Apple Musicでは、自分のライブラリに音楽を追加したり、オフラインで楽しめるよう端末に保存したりできます。しかし、楽曲のダウンロードには制限もあります。Apple Musicの音楽を自分のライブラリに追加するには、「iCloudミュージックライブラリ」を有効にする必要があるのです。
このiCloudミュージックライブラリとは一体何なのか、これまでのライブラリはどうなるのかなど、Apple MusicやiTunesで楽曲を管理する上での注意点について解説します。
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iCloudミュージックライブラリとは
iCloudミュージックライブラリは、クラウドで動作するiTunesライブラリ(マイミュージック)で、Apple Musicのメンバーシップを購読すると利用できる機能の一つです。
iCloudミュージックライブラリをオンにすると、Apple Musicから追加した音楽やプレイリストの情報がクラウドにアップロードされます。さらに、iTunes Storeで購入した音楽や、CDなどの音源から取り込んだ音楽も、iCloudミュージックライブラリに追加されます。
iTunesのライブラリにある音楽は、Apple Musicのカタログと比較照合(マッチング)され、カタログ内にある曲はApple Musicから即座に聴けるようになる仕組みです。カタログにない曲も、iTunes上でiCloudミュージックライブラリを有効にすることにより、iCloudに自動アップロードされます。
iCloudミュージックライブラリでは、すべての楽曲がクラウドで管理されます。そして、同じApple IDでサインインしているiOS端末10台の間で、自由に聴くことができます。楽曲の情報がクラウドにあるため、ストリーミング再生するだけなら、デバイスの容量をまったく消費しないのもメリット。iPhoneなどのストレージ容量を節約したい人にとって、iCloudミュージックライブラリは魅力的な機能といえます。
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Apple MusicとiTunes Matchの違いは「DRM」の有無
iCloudミュージックライブラリを使うサービスは、実はApple Musicだけではありません。Appleのクラウドサービス「iTunes Match」も、iCloudミュージックライブラリを利用します。
iTunes Matchは、iTunesのライブラリをクラウドにアップロードできるサービス。こちらは年間3980円で利用可能です。iTunes Matchを利用すると、CDなどから取り込んだ音楽すべてをiCloudに保存し、どの端末からも再生/ダウンロードできるようになります。ライブラリの音楽を照合するのがiTunes Storeのカタログという違いはありますが、手持ちのライブラリをクラウドにアップロードして管理できるという点は、Apple Musicとほとんど同じです。
異なるのは、音楽をダウンロードする際のDRM(デジタル著作権管理)の扱いです。Apple Musicのみを利用している場合、Apple Musicにある曲(マッチングされた曲)をダウンロードすると、デジタル保護機能の付いたファイルとして保存されます。手持ちのライブラリからiCloudにアップロードされた音楽も、iPhoneなどに保存するとDRM付きファイルになります(Apple Musicにない曲や、購入したiTunes Plusの曲にはDRMは付きません)。
一方、iTune Matchを利用している場合、iTunesでマッチングされた曲はDRMフリーで、アップロードされた曲(iTunes Storeにない曲)はアップロードされた時の形式のままダウンロードできます。音楽をダウンロードした時のDRMの扱いを表にまとめると、以下のようになります。Apple MusicとiTunes Matchを併用している場合は、iTunes Matchが優先されます。
Apple Music | iTunes Match | |
---|---|---|
Apple Musicにある楽曲 | DRMあり | DRMなし |
Apple Musicにない楽曲 | DRMなし | DRMなし |
iTunes Storeで購入した楽曲(DRMフリー) | DRMなし | DRMなし |
DRMが付くとApple Music解約後に再生できなくなる
ダウンロードした音楽にDRMが付くと、どのような不都合があるでしょうか。DRM付きのファイルは、Apple IDで関連付けられていない他のデバイスで再生したり、ミュージックやiTunes以外のほかのアプリで読み込んだり、また書き出したりできません。Apple Musicの音楽は仕方ないとしても、ライブラリに元からある音楽も自由に利用できないのは不便に感じます。
さらにDRM付きファイルは、Apple Musicを解約すると再生できなくなります。ライブラリに元からある音楽であっても、マッチングされていればクラウドからダウンロードした時にDRMが付くので注意が必要です。
こうした問題は、iTunes Matchを利用すれば解消します。iTunes Matchなら、マッチングされている曲に関してもDRMフリーのままダウンロードできるため、再生や書き出しに関する制限が付きません。そして、解約後もダウンロードしたファイルをそのまま利用し続けることができます。iTunes MatchとApple Musicは個別のサービスですが、お互いを補完するような存在であるといえます。
iTunesのオリジナルファイルは削除してはいけない
Apple Musicのメンバーシップを購読すると、もれなく利用できるiCloudミュージックライブラリですが、自分のライブラリがクラウドにあるからといって、追加元であるiTunesのオリジナルファイルを削除するのはやめましょう。Apple Musicにある曲は後でダウンロードするとDRMが付いているため、Apple Musicを解約後に再生できなくなります。
iCloudミュージックライブラリをオンにしても、iTunesに元からあるオリジナルのファイルは一切変更されません。DRMフリーのファイルをそのまま残したいなら、iTunesのオリジナルファイルを削除しないことがポイントです。
ちなみに、iTunes Matchを併用している場合も削除には注意が必要です。iTunesにあるオリジナルのファイルをライブラリから削除すると、iTunes Matchの対象曲ではなくなります。追加元の曲を削除せずにストレージから削除したいだけの時は、右クリックメニューに表示される[削除]ではなく、[ダウンロードしたものを削除]コマンドを使います。
ファイルの保存場所やDRMの有無を確認する方法
Apple Musicの登場以後、iTunesのライブラリには、iTunes Storeで購入した音楽、CDなどから取り込んだ音楽、Apple Musicから追加/ダウンロードした音楽が混在するようになりました。すべての音楽をシームレスで扱えるのは便利ですが、どれが自分のファイルで、どれがApple Musicのものかわからなくなりがちです。このような場合、次の方法で確認できます。
クラウドにあるのかローカルに保存されているかを調べるには、「マイミュージック」で曲名やアルバムジャケットに表示されているアイコンに注目します。
雲のアイコンが表示されているものはクラウドに、何も表示されていなければPCのストレージに保存されています。
CDなどの音源から取り込んだ音楽(DRMフリー)か、Apple Musicからダウンロードした音楽かどうかを確認するには、「情報を見る」(Windowsでは「プロパティ」)の「ファイル」タブを開きます。
Apple Musicから追加したファイルは、「iCloudの状況」に「Apple Music」と表示されます。
Apple Musicからダウンロードしたファイルは、「FairPlayのバージョン」に「2」と表示されます。これは、DRMが付いていることを示しています。
保存場所は「Apple Music」フォルダになっており、Apple IDで関連付けられているデバイスからしか再生できません。
iTunes Storeで購入した音楽やiTunes Matchを利用している場合、ダウンロードしたファイルは「Music」フォルダに保存されます。
また「iCloudの状況」には「購入したもの」「マッチ」「アップロード済み」などと表示されます。
iPhoneではプロパティを開けないため、Apple Musicの曲とiTunesの曲を区別できません。
Apple Musicからダウンロードした曲を見つけたい時は、ライブラリの並び順で[オフライン再生可能な項目を表示]オプションを使ってみましょう。端末に保存されている曲だけが表示され、探しやすくなります。