AQUOSシリーズのハイエンドモデル「AQUOS R3(アクオスアール3)」が登場しました。名前を見ればわかるように、「AQUOS R2」のモデルチェンジ版となります。AQUOS R2は動画撮影専用のカメラを搭載しているのが特徴でした。AQUOS R3も動画にこだわる上に、シャープが得意とするIGZOディスプレイにも力が入っています。
ライバル製品も多い夏モデルでも目立っている1台「AQUOS R3」の魅力や気になる点を詳しくレビューしていきます。
美しいデザインも縁(フチ)の残り方でやや見劣り
AQUOS R3は、質感の良いガラスボディを採用しています。NTTドコモはラグジュアリーレッド、プラチナホワイト、プレミアムブラック、ソフトバンクはプレミアムブラック、プラチナホワイト、エレガントグリーン、auはプレミアムブラック、プラチナホワイト、ピンクアメジストをラインアップしています。つまり、白、黒以外の色がキャリアによって変わるわけです。
今回は、NTTドコモ版のプラチナホワイトを取り上げます。曲線を描く3Dガラスを採用していますが、他のモデルも多くが採用しているので特に目立つわけではありません。しかし、シャープらしい落ち着いて清潔感のあるデザインはとても好印象です。
また、本体側面のフレームはアルミ製です。つや消し仕上げなので傷が目立たず、いつまでもきれいに使えます。側面部分は、うっすらと山を描くような突起のある形状になっています。これは、テーブルの上で持ち上げやすくするための工夫です。
ただし、ライバルと比べると見劣りする部分もあります。たとえばGalaxy S10と比べると、額縁が大きく残っています。ちょうどiPhone XRと同じような縁(フチ)の残り方です。
ディスプレイは縁(フチ)がかなり残っているのが残念
背面は美しい3Dガラスで清潔なイメージだ
本体側面はアルミで、少し突起のあるデザイン
付属品は最低限、イヤホンジャックを採用
付属品は、ワンセグ、フルセグに対応するテレビを視聴に使うアンテナケーブルだけで、充電器やUSB-Cケーブルは付属しません。他メーカーも上位機はほとんど付属しないのですが、おもてなしのメーカーであるシャープ製だけに、あえて同梱してほしいところです。
逆に、他の上位モデルがほとんど廃止しているイヤホンジャックを採用しています。手元のイヤホンやヘッドフォンを使いたい人には嬉しい端子です。もちろん、Bluetoothで接続するワイヤレスイヤホンも問題なく使えます。
指紋センサーは、本体正面下部分に搭載します。以前のモデルでは搭載することの多かった位置ですが、最近は背面が増えてきました。指紋センサーの分だけ画面が切り欠きになっているので、美しくありません。しかし、設定でホームボタンとしても機能するため、使い慣れている人は重宝するでしょう。
付属品は最小限で、テレビ視聴に使うアンテナケーブルのみ
イヤホン端子を採用しているのはとても便利です
インカメラの切り欠きは小さなタイプ
指紋センサーは本体正面の下部分に位置する
高性能でワイヤレス充電にも対応する
CPUはSnapdragon 855を採用します。今シーズン最高性能のチップなので、文句の付けようのないパフォーマンスです。またメモリは6GBと、こちらも十分です。AQUOS Rシリーズは以前から放熱にこだわっており、ヘビーな作業でも本体が熱くなりにくくなっています。AQUOS R2に比べて表面温度が5度下がっているのは、技術の積み上げに他なりません。
ストレージは128GBと文句なしの大容量で、さらにmicroSDカードによる増設もできます。バッテリーは3200mAhと一般的な容量ですが、ディスプレイの省電力静が高いので、駆動時間は十分です。充電は、USB PDと最大11Wのワイヤレス充電(Qi準拠)に対応しています。
ベンチマークの値も今シーズンの最高クラス
microSDカードの増設にも対応する
充電はUSB-C端子で行う
ワイヤレス充電にも対応
Pro IGZOディスプレイは明るく美しい
ディスプレイは、6.2インチの大画面で3120×1440ドットという高解像度です。Pro IGZOという世代の新しいIGZOディスプレイを採用しています。IGZOはシャープが独自に開発する液晶です。
発色がとてもよく、写真を表示して比較すると、iPhone XS Maxにも負けず劣らず美しく表示できます。有機ELに比べるとより自然な印象の色合いです。ただし、明るさはiPhone XS Maxに負けています。また、斜めから見るとどうしても暗く、有機ELにはかなわない部分もあります。
屋外でも見やすいのが特徴の一つで、確かに直射日光下でも十分に見やすく実用的でした。また、120Hzの倍速駆動に対応しており、残像が少ないのが特徴です。このクオリティのディスプレイなら、有機ELともいい勝負になるでしょう。ただし、スタンバイ時でも時計などを表示し続ける、有機ELならではの機能は利用できません。
有機ELがすべての面で液晶に勝っているわけではありません。どちらを選ぶかはユーザーの選択次第です。とはいえ先進性を考えると、無条件で有機ELを選ぶ人が多そうです。
左のiPhone XS Maxと比べると明るさでは負けている
斜めから見るとその差は大きい
直射日光下でもiPhone XS Maxには負けるものの、とても見やすかった
動画撮影にこだわった専用カメラを搭載
カメラはデュアルで、標準カメラに加え動画専用のカメラを搭載しています。動画はワイドで撮影可能で、自動的にシーンを判別して静止画を撮影します。これによって、動画を撮っているから静止画を取り逃がした、ということが防げます。
さらに、自動的に動画を解析してショートムービーを作る機能も搭載しています。同じようなことはアプリでもできるのですが、撮影を終えると自動で短時間のサムネイル動画が完成しているのが便利なところです。
ただしこのショートムービーは、動画にわかりやすいメリハリがないとうまく作れないようです。たとえば花畑の動画を撮影し、自分が特定の花に関心があっても、アップにしたり、その花を少し長めの時間撮らないと判別はしてくれません。つまり、動画を解析してムービーを作ることはできますが、利用者の気持ちは当然ながらわからないのです。子どもやペットなどの動画を撮るのには向いています。
カメラのメニューはとてもわかりやすく、シャープらしい
また、被写体ブレ補正も搭載しています。こちらは、動きのある被写体がぶれるのを自動で補正する機能です。AIが認識するとシャッター速度が上がってブレが抑制できます。
今回もカメラは、iPhone XS Maxと比較してみました。カメラにはやや差があり、iPhone XS Maxのほうが美しく感じます。
通常撮影

