人気の電子書籍リーダー、Kindleシリーズの最上位モデル「Kindle Scribe」がついに登場しました。これまでのKindleとは違い、電子書籍リーダーに加えペン入力に対応したデジタルノートとしても活用できます。非常に魅力的な製品なので詳しくレビューしていきます。
Kindle Scribeはモデル数が数多く、価格も異なります。今回はプレミアムペン付きモデルを取り上げます。なお、スタンダードペン付きモデルは、容量が16GBしか選べないので注意してください。
本体は金属製で質感が素晴らしい
Kindle Scribeは、さすがに最上位モデルだけあって、とても質感の高いボディーです。本体はKindle Oasisシリーズのような金属製で、デザインもスッキリとしていて高級感があります。価格は4万7980円(税込)からとやや高いものの、手に入れた満足感は十分に得られるでしょう。
なお、本体の他にはケーブルが付属しますが、充電器は付いていないので自分で用意する必要があります。スマホなどの充電器を利用可能です。

本体はとてもシンプルで素敵なデザインだ

背面は金属製で質感が高い

ケーブルと交換用ペン先が付属する
サイズは数値以上に大きく感じる
すべてのデバイスは、画面サイズを対角線の距離をインチで表示することで表しています。Kindle Scribeは、10.2インチとこれまでのKindleの中で最大のサイズになります。これまで最も大きかったKindle Oasisは7インチだったので、その差は3インチ程度です。
ところが、実際にKindle Scribeを目にするとかなり大きく感じます。とはいえ、11インチクラスのiPadとほぼ同じようなサイズなので、実際に大きいわけではなく、Kindleシリーズがコンパクトだっただけに大きく感じるのです。Kindle Oasisと並べた写真を見てもかなり大きく感じることでしょう。iPadの11インチモデルと比べると、額縁の片方向が広いだけに全体的なサイズは大きく感じます。
10.2インチの大画面は小説を読むにはややオーバースペックで、文字が多すぎると感じるかもしれません。逆に、ビジネス書やマンガを表示すると良い感じです。

Kindle Oasis(左)と比べるとかなり大きく感じる
本体はとてもスリムだが重い
本体は、196×230×5.8mmと非常にスリムなのが特徴の一つ。手にしても持ちやすくは感じますが、433gとかなりヘビーです。iPadなどのタブレットよりは軽いのですが、使い方が異なります。例えば、iPadは動画を見るときに机の上や膝の上に置いて使うこともあるでしょう。ところが、Kindle Scribeでは動画やブラウザは見ません。メインの用途である電子書籍を読む際には、手に持っている時間が長いのです。
そう考えると、433gという重量はかなりヘビーです。長時間持ち続けて本を読むのはちょっと厳しいと感じます。また、防水に非対応なのは最上位モデルとして残念なポイントです。
本体は電源ボタンが一つのみついています。ページめくりボタンがないので、Kindle Oasisユーザーの買い換えには向かないかもしれません。充電は、いまどきのモデルらしくUSB Type-C端子です。

充電はUSB Type-C端子だ

重量はカタログ値で433g
ディスプレイは見やすく、暖色への色合い調整も可能
ディスプレイはサイズが大きく電子ペーパーらしい見やすさです。解像度は、他のKindleシリーズと同様の300ppiなのでドットの粗さが目立つこともありません。ただし、表面には滑りを抑えるためと思われるフィルムが貼ってあります。おそらくペンで書きやすくするための配慮だと思われますが、これによって微妙に表示が劣っています。とはいえ、実際にKindle Oasisなどと並べて比べなければわからない程度の小さな差です。
フロントライトは35個も搭載します。十分な明るさで、暖色の色合いへの調整も可能です。

ディスプレイの表面にはフィルムが貼ってあり、ペンで書きやすくなっている


フロントライトは明るいが、Kindle Oasis(左)には少々劣っている
ペンはとても書きやすい
付属のペンはとても書きやすく快適に筆記ができます。電池などが不要なタイプなので、いつでもサッと書くことが可能。持ち歩く際は、本体の横に磁石でくっつけておけます。書き味は、まさに紙に近いので細かな文字も問題なく書けるはずです。iPadのようにツルツルすべることはないので、ペーパーライクフィルムなどを貼る必要もありません(というより貼ってある状態)。
ペンのお尻はスイッチになっており、消しゴムとしても機能します。電子ペーパーで気になる画面の書き換えレスポンスもよいので、気分良くノートが書けます。また、プレミアムペンにはショートカットボタンが付いており、いくつかの機能を割り当てられます。

快適にノートが書ける

プレミアムペンは、お尻の消しゴムに加え、ペン先のほうにショートカットボタンが付く

ショートカットボタンの割り当てはカスタマイズ可能だ
ペンの用途は限られる
ホーム画面には、他のKindleとは違って「ノートブック」というタブが表示されています。ここをタップするとデジタルノートとして、手書きのノートが作成できます。
ノートには豊富なテンプレートが用意されており、これを選べば一般的なノートだけでなく、スケジュールやTODOリストを作れます。また、電子書籍を読んでいる最中にも付箋に手書きでコメントを書き込めます。この機能も大変に快適で、手書きの便利さが実感できます。
ただ、ストアから気に入ったアプリをインストールして使うことはできません。また、手書きからテキストに変換して入力するような機能もありません。書き込んだ手書きのノートのファイルを共有するには、メールでの送信やケーブル接続といった方法をとる必要があります。OneNoteなどのように、書き込んで同期するような使い方ができないのは残念です。

ホーム画面の下に「ノートブック」タブがある

ノートブックの一覧。ノートブックはフォルダー分けもできる

テンプレートを使い分けてノートブックに機能を持たせられる

画面サイズもちょうど良く、打ち合わせのノートなどにも向く

書籍の付箋も手書きができる
まとめ
Kindle Scribeは、電子書籍リーダーとデジタルノートという2つの機能を持っているのが最大の特徴です。そもそもKindleシリーズは価格の手ごろさが魅力。実は、10インチクラスの電子ペーパーを採用したデジタルノートとして考えるとかなりコスパが高いと言えます。ただ、専用のデジタルノートデバイスと比べると機能が限られるのが残念で、アプリのインストールもできません。
大画面でビジネス書やマンガなどを読み、手書きのノートを書きたい人にはコスパの良好なデバイスとしておすすめできます。