔物が人間と共存している世界で、亜紀子にとっては驚くことばかり。しかし、正和との新婚生活は概ね平和で、お手伝いのキンさん(中村玉緒)とも仲良くなるなど、次第に環境に溶け込んでいきます。

ある日、祭りで亜紀子と正和は奇妙な松茸を買うのですが、それは人間にとっては毒であるため、2人はあやうく魂が抜けかけてしまう体験をします。その日以来、奇妙な出来事が2人の周囲には起こるようになり、2人の生活は一変してしまうのです。

山崎貴監督と言えばCGによる映像作りで有名で、本作でもその手腕を発揮しているのですが、ロケ地の鎌倉そのものの魅力もふんだんに取り入れています。有名な江ノ電も度々登場させ、物語の中で重要な役割を果たしますし、CGを使っていないシーンでも古い町並みの独特の佇まいを感じさせます。

CGによる妖怪や魔物の描写も、人間社会の中にいる存在として絶妙なデザインになっていて、リアリティを損なっていません。妖怪が本当にいそうな雰囲気が漂っているのが鎌倉という街であり、この街でないと描けない物語であると言えるでしょう。

死後の世界と想像力の力と永遠の愛

主人公の一色正和を演じるのは、実力派俳優の堺雅人。和装に身を包んだミステリー作家という役どころで、彼のコミカルさと繊細さが両面出ていて、堺雅人にしかできない形で難役を演じています。妻の亜紀子役の高橋充希も、コメディ演技が得意な彼女らしい芝居を見せてくれます。

本作では死後の世界も登場しますが、そこは訪れた人によって違ったイメージで見えるという設定がユニークです。主人公が作家という職業であることも重要です。死後の世界で、愛する妻を取り戻そうと奮闘する正和ですが、この世界では想像力によって武器を作ったり、足場を生み出したりと、イメージをすることがなによりも大切。想像力の力によって愛するものを救う物語なのです。人の想像力と愛の素晴らしさを描く、素敵な和風ファンタジー・ラブストーリーです。

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