シャープのフラグシップ、AQUOS Rシリーズの新機種が登場しました。後継モデルらしく、名前は「AQUOS R2(アクオスアールツー)」となっています。前モデルのAQUOS Rに比べると大幅に進化し、狭額縁の新しいデザインを採用しています。デュアルカメラはライバルと一線を画するスタンスで、動画撮影にこだわっています。
本記事では、ドコモ、au、ソフトバンクと3キャリアの夏モデルとして発売されるAQUOS R2を詳しくレビューしていきます。
このレビューでは、NTTドコモのモデルを使用しています
「AQUOS R compact」レビュー:末長く使える小型で高性能な上位モデル、新登場のSIMフリー版も魅力
最新の狭額縁デザイン+ガラスボディ
AQUOS R2は、大手キャリア3社から発売されています。基本カラーのプラチナホワイトとプレミアムブラックは各キャリア共通です。その上で、NTTドコモはコーラルピンク、ソフトバンクがローズレッド、auがアクアマリンを独自色としてラインアップしています。
ここでは、NTTドコモオリジナルのコーラルピンクを取り上げます。とても美しいカラーで、いわゆる「サーモンピンク」に近い色だと思えばよいでしょう。価格は9万5904円(新規・一括)です。
「Xperia XZ2」レビュー、美しい新世代デザインが目を引くフラッグシップモデル
ディスプレイは、トレンドになっている縦長タイプで狭額縁です。ただし、本体下部には縁(フチ)を残して指紋センサーを搭載し、また周囲もやや太めで、背面のカラーが採用されているので、特別に画面占有率が高いとは感じられません。
背面は立体的な形状のガラスで、裏側からフィルムを蒸着して美しい色を再現しています。ボディサイドの金属も複雑で立体的な形状で、とてもスタイリッシュな製品に仕上がっています。
画面は最近流行の縦に細長いタイプを採用する
背面はガラスで手触りもよい
付属品は少なく、アンテナになるイヤホンアダプターが付くのみだ
本体側面の金属バンドも背面カラーに合わせて微妙に色合いを変えている
ディスプレイは液晶だがハイスピードIGZO
AQUOS R2のディスプレイは、6インチで3040×1440ドットの超高解像度タイプを採用しています。AQUOS Rの5.3インチと比べると、大幅に大型化しています。
最近の10万円近い価格の高級スマホは、ほとんどが有機ELを採用するようになりました。液晶に比べると発色がとても鮮やかで、黒も引き締まっているのでくっきりしています。文字もキレがよくウェブページも読みやすく感じます。ところがAQUOS R2は、ライバルとは違って液晶を採用しています。有機ELのiPhone Xと並べると、明らかに暗く画質にキレがありません。
右のiPhone Xと比べるとやや明るさに劣っている
特に斜めから見ると明らかに違いがある
今さら液晶か、と思うユーザーも少なくないでしょう。それでも液晶メーカーのシャープらしく、こだわりのディスプレイ「ハイスピードIGZO」である点が注目です。
画質では有機ELに及びませんが、画面の書き換えが高速で指の動きに画面がぶれることなく付いてきます。1秒あたりの表示回数はAQUOS Rの120から100へと減りましたが、応答速度は向上しています。結果、スクロールのテキパキ感はよりよくなっているのです。
画面上部にはカメラの切り欠きがある
Galaxy S8+(左)と画面スクロールを比較。よく見ると文字のブレはAQUOS R2のほうが少ない
デュアルカメラは動画に注力する
AQUOS R2も、最近は当たり前になってきたデュアルカメラを採用しています。しかし、一般的なデュアルカメラが画質向上のためのモノクロセンサーやズームを搭載するのに対し、動画専用のワイドカメラを組み合わせているのが違いです。
通常のカメラは2260万画素で、十分に美しく撮影可能です。さらに、動画専用のカメラは135度というワイドな画角が特徴で、広いエリアを写せます。背景にもピントが合いやすいように工夫されています。
写真では背景をぼかしたいことが少なくありません。どちらかというと中心になる被写体を強調します。ところが、動画では全体をしっかりと見たいことが多いでしょう。AQUOS R2なら、周囲の風景もきっちり押さえて楽しく動画が撮れるのです。
さらに、動画専用のカメラを搭載することで、動画撮影中に静止画を撮れます。これまでは動画のコマを切り出して静止画にしていましたが、AQUOS R2は高画質な写真が撮影できます。また、AIによってベストなシーンで自動的に静止画が保存されます。電車の動画を撮影してみましたが、ちょうど車両がさしかかった時に美しい静止画が撮れました。これはとても便利です。
動画に組み合わせて静止画も撮れる。動画のプレビューで静止画も表示可能
このように撮影した写真を同時に見られる。AIでベストショットが記録可能だ
静止画も十分キレイに撮れる
2260万画素の静止画をiPhone Xと撮り比べてみました。どちらも十分に美しく撮れていますが、AQUOS R2のほうがやや色合いがさっぱりしています。また解像度が高いのですが、拡大するとややぼやけています。iPhone Xのほうが、くっきりと鮮やかな画像が得られます。
とはいえ、どちらも十分に満足できるレベルには達しています。その上で、動画をよく撮るユーザーにはAQUOS R2がおすすめです。
デュアルカメラを搭載し、ひとつは動画専用となっている
iPhone X(右)のほうが色合いが濃厚で美しい。AQUOS R2(左)は見た目に近い自然な画質だ
暗い部屋で撮影した。AQUOS R2(左)のほうがやや白飛びが気になる
高い処理能力でキレのよい動作が印象的
AQUOS R2は、徹底的に放熱にこだわっています。その結果、CPUのパフォーマンスを長時間継続できるように進化しています。実際に手にすると、短時間で本体がほんのりと暖かくなってきます。これは放熱が上手く設計されて、逃がされた熱が本体側に出てきているためです。CPUはSnapdragon 845と最新の高速チップを採用し、メモリは4GBです。
ベンチマークを計測してみたところ、値は最高クラスで「HUAWEI P20 Pro」も上回っています。加えて高性能が超時間維持でき、液晶もテキパキとしています。実際に使ってみると、ウェブページを見ているだけでも気持ちよく利用できることが実感できるでしょう。
さらに、音響や画像にもこだわっています。映像を美しく表示するDolbyVisionとHDRに対応。サウンドは立体的な音響を再現するDolbyAtmosにも対応しています。
左はHUAWEI P20 Proのベンチマーク。AQUOS R2(右)はそれを上回る性能を発揮している
生体認証は指紋認証を採用。顔認証にも対応する
まとめ
AQUOS R2の最大の魅力は画面のテキパキ感です。ゲームを長時間快適にプレイしたい人には魅力十分です。さらに、動画を楽しく撮りたいユーザーにもおすすめです。
残念ながらディスプレイは有機ELではありませんが、精細で美しい表示が可能なので、横に並べて比べなければ納得できるはずです。いわゆる「全部入り」モデルで、防水、おサイフケータイ、フルセグ・ワンセグにも対応しています。性能が高く、安心して買えるモデルとして初心者にも推奨します。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部