マルウェア検出力が最も高い2つのウイルス対策アプリとは #Android

先日、ドイツのセキュリティソフト第三者評価機関のAV-TESTが、Android向けウイルス対策アプリのマルウェア検出率比較の結果を発表した。テストされた製品は検出率に応じて5段階にランク分けされた…とまでは様々なメディアで報じられているが、この調査結果にはまだ続きがある。

セキュリティアプリの検出率を比較したテスト

セキュリティソフトの第三者評価機関であるドイツのAV-TESTが、Android向けアンチウイルスアプリのