各社のスマートフォン2019年夏モデルが出そろってきました。毎年新しいモデルが登場し、それまでになかった機能が搭載されるサムスンの最上位モデル「Galaxy S10」「Galaxy S10+」をレビューします。価格は高いのですが、超ハイスペックで、最高クラスのディスプレイを搭載。少しでも高性能なスマホを求めているユーザーは見逃せない製品です。
上位機らしい価格だがドコモ版は割安
まずは価格を見ていきましょう。Galaxy S10、S10+ともにNTTドコモとau(KDDI)から販売されます。
NTTドコモ | au | |
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Galaxy S10 | 8万9424円 | 10万1088円 |
Galaxy S10+ | 10万8000円 | 12万960円 |
ドコモの販売価格がかなり割安な印象ですが、今シーズンは他のモデルも安くなっています。これは、通信回線とのセット販売が終了した対策でもあるのでしょう。ただし、これまでの例を考えると、auも値引きなどで対抗することになりそうです。
Galaxy S10+は美しいディスプレイが目立つ
Galaxy S10もデザインはほとんど同じだ
本体サイズは案外小ぶり
気になる本体サイズをチェックします。Galaxy S10シリーズはディスプレイの左右がアールを描く構造なので、スペック上の画面サイズの割りに本体は大きくありません。
ディスプレイサイズ | 本体サイズ | |
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Galaxy S10 | 6.1インチ | 150×70×7.8ミリ |
Galaxy S10+ | 6.4インチ | 158×74×7.8ミリ |
iPhone XS | 5.8インチ | 143.6×70.9×7.7ミリ |
iPhone XS Max | 6.5インチ | 157.5×77.4×7.7ミリ |
iPhone XS Maxと比べると、Galaxy S10+でさえコンパクトなことがわかります。手に持って比べても少し持ちやすく感じます。これは高く評価したいところですが、逆にGalaxy S10とS10+のサイズの差が少ないのが気になります。高さで約8ミリ、幅で4ミリしか変わりません。
Galaxy S10+は大画面モデルとしては持ちやすい一方、Galaxy S10はコンパクトなモデルとは言えず、あまり持ちやすくありません。購入を考えている人も、サイズの差がなく、迷ってしまうでしょう。
2つのモデルは案外サイズの差がない
右のiPhone XS Maxと比べるとGalaxy 10+でもちょっと小さめだ
質感が良く高級モデルらしい外観
今回取り上げるau版モデルは、Galaxy S10+がプリズムブラック、Galaxy S10がプリズムホワイトです。Galaxy S10+はこの2色ですが、Galaxy S10はプリズムブルーも用意されます。ドコモのGalaxy S10+はプリズムブラックのみですが、プリズムホワイトのオリンピック限定モデルがラインナップされています。
背面はガラスで、裏面から貼り付けられたフィルムによってプリズムカラーを実現しています。ブラックも光が当たると美しく輝き、直射日光に当てると虹色に反射します。
本体の側面はステンレスで、こちらも美しく輝き金属の質感が素晴らしい限りです。ただし、個人的には横に並んだカメラの造形があまり美しいとは思えません。カメラの数が多いモデルはどれも、せっかくのデザインが台無しになっています。
充電用の端子はUSB-Cで、充電と音量調整に加えて、アプリの起動に利用できる3つ目のボタン「Bixbyキー」が付いています。
プリズムブラックも非常に美しく、光が当たると虹色に輝く
プリズムホワイトは角度によって色合いが変わる
ただし、横に並んだカメラが美しくない
充電端子はUSB-Cだ
ボディサイドのステンレスはとても美しい
ディスプレイは美しいがiPhoneに負ける
ディスプレイはサムスンが得意とするAMOLEDで、新しい世代に進化しています。HDR10+に対応し、コントラスト比が高く、非常に鮮やかで、かつ黒が締まっています。つややかなボディサイドのアール部分は、はっとするほどの美しさです。ディスプレイの縁(フチ)も極限まで削られていて、現時点で最高のディスプレイであることは間違いないでしょう。
室内で比較撮影すると、明るさはiPhone XS Maxに負けています。ただし、明るい屋外の直射日光下では、Galaxy S10のほうがより見やすかったのが印象的でした。もちろん、iPhone XS Maxも十分以上に見やすいのですが、比較すると若干差があります。
ディスプレイの切り欠きは最低限で、インカメラの部分だけがホールになっています。ノッチのタイプよりは画面が広く感じられて好ましいです。なおGalaxy S10+は、インカメラもダブルカメラになっています。
並べて比較すると、右のiPhone XS Maxが一番明るい
斜めから見ても差がある
Galaxy S10はインカメラが1つ
Galaxy S10+は2つだ
Galaxy S10シリーズは切り欠きではないのでディスプレイがより広く感じる
ディスプレイの縁(フチ)のアールがとにかく美しい
スペックは最強、指紋センサーも素晴らしい
SocはSnapdragon 855で、現時点で最高のパフォーマンスです。ベンチマークの結果も最高クラスなので、ヘビーなゲームも快適にプレイできます。メモリは8GB、内蔵ストレージは128GBで、さらにmicroSDカードによる増設にも対応します。
おサイフケータイ、防水、ワンセグに対応し、ワイヤレス充電も可能など機能はてんこ盛りです。さらに、充電だけでなく、給電もワイヤレスに対応しています。機能をオンにして他のスマホやイヤホンなどのワイヤレス充電対応製品を背中に乗せると、Galaxy S10、S10+のバッテリーで充電ができます。ただし、本体のバッテリー容量がさほど多いわけではないため、緊急時にちょっと使う程度が向いています。
指紋センサーがディスプレイに内蔵されているのも大きなトピックです。超音波パルスを採用したタイプなので、非常に高速で快適です。顔認証もテストしましたが、こちらも素早く利用できました。
ベンチマークのスコアは素晴らしい
ワイヤレス充電は、まず機能をオンにする必要がある
スマホを重ねても充電可能。イヤホンなどもワイヤレス充電に対応していれば利用できる
microSDカードの増設にも対応
指紋センサーはディスプレイ内蔵型だ
カメラはワイドレンズを採用、iPhoneより優れる
リアカメラは2倍望遠(12M)、広角(12M)、123度の超広角(16M)の3種類を採用。インカメラはGalaxy S10+のみダブルカメラを採用し、RGB深度カメラが追加されます。広角カメラは、明るさを自動認識してF値を1.5と2.4に切り替えます。ズームはデジタルと組み合わせることで最大10倍に対応。注目に値するのが超広角で、人の目と同じといわれる123度のワイドな撮影が可能です。
今回は、iPhone XS Maxと比べてみましたが、通常の写真はほぼ同じと言っていいほど近いクオリティで撮影できました。その上で、超広角撮影ができるGalaxy S10シリーズのほうが優れていると言えます。
通常撮影

