AndroidスマホのOSは、その名の通り「Android」です。各メーカーが、それぞれの製品に合わせてカスタマイズしているので、見た目や機能はずいぶん異なりますが、実は同じ基本ソフトを採用しているのです。
「Android One(アンドロイドワン)」は、端末メーカーがほとんどカスタマイズしていない、素に近いAndroid OSを採用したモデルです。シンプルでテキパキと動作し、また最新のバージョンに素早くアップデートされるのが特徴となっています。
発売から24カ月間に最低1回のアップデートがされ、また発売後3年間は毎月セキュリティアップデートが行われます。シンプルなスマホを快適に使いたい人に向くモデルです。ベテランユーザーの人気も高く、特にGoogle製のアプリを頻繁に使う人には向いています。もちろん、ストアからさまざまなアプリをダウンロードして利用することも可能です。
国内では、Android Oneに力を入れているのがY!mobile(ワイモバイル)で、定期的に新製品を投入しています。今回はこの冬に追加されたシャープ製の「S5」とLG製の「X5」を詳しくレビューしていきます。
【S5】持ちやすいがデザインに目新しさがない
Android Oneの「S5」はシャープ製の端末で、価格は一括払いで5万3676円となっています。「AQUOS sense2」などと似たシャープらしいデザインで、全体に丸みを帯びた持ちやすい形状です。本体カラーは、クールシルバー、ダークブルー、ローズピンクの3色になります。
「AQUOS sense2」レビュー、おサイフケータイ搭載でSIMフリー版も登場の人気モデル
ちょっと残念なのは、上下の額縁が盛大に残っていること。最新モデルと比べると、外観に新しい印象がありません。画面下にも太い縁(フチ)があるのに指紋センサーを採用しないのは、大きな弱点と言えるでしょう。ピンやパターンでロックを解除するしかないのです。
ディスプレイはワイドの5.5インチで、最近のモデルとしてはコンパクトで持ちやすくなっています。また、本体側面にはあまり目立ちませんが、山型の突起があり、テーブルの上などで持ち上げやすくなっています。これもシャープらしい造りです。
ディスプレイもシャープ製のIGZOで、かなり明るく色合いも美しいので満足して使えるはずです。ただしガラスは平面のタイプで、フチが丸まっている2.5Dではありません。ディスプレイについて詳しくは後述します。
シャープらしいデザインのS5
シンプルなスタイルだが、デザインには目新しさがない
わかりにくいのだが、本体の側面には緩やかな突起があって持ちやすくなっている
ディスプレイのガラスは平面タイプだ
【S5】性能は高くないミドルレンジモデル
OSは最新のAndroid 9を採用しており、Android Oneらしくテキパキと動作します。普通に使って遅い感じはありませんが、CPUはSnapdragon 450と中級クラスで、ベンチマークのスコアも振るいません。
RAMが3GB、ストレージ容量も32GBと少なめで、メールやSNS、ブラウザなどを中心にシンプルに使う人に向いています。ゲームをプレイするのが目的ならおすすめはしません。
防水には対応しますが、おサイフケータイも搭載しないのは、シャープ製の端末としてはとても残念です。SIMはnanoSIM1枚をセット可能で、microSDカードの増設にも対応しています。
セットできるのはnanoSIMで、microSDカードの増設にも対応
ベンチマークのスコアは高くないのでライトユースに向く
【X5】狭額縁デザインでちょっと高価な上位モデル
LG製のAndroid One「X5」は、一括購入で8万3484円の上位モデルです。10万円クラスのスマホより、少し安い位置づけです。ディスプレイは6.1インチの大画面モデルで、額縁が細い最近のスマホらしいデザインです。本体の質感は高く、2.5Dガラスを採用している点も最近のモデルらしいところ。本体カラーは、ニューモロッカンブルーとミスティックホワイトの2色です。
本体側面は金属製で、ダイヤモンドカットが施されており、光が当たるとキラキラと輝きます。好ましい仕上げですが、最近はこの手の仕上げが少なくなっており、やや古く感じます。ディスプレイ上部にはノッチが残っていますが、さほど幅は広くないので気にならないでしょう。
本体の左側に「Googleアシスタントボタン」を搭載しています。このボタンを1度押すとGoogleアシスタントが起動し、2度押しでGoogleレンズが起動します。Google製のサービスを頻繁に使うなら便利なボタンです。
狭額縁でいまどきのデザインのX5
背面のデザインはシンプルで、わかりづらいがカメラはシングル
