AQUOSシリーズのフラグシップモデル「AQUOS zero(アクオスゼロ)」が登場しました。ここのところ新型iPhoneやPixel 3など矢継ぎ早に多くのスマホがリリースされているため、あまり目立っていませんが、非常に完成度の高いモデルです。
独自のデザイン性や世界最軽量ボディ、自社製有機EL搭載など見どころも多く、詳しくレビューしていきますが、記事執筆時点ではソフトバンクのみの取り扱いです。発売は2018年12月21日で、価格はソフトバンクオンラインショップの一括で9万9840円となっています。
(2019年4月3日更新)
SIMフリーモデルも登場し、2019年4月9日以降、MVNO各社などから順次発売されます。
世界最軽量という新しいコンセプト
AQUOS zeroは、6.2インチディスプレイを搭載する大型のスマホながら、“世界最軽量”という軽さがコンセプトになっています。とはいえ、当然ですがサイズの条件があり6インチ以上のディスプレイを採用し、3000mAh以上のバッテリーを搭載しているモデルの中では最軽量、としています。
実際に製品を手にすると非常に軽く、ちょっと驚くでしょう。参考までにiPhone XS Maxと比べてみました。なお、今回は試作モデルをレビューしているので、外観を含む各部や性能などが異なる可能性があります。
ディスプレイ | サイズ | 重量 | |
---|---|---|---|
AQUOS zero | 6.2インチ | 154×73×8.8ミリ | 146グラム |
iPhone XS Max | 6.5インチ | 157×77.4×7.7ミリ | 208グラム |
ディスプレイのサイズが異なるため単純な比較はできませんが、それにしてもAQUOS zeroが非常に軽いことがわかります。これだけ軽量だと、ポケットに入れていても負担が軽減されます。また、長時間手に持って使っていても楽です。万が一落としてしまった際にも、軽いほうが壊れにくいはずです。
左のiPhone XS Maxと比べると、AQUOS zeroは若干小ぶりだが非常に軽い
モノ好きなユーザーにおすすめのデザイン
最近のスマホはガラスや金属のバックパネルを採用しており、硬く重量のある素材で高級感を打ち出しています。
では、軽さを追求したAQUOS zeroは安っぽいのでしょうか? そこが一つの重要なポイントです。おそらくプラスチックで作ると軽くはできますが、高級感や剛性感は担保できません。そこで、背面のパネルには「アラミド繊維」が使われています。スチール繊維やガラス繊維よりも大幅に軽く、防弾チョッキなどにも使われています。デュポン社が商標を持つ「ケプラー」もこの繊維のカテゴリに含まれます。
AQUOS zeroの背面は織り目模様が魅力的なデザインになっていますが、これがアラミド繊維独特の模様で、「カーボン柄だ」と思う人もいるかもしれません。手触りは硬めの樹脂のようで、ガラスや金属と違ってひんやりとはしていません。しかし、多少力を加えたくらいではほとんどたわむこともなく、その強さがよくわかります。
このように軽さを実現する素材ですが、見た目の素敵さも見逃せないところで、モノが好きなユーザーにはたまらないデザインです。また、人と違ったスマホを探している人にもおすすめです。
AQUOSシリーズは、本体のサイドのデザインを工夫して机の上から持ち上げやすくしていますが、AQUOS zeroもスリットを入れることで持ちやすくなっています。
箱も男っぽいデザイン
背面はアラミド繊維の意匠を生かしたデザイン
折り目模様とマットな手触りが素敵だ
本体の側面は凹凸のある形状でテーブルの上から持ち上げやすい
ディスプレイはつややかで美しい
シャープは、そもそも液晶に力を入れてきたメーカーです。そんな同社が、初めて有機ELを搭載したスマホAQUOS zeroを投入しました。有機ELもシャープの自社製です。
気になる画質などは後述しますが、まず目を見張るのがその形状です。多くのスマホのディスプレイは平らです。またGalaxyシリーズなど、一部の有機ELモデルは左右の液晶面がラウンド形状を描いています。つまり角(カド)が丸みを帯びているわけです。
ところが、AQUOS zeroはカドが丸みを帯びているだけでなく、液晶全体がゆっくりとアールを描きます。つまり、背面のように柔らかなアールを描くスタイルなのです。光の反射が美しく、今までのスマホとは違う外観となっています。指でスライド操作をしている時にも、カドっぽさを感じることがなくスムーズに作業できます。見た目も手触りもとても良いデザインです。
ディスプレイが点灯していない状態でも非常に美しい
AQUOS zeroは横から見るとディスプレイがラウンドしていることがよくわかる