普通の撮影では違いがわからないほど近く、色合いも似ています。
ズーム撮影

2倍ズームも非常に近い写りに。Galaxy S10のほうがやや明るくなっています。
超広角撮影
Galaxy S10は超広角撮影が可能です。
近接撮影

花をアップで撮影。こちらも甲乙付けがたいですが、iPhone XS Maxのほうが色合いがやや濃厚です。
背景ぼかし

背景をぼかした写真を撮影。どちらも美しく撮れています。
Galaxy S10では、背景のぼかし方がさらに2種類選択できます。モノクロも可能です。
夜景撮影

夜景を撮影。Galaxy S10のほうが明るく美しいものの、見た目に近いのはiPhone XS Maxです。

夜景を2倍ズームで撮影しましたが、写りの傾向は同様です。
Galaxy S10は夜景もワイドで撮影できます。
暗所撮影

暗い室内で撮影。こちらも甲乙付けがたいですが、iPhone XS Maxのほうが若干明るく撮れました。
まとめ
Galaxy S10、S10+はこの夏のハイエンドモデルらしく、素晴らしいディスプレイを搭載し、性能やカメラも大満足です。高級モデルを狙っているなら、第一候補であることは間違いありません。ただし、他にもXperia 1、HUAWEI P30 Proが登場するので、じっくり比較してから選択することをおすすめします。
なお、今回のレビューについて動画でもまとめています。ぜひご覧ください。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部