男と女は親友になれるか。
これは永遠の命題ですよね。筆者は、男女にも友情は成り立つと思っているのですが、みなさんはどうでしょうか。
映画『あと1センチの恋』は、そんな永遠の問いに挑戦した作品です。人の数だけ正解があるので、この映画が描くものがすべてというわけではありませんが、とても素敵な結末のラブストーリーです。
小さい頃から幼馴染で、兄妹のように育った2人の男女が、18歳の高校卒業を迎えて別々の道を歩む事になり、大人になっても「親友」であり続けながらも、お互いに秘めた想いを持ち続けて過ごす12年間の歩みをロマンティックに描いています。
幼馴染への友情が愛に変わる時
ロージー(リリー・コリンズ)とアレックス(サム・クラフリン)は、イギリスの片田舎で生まれ育った親友。お互いを親友と思って過ごしてきた2人は、ボストンの大学に進学する夢を語り合います。しかしある日、ロージーが望まぬ妊娠をしていまいます。そのことをアレックスに言い出せず、アレックスはボストンの大学に進学してしまいます。ロージーの家庭はカトリックであるため、中絶はせず、生まれてすぐに里親にだすことにします。
しかし、生まれてきた我が子を抱いたロージーは、赤ちゃんが愛しくなり、里親に出すのを取りやめ、自分で育てることを決意。ボストンに進学し、ホテル経営を学ぶ夢も諦め、シングルマザーとして子育てをすることになります。一方、アレックスは素敵な女性と出会い、恋人関係に。2人は、たまの帰国で会うことはあっても、深入りせず、それぞれの人生を歩むことになります。ロージーは、娘のケイティと両親と仲良く暮らしながら、ホテルで清掃の仕事に就き、アレックスも自らの人生を歩みます。それぞれを応援したいのに、どこか素直に応援できない自分に気が付きながらも、お互いの気持ちがすれ違いながら、時間が過ぎていきます。
ロージーの娘・ケイティも年頃になり、男の子の「親友」ができた頃、アレックスは高校の同級生でモデルとして活躍するベサニーと再開して結婚することになります。そして、ロージーは結婚式で介添人をすることを頼まれます。ロージーは複雑な気持ちを抱えながら、アレックスを祝福します。
お互いが一番大事な人だとわかっているけど、それを言い出せない2人。もどかしくもありますが、一番近くにいる人だからこそ、その関係を壊したくないという2人の気持ちも痛いほどよく分かる映画です。
憧れのボストン暮らしを諦めて、子育てに専念しながらも、夢を諦めないロージーの強さが光ります。常に前向きな彼女の生き方には男女問わず多くの人が共感してしまうでしょう。
男女の友情と愛を描いた名作たち
男女の友情をテーマにした映画は数多く存在します。恋愛映画の鉄板テーマと言ってもいいですよね。
例えばメグ・ライアン主演の名作『恋人たちの予感』も男女で親友だと思っている2人が11年間、すれ違いながらを最後に結ばれる様を描いていました。本作も12年という長い時間の経過を経た物語なのですが、それだけ長い間、想い合あえる相手がいるというのは素敵なことですね。
他にもジュリア・ロバーツ主演の『ベスト・フレンズ・ウェディング』では、一度別れた後に友人同士になった男女が、男が結婚することが決まってから女性が想いに気づくという展開。別れた後も仲良くできる男女の関係も筆者はとても素晴らしいものだと思います。
男女の友情ものは最後に結ばれるだけではありません。台湾の人気恋愛映画『あの頃、君を追いかけた』では、悪友の男子たちと1人の女子生徒の恋愛とも友情ともつかぬ関係から、愛が芽生えるも女性は別の男性と結婚。しかし、男子たちは彼女の結婚式で想いを打ち明けながらも彼女の門出を盛大に祝福します。結ばれなかったとしても、青春の輝やかしい想い出を胸に主人公の男性は小説家となるのですが、こういう結末もまた素敵なものですね。
あなたにはこのような経験はありますか。男女の友情はあるでしょうか。愛にしろ、友情にしろ、お互いを思いやる気持ちは美しいものだと筆者は思います。
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構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部