ここ最近は落としても割れにくいスマホを推していた富士通ですが、5Gに対応したハイエンドモデルをリリースしました。海外メーカーにも負けないスペックの魅力的な製品となっているので、詳しくレビューしていきます。価格は12万9140円で、NTTドコモから「arrows 5G F-51A」として発売されます。
本体はかなり大きめだが薄くて軽量
arrows 5Gは大型のスマホで、ディスプレイサイズは6.7インチ。解像度はQuad HD+(1440×3120ドット)となります。今回比較として取り上げる「Galaxy S20+ 5G」が6.7インチなので、ちょうど同様のサイズです。arrows 5Gのほうが若干上下の縁(フチ)が残っているために、横に並べるとやや長く感じます。
とはいえarrows 5Gは180グラムと、このサイズにしては軽量なので、持っていてもあまり疲れません。長時間ゲームをプレイしたい人にも向いています。非常に薄く、7.8ミリとGalaxy S20+ 5Gと同じです。十分な狭額縁で画面占有率の高さも文句なしです。
新登場のarrows 5G
左のGalaxy S20+と比べると少し縦に長い。画面サイズは同様だ
また、ディスプレイの左右のフチを湾曲させた高級モデルらしいデザインを採用しています。フチを曲げたデザインは、アプリのメニューや電子ブックなどが見づらくなることがあるため、好みが分かれるところですが、高級感は間違いなくあります。また、フロントカメラもピンホールタイプを採用しています。
arrowsシリーズでは久しぶりの上位モデルですが、海外メーカーに引けを取らない完成度です。
ディスプレイのフチを曲げたデザインを採用
背面は蒸着仕上げで金属のような仕上げ。カラーは、今回撮影したネイビーブラックとチタニウムシルバーを用意する
本体は非常に薄く、カメラの突起以外は7.8ミリ
大画面ディスプレイの明るさが素晴らしい
ディスプレイをチェックしていて感心したのが、明るさです。有機ELを採用しているので、黒の締まったくっきりとした画像を表示します。さらに、見た目の明るさはGalaxy S20+ 5Gを上回っています。
大画面で写真を見たり、映画を楽しむのには最適なデバイスと言えるでしょう。もちろん、夏の明るい屋外で写真を撮る際にも、この明るさが嬉しいことは言うまでもありません。
右がarrows 5Gで、左がGalaxy S20+ 5G。arrows 5Gのほうが明るく感じる
斜めから見ても、どちらもくっきりしているのは立派だ
性能は文句なし、独自のアプリ高速起動も魅力
性能も文句なしのハイエンドで、CPUにはSnapdragon 865を搭載し、RAMは8GB、ROMは128GBとなっています。また、microSDカードによるストレージの増設にも対応します。
ベンチマークのスコアもGalaxy S20+とほぼ同様です。なお、独自の熱拡散メカニズムを採用しており、長時間ゲームをフル稼働しても熱くなりにくいとしています。もちろん、処理性能も落ちにくいでしょう。ただし、他の製品もさまざまな冷却機能を搭載しているので、もはや当たり前と言えるようになりました。
高性能で、ベンチマークの値も素晴らしい
とても魅力的なのは、独自の「FAST Appドライブ」です。この機能に登録したアプリは、約1秒で起動します。実際に試してみましたが、ブラウザのChromeが驚くほど早く起動しました。
さらに、FASTフィンガーと組み合わせるとアプリを起動できます。たとえば、左手の親指で指紋認証するとロック解除と同時にカメラが起動し、人差し指ではPayPayが起動する、といったことが可能です。
FAST Appドライブに登録したアプリは1秒で起動する
FASTフィンガーで、指紋登録とアプリの起動を紐付けられる
指紋センサーはディスプレイ内蔵だ
大容量バッテリーを搭載、5Gはミリ波も対応
バッテリー容量は4070mAhです。一昔前なら超大容量といえましたが、最近の大画面モデルでは一般的な容量で、充電はUSB-C端子を利用します。
5Gは一般的なSub6に加え、ミリ波にも対応しています。ミリ波に対応している製品は、Galaxy S20+など極めて少ないので、大きな特徴の一つと言えます。ただし、まだミリ波で接続できる設備はありません。
また、5Gもごく限られたエリアのみで展開されており、しかもその多くが東京オリンピック向けです。東京オリンピックが延期された今となっては、まず利用できる機会はありません。1〜2年後にようやく都心部などの一部で使えるようになる程度でしょう。はっきり言って、現段階では5Gは魅力的とは言えないのが残念です。
USB-C端子で充電できる
3眼カメラはクセがなく美しく撮れる
カメラは4800万画素の標準広角、1630万画素の超広角、800万画素のズームの3眼構成で、レーザーオートフォーカスを備えています。いろいろと撮影してみましたが、カメラはクセが少なく美しい色合いです。50倍ズームなどの秀でた特徴はありませんが、素直に撮影できます。
以下の作例は梅雨時の暗い日中の撮影でしたが、写真はそれなりに美しく撮れました。
通常撮影

標準カメラ

超広角カメラ
標準カメラ・超広角カメラでの撮影をGalaxy S20+と比べました。どちらも美しく撮れています。
近接撮影

花を接写しました。arrows 5Gのほうが明るく撮れています。
ズーム撮影

arrows 5Gは最大の12倍ズームで、Galaxy S20+は10倍ズームで撮りました。どちらも文句なしです。なお、Galaxy S20+は最大30倍ズームでも撮影できます。
まとめ
arrows 5Gは、今シーズンのハイエンドスマホの一角です。かなり遅れて登場していますが、5Gはミリ波にも対応するなど、ライバルに秀でているポイントがあります。また、ディスプレイの明るさも素晴らしい限りです。
アプリを素早く起動できるなど、実用上の快適さに注力しているのは、国内メーカーらしいところです。ディスプレイ、本体デザイン、性能、画面内蔵指紋センサーなど、他の上位モデルと比べても劣っている部分はありません。
国内メーカーを応援したい人、国産スマホが安心だと思うユーザーにはおすすめです。防水とおサイフケータイに対応します。ちょっと気になるのは、ワイヤレス充電に非対応で、顔認証ができないことくらいです。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部