iPhone XS Maxはディスプレイがフラットだ
ラウンドしていることがよくわかる。なお、充電などはUSB-C端子で行う
有機ELは精細だが輝度でiPhone XS Maxには及ばず
AQUOS zeroのディスプレイは6.2インチで、2992×1440ドットと超高解像度です。iPhone XS Maxは6.5インチの2688×1242ドットなので、精細さではAQUOS zeroが勝っています。
どちらも有機ELで文句なしの美しさですが、あえて両者を比べると、輝度でiPhone XS Maxが上回っています。ただ、最高輝度にして使い続けることは少ないので、明るければよいわけではありませんが、明るい屋外で見る時にはずいぶん差があります。
AQUOS zeroは色の再現性にこだわっており、自然で鮮やかな色合いです。ただ、この点はiPhone XS Maxも文句なしです。両者ともに美しくて満足できるでしょう。ウェブページを見ているだけでも、文字のキレが液晶に比べて優れています。やはり高級モデルは有機ELであるべきです。
左:iPhone XS Max、右:AQUOS zero。iPhone XS Maxのほうが輝度では勝っている
斜めから見ても明るさが変わりにくいのが有機ELのいいところだ(左:iPhone XS Max、右:AQUOS zero)
どちらも文字がくっきりしてる(左:iPhone XS Max、右:AQUOS zero)
性能は最高クラスで高速レスポンス
AQUOS zeroは、昨今の上位モデルがこぞって採用するSnapDragon 845を搭載しています。シャープの上位モデルは以前から放熱に力を入れていて、温度が上がることによる性能ダウンをできるだけ防ごうとしています。
ベンチマークのスコアは大変立派で、文句の付けようがありません。実際に作業してみると非常にレスポンスがよく、古いスマホを使っているユーザーは驚くはずです。アプリの起動が速く、ブラウザでページを開くだけでもテキパキとしています。
なお、OSはAndroid 9.0 Pieを採用し、発売日から2年間、最大で2回のバージョンアップに対応することをアナウンスしています。Androidスマートフォンとしては素晴らしい対応ですが、Pixel 3シリーズには及びません。また、iPhoneはさらに長く使えます。
なお、おサイフケータイと防水には対応しますが、テレビの視聴はできません。東京オリンピックなど、テレビをスマホで見たいと思っているユーザーはチェックすべきポイントです。
性能は文句なし
シングルカメラながら画質は上々
カメラは2260万画素のシングルです。ここ最近はダブル、トリプルカメラが当たり前になってきた印象がありますが、Pixel 3をはじめ、シングルカメラでも美しく撮れるスマホも登場しています。カメラの数か多いからよいわけでもありません。
AQUOS zeroとiPhone XS Maxを比較してみましたが、どちらも美しく撮影できています。普通にスナップ写真を撮るカメラとしてはどちらも大満足でしょう。iPhone XS Maxはf/1.8、AQUOS zeroはf/1.9と、絞り値もさほど変わりません。
個人的には、色合いはiPhoneのほうが好みだと感じました。また、背景をぼかした写真を撮ると、大きな違いがあります。iPhone XS Maxはすぐに撮影できて非常に美しく仕上がります。AQUOS zeroは、しばらくカメラを動かさないように保持していなければなりません。また、ぼけ具合もいま一歩でした。
カメラの撮影メニューは相変わらずわかりやすい。背景ぼかしにも対応する
暗所撮影

暗い室内での比較ではiPhone XS Maxのほうが明るく撮れているが、AQUOS zeroも合格点だ
通常撮影

公園で遊具を撮影。iPhone XS Maxのほうが色合いが好ましい
近接撮影

花の撮影ではAQUOS zeroがやや暗かった
背景ぼかし

背景をぼかすと大きな差が出た
まとめ
iPhone XSシリーズやGoogleのPixel 3などが登場し、スマホが活況を呈しています。話題性という意味ではAQUOS zeroはそれほど目立ちませんが、完成度が高く非常によい製品です。
軽くて持ちやすい上に、好きな人にはたまらないデザインで、大人っぽい外観のスマホを探しているユーザーにも推奨します。また、性能が高いのでヘビーなゲームも快適に楽しめるはず。他の人と違ったスマホを使いたい人にはおすすめです。残念なのが、キャリアがソフトバンクに限られることでしょう。もう少し選択肢が広くなることを期待したいところです。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部