どちらも美しく撮れています。土や木の葉の部分などを比べると、iPhone XS Maxのほうがやや明るく感じます。
近接撮影

iPhone XS Maxのほうが明るく美しく撮れました。背景にも違いがあります。
暗所撮影

iPhone XS Maxのほうが明るい上に、看板なども白飛びしていません。
ブレ補正比較

動く被写体を撮影してもブレが防げます。ただし、明るい場所ではiPhoneとほとんど差がありませんでした。暗い場所でシャッター速度が遅くなるときに差が付きます。
動画撮影・動画ダイジェスト
動画を撮影すると自動でダイジェストを作成してくれます。
まとめ
美しいディスプレイを採用するAQUOSのハイエンドモデルはなかなか魅力的。性能が高く、ゲーム好きにもおすすめです。カメラもiPhone XS Maxに比べるとやや見劣りしますが、動画撮影には強みがあります。
ただし、気になるのが価格です。NTTドコモの価格は、Galaxy S10と同じ8万9424円です。両者を比較すると、額縁がほとんどなく左右が湾曲したディスプレイ、カメラのズーム、超広角などを搭載するGalaxy S10のほうがやや魅力的です。AQUOS R3はわかりやすく、使い勝手の良いモデルを選びたい、コンサバな選択をしたいユーザーに向いています。
なお、今回のレビューに関連して、AQUOS R3を「すごい編」「がっかり編」に分けて動画で紹介しています。ぜひご覧ください。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部