その名を知らない者はいない、IT業界を代表する大企業・Google。
インターネットに欠かせない検索エンジンの代表格で、数多くの便利なサービスを提供する企業。そんなGoogleの社風がよくわかる映画があります。それがGoogle本社で撮影された映画『インターンシップ』です。
本作は、ヴィンス・ヴォーンとオーウェン・ウィルソンのコンビが共演で、冴えない中年のセールスマンが仕事をクビなり、ITの知識ゼロでGoogleのインターンシップに挑むという物語です。
世界を変えたGoogleはどんな会社なのか、本作を見るとよくわかります。そこには自由と協調性を重んじる社風があるのです。
Google社内はテーマパークのよう
腕時計の販売会社でセールスマンをしているビリーとニックは、会社が倒産して無職になってしまいます。スマートフォンの時代になり、時間の確認のためにわざわざ腕時計をする人が少なくなったことで、時代についていけないための倒産でした。途方に暮れる2人ですが、ビリーはある日、Googleのインターンシップに応募することをニックに持ちかけます。
IT知識ゼロの2人は、人生の逆転ホームランを狙うために一念発起して面接に臨みます。図書館のパソコンからビデオ面接を受ける2人は、面接官の質問をほとんど理解できないままに口八丁でその場をしのぎ、ギリギリ合格。
ビリーとニックは、意気揚々とシリコンバレーにあるGoogle本社に向かい、インターンシップとしての日々をスタートさせます。しかし、そこに集まったのは若く優秀な者ばかり。落ちこぼれで時代に取り残された中年の2人とは知識レベルも才能も段違い。そんな中で、これまで培った営業力と独自のアイディアを駆使して、正社員になるための厳しい競争に挑むのです。
本作の見どころは、なんと言っても実際のGoogle本社内でロケーションしている点でしょう。誰もが知っている有名企業で、そこに入るのは狭き門。いったいどんな雰囲気の会社なのかを知る人は少ないはず。本作が映すのは、そんなGoogleのユニークな社風と遊び心満載のオフィスです。
まず、福利厚生が充実しています。Googleオフィス内ではコーヒーなどのドリンク、ベーグルやバナナ、さらにランチも完全無料。無料にすることで多くの社員が集まり、交流が広がることで新しいチームワークと発想が生まれやすくなっているのです。
また、オフィス内には滑り台があって実際に滑って遊べるようにもなっています。業務に疲れて一息したい人には昼寝スペースもあり、リフレッシュできるように取り計らっているのです。Googleカラーの自転車も貸し出しが無料で、オフィスの敷地内には無人の車が運行しています。オフィスというより、ちょっとしたテーマパークのような雰囲気で、Googleのユニークなサービスはこういう雰囲気で生まれるのかと感心させられます。
グーグリネスとは何か
本作では、Googleが大事にしているものは何かを、インターンシップの競争の物語を通じてユーモア混じりに伝えています。作中に「グーグリネス」という言葉が出てきますが、これはGoogleが大切にしている基本理念のようなもの。それはチームワークを重んじる姿勢や間違いを恐れずに進むことの大切さ、そして多様性を重んじる姿勢を表わしています。
Googleの理念は、人と情報をつなげること。情報を扱えるだけではなく、きちんと人間を見ることが大事なのだというメッセージが本作には含まれています。
ビリーとニックが持っているものは一言で言うと社交性ということになるでしょう。それはGoogle社員に多いと思われるギークな人々には縁遠いものと思われていますが、Googleがこの映画に協力したのもそんなイメージを払拭するためだったようです。
Google goes Hollywood with 'The Internship'(Reuters)
どんなにテクノロジーが発達しても、仕事する上で重要なのは人間力だということを本作は伝えてくれます。夢を諦めない姿勢を捨てなければ、年齢は関係ないというシンプルで力強いメッセージも内包しており、見る人を勇気づけてくれる作品です。
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構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部