オックスフォード英語辞典の誕生秘話を描く映画『博士と狂人』

辞書作りに秘められたある友情

映画『博士と狂人』は、辞書作りに挑んだ男たちの実話をもとにした物語です。世界で広く利用されている「オックスフォードの英語辞典」を編纂した男と、彼に協力したとある囚人の友情を通して、言葉の深さと大切さを教えてくれます。

途方もないプロジェクトに挑む2人

大学に行かず、独学で言語学者となったマレー(メル・ギブソン)は、知の権威・オックスフォード大学に招かれ、英語辞書の編纂者に任命されます。スコットランドの地方出身のマレーにとって、これは大きなチャンス。大学の権威の中には学歴のないマレーを快く思わない者もいますが、マレーはそんな圧力のかかる大役を引き受けることにします。

この辞書作りのプロジェクトでは、途方もない作業が要求されます。すべての英単語をシェイクスピアの時代までさかのぼり、その意味を信頼できる引用とともに収録するというのです。これまで出版された様々な文献にあたり、言葉探しに没頭するマレーですが、人員も足りず思うように進みません。

マレーは国中に協力者を募り、言葉の引用を送ってほしいとメッセージを出します。そんな折、一人の人物から大量の資料がマレーの元に届きます。それは、とある精神病院から送られてきたもので、差出人はアメリカ人医師のマイナー(ショーン・ペン)という人物でした。

マイナーの協力のおかげで辞書作りは捗ります。マレーは、マイナーに会いに病院を訪れますが、てっきりそこで働く医師なのかと思っていると、実は治療を受ける患者でした。しかも、彼は誤解によって殺人を犯した犯罪者でもあったのです。

マイナーは自分の犯した罪の重さに苦しんでいました。しかし、過ちは取り返しのつかないもの。そんな中で言葉を探す喜びに目覚め、辞書作りに協力していくのです。

辞書作りを描いた映画たち

辞書作りを題材にした作品は他にもあります。

三浦しをん原作の『舟を編む』は、日本語の辞書を作る編集部の物語でした。また、韓国にも『マルモイ ことばあつめ』という優れた作品があります。いずれの作品も言葉をゼロから探し、意味を探すことで言葉の面白さと大切さを真摯に描いています。

ネットで様々な言葉が飛び交う時代に、言葉の大切さを身に染みて教えてくれる良作です。

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