下のボタンがGoogleアシスタントボタン
縁(フチ)が丸まっている2.5Dガラスを採用
【X5】性能は上々でおサイフケータイを採用
X5はなかなかよくまとまった構成で、CPUはSnapdragon 835です。性能は上々で、ヘビーなゲームも快適に使えるでしょう。ベンチマークのスコアも高く、2〜3年使ってもさほど遅さを感じないはずです。
残念なのがストレージが32GBしかないことです。写真や音楽などはmicroSDカードに保存するとしても、アプリをたくさんインストールするのには向きません。OSもAndroid Oneなので、やはりシンプルに使いたい人向けです。SIMはnanoSIMを1枚セットできます。
防水に対応するほか、おサイフケータイも搭載しているので、メインの端末としてもおすすめできます。
ゲームも楽しめるスコアを記録した
わかりにくいが下のほうに、おサイフケータイのマークがプリントされている
nanoSIMを1枚とmicroSDカードをセットできる
【S5・X5】ディスプレイはどちらも明るい
今回は、iPhone XS Maxとディスプレイのサイズや明るさを比較してみました。そもそもS5とX5は液晶で、iPhone XS Maxは有機ELなのでディスプレイ自体が違います。15万円クラスの最上位モデルとの差がどのくらいあるのか、確認してみましょう。
正面から見ると、どれもモデルも相当に明るいことがわかります。特にX5は、最大1000nitという明るいディスプレイを採用しているのが特徴の一つです。通常の明るさ調整に加え、ブースとすることで最高輝度になり、明るい屋外などで緊急で使うのに向いています。S5、X5ともに液晶なので、斜めから見るとiPhone XS Maxにかないませんが、価格差を考えれば文句なしです。
なお3台を並べると、S5の5.5インチディスプレイがとても小さく感じます。そのぶん持ちやすいわけですが、情報量や文字サイズは比例して小さくなるので、よく考えて選択したいところです。
正面から見ると、どのモデルも明るく文句なしのディスプレイだ
斜めから見ると、有機ELのiPhone XS Maxが一段と明るい
【S5・X5】カメラを比較、普通に撮るなら十分だが
今回はX5、S5に加え、iPhone XS Maxとも写真を比較してみました。S5、X5はどちらもシングルレンズですが、普通に写真を撮るなら十分きれいに映ります。ただiPhone XS Maxと比べると、さすがに相手が悪すぎます。
明らかに差はあるので、ちょっとガッカリするかもしれません。しかし、このクラスのカメラを期待するなら最低でも10万円のモデルになるので、金額の差がそれなりにあります。X5はもう少し頑張って欲しいところですし、S5は価格を考えて妥協するべきでしょう。
通常撮影
S5で撮影
X5で撮影
iPhone XS Maxで撮影
iPhone XS Maxは背景の空の青さもしっかり表現できていて、ダントツの美しさ。X5はやや濃厚な色合いです。
近接撮影
S5で撮影
X5で撮影
iPhone XS Maxで撮影
花を近くから撮りました。案外さは少ないものの、葉の色を見るとS5はやや明るすぎます。
暗所撮影
S5で撮影
X5で撮影
iPhone XS Maxで撮影
暗い室内で撮影。S5は窓が盛大に白飛びしています。X5はやや暗すぎて、iPhone XS Maxの素晴らしさが光ります。
まとめ
Android Oneはシンプルなスマホですが、そのぶん価格が安いわけでもありません。スペックなどを見ると、やや割高だと考えてもいいでしょう。ちょっと高いお金を出して、シンプルな物を買う──よくわかっている人向けのデバイスなのです。
また現状では、SIMフリーなどで手頃に入手することはできず、Android Oneの多くのモデルをワイモバイルが販売し、一部をソフトバンクが提供しているにすぎません。もっと安価で通信契約の縛りのないSIMフリーで登場すれば、さらにヒットすることは間違いないだけに、少々残念なところです。
X5は、Android Oneの上位モデルとして魅力十分です。ただし、Googleに特化したスマホが欲しいなら「Pixel 3」がライバルになるので、実は微妙な立ち位置です。またS5は中級のAndroid Oneですが、3万円台前半のAQUOS sense 2と比べても相当高いのがいただけません。どちらも、キャリアの割引施策を利用して安く買いたい人におすすめです。
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構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部