神話を大胆に再解釈、空前のスケールで描くブラッド・ピット主演の超大作映画『トロイ』

神話を大胆に再解釈、空前のスケールで描くブラッド・ピット主演の超大作映画『トロイ』

何万人もの大軍勢と、海一面に浮かぶ大船団の圧倒的なスケール感。これぞハリウッド映画という感じですね。

ブラッド・ピット主演の『トロイ』は、古代ギリシャの神話「トロイア戦争」を基にした戦争ドラマです。叙事詩イーリアスに書かれたこの戦争は、史実ではなくあくまで神話ですが、本作では人間たちの戦争として描かれています。ストーリー展開も独自の解釈を加えて構成されており、神話とは趣の異なる作品として作られています。

ブラッド・ピットが、アキレス腱の語源ともなったギリシャ最強の戦士アキレスを演じています。筋骨隆々のたくましい身体を作り上げ、迫力ある戦闘シーンを自ら演じています。

神話のスケールを人間の戦争ドラマとして再現

長年争ってきたトロイとスパルタに和平が結ばれた日、トロイの第2王子・パリスはスパルタの王妃ヘレンと禁断の恋に落ち、彼女をトロイに連れ帰ります。当然、スパルタの王はこれに激怒。ギリシャの諸国を束ねるミュケナイ王アガメムノンを頼り、大軍勢をトロイに向けさせます。アキレスは、この戦いをくだらないものと見つつも、自分の名前を後世に残すために参戦、従兄弟のパトロクルスとともにトロイに向かいます。

アキレスは勇敢に先陣を切り、トロイ軍を蹴散らしますが、そこにトロイの英雄ヘクトルが立ちはだかります。戦況はトロイ側に不利に進み、パリスの従妹であるブリセイスが囚われの身となります。彼女はアキレスに献上されますが、誇り高いブリセイスに惹かれ、丁重に扱うように指示。しかしアガメムノンがその指示を破るとアキレスは戦いに意義を見いだせなくなり、戦闘を放棄します。

そんなアキレスを見て、従兄弟のパトロクルスはアキレスの鎧兜を身に着け、なりすますことで部下を率いて戦闘に参加、しかし、ヘクトルに討ち取られてしまいます。こうして、戦う理由が生まれてしまったアキレスは、復讐心と己の誇りをかけて、ヘクトルに一騎打ちを挑みます。

戦況が進み、アキレスの親友オデュッセイアが、巨大な木馬をトロイに献上すると見せかけ、中に隠れていた兵士による奇襲を立案、この作品で戦況は大きく変わることになります。

アキレスを演じるブラッド・ピットのマッチョぶりがとにかくカッコいい作品です。見事な剣さばきと盾の使い方で最強の英雄に恥じない演技を披露しています。本作は伝説の神話を人間の戦争と描いたため、とにかくスケールがとんでもない作品です。大量のエキストラとCGを駆使して、何万人がひしめく戦場を再現、大海原に浮かぶ船団は地平線の彼方にまで展開しており、これがいかに巨大な戦争だったのか実感させます。

トロイア戦争とは

イーリアスに記述されている「トロイア戦争」は神々によって引き起こされた争いであり、半ば人間、半ば神の争いとして描かれています。そもそもの戦の原因が、人口が増えすぎたことによって、神々が大きな戦を起こして人口を減らそうと画策したことから始まっています。戦が始まる経過も映画とは異なり、最も美しいとされる女神に与えられる黄金の林檎の所有権を巡る諍いから始まるという筋書きになっています。

パリスが愛のためにその林檎を女神アフロディテに渡し、その見返りとしてスパルタ王の妻・ヘレネがパリスの元に送られ戦が始まるのですが、パリスの愛がきっかけとなっている点は映画も共通しています。

その他、本来は人間だけでなく神々の何人かも両陣営に分かれ、参戦するのですが、映画はあくまで人間の戦争として描かれています。ギリシャ神話のアキレスは人間の父と女神との間に生まれた半神半人のような存在ですが、本作では屈強な人間であり、無敵の超人であることは自身の台詞で否定しています。

また、「トロイの木馬」という有名な言葉の元となった、巨大な木馬による奇襲作戦も本作で描かれます。中に兵士が潜み、拡散し内部から攻め落とすという戦略から、コンピュータなどに侵入するウィルスにもこの言葉が使われるようになりました。知らずのうちに中に侵入して拡散する模様がよく似ているということですね。

映画本編も面白いですが、ギリシャ神話に記述される「トロイア戦争」はさらに多くのエピソードがあり、人間の愚かさや世界の残酷さが描かれています。映画への理解もさらに深まると思いますので、気になる方は是非読んでみてください。

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構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部

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