祖母と少女の交流を通じて死と人生について考える、映画『西の魔女が死んだ』 U-NEXTで見放題

不登校の少女とイギリス人の祖母との交流を描いた心温まる物語

人生を見つめ直す時には、こんなゆったりとした時間が流れる場所に行きたい。

映画『西の魔女が死んだ』は、そんな風に思わせてくれる作品です。本作は、梨木香歩の同名児童文学を映画化したもので、不登校の少女とイギリス人の祖母との交流を描いた心温まる物語です。「魔女が死んだ」という少々物騒な言葉とは裏腹に、美しい山奥の家で夏の間だけ生活をともにする少女と祖母の生活をハートフルに、ちょっぴりミステリアスに描いています。

人間は死んだらどうなるのか、人生を豊かに生きるためにはどうすればいいのか、元は児童文学で子どもたちにそういったことを考えてもらうための作品ですが、大人が観てもいろいろな学びのある作品です。

イギリス人のおばあちゃんとのひと夏の想い出

学校に馴染めず不登校になったまいは、母の計らいでしばらくの間、イギリス人の祖母のいる家で暮らすことになります。都会から離れて、山奥で伸び伸びと暮せば嫌なこともすぐわすれるだろうという考えです。祖母は、いまは山奥の小屋で一人暮らしをしています。まいは、元々おばあちゃんが大好きで、久しぶりに会えるのを楽しみにしていました。

まいは、おばあちゃんとの生活で、朝早くからの手伝いや、ジャムにする野いちごの収穫、鶏の玉子取りなど、自給自足の生活で自然に触れ合い、伸び伸びと暮らしていきます。

ほどなくして、おばあちゃんはまいに、「自分は魔女だ」という話を聞かせます。そして魔女になるためには、規則正しい生活をして、自分で考え決めることが大事だと言い聞かせます。おばあちゃんの生活はそのためのものなのです。

まいは、ある日、おばあちゃんに死んだら人はどうなるのかと聞きます。おばあちゃんは、死は身体からの解放だと説きます。そして、もし自分が死んだら、無事に魂が解放されたかどうか、まいに教えてあげると約束します。

ほどなくして、まいの母と単身赴任していた父がまいを迎えにきます。このままおばあちゃんの家で暮らす選択肢も両親は提示しましたが、まいは自分で両親の元に戻ることを決めます。

そして、2年後、おばあちゃんが亡くなったという知らせが届き、まいは再びおばあちゃんの家をおとずれることになります。魂は果たしてどうなったのか、おばあちゃんはどのようにして、まいに知らせるのでしょうか。

おばあちゃんを演じるのはシャーリー・マクレーンの娘

おばあちゃんを演じるのはアメリカ出身の女優、サチ・パーカー。大女優シャーリー・マクレーンの娘であり、6歳から12歳まで日本で生活した経験を持ちます。本作でも流暢な日本語の台詞を披露しています。

登場人物と同じくらい存在感があるのは、おばあちゃんが暮らす山奥の家。ロケは清里で行われたそうですが、原作のイメージ通りの家を再現するためにゼロから作ったそうです。そのかいもあってか、どこかメルヘンチック、それでいてリアリティを失わない見事なデザインです。

大自然の中でゆったりと流れる時間が大変心地よく、人生の意味について考えたくなる作品です。元が児童文学ということもあって、子どもたちに生きることや死について考えさせる内容になっており、自分で考えて行動することや規則正しい生活の大切さも伝えてくれます。お子さんがいる人は、是非親子で観てほしい作品です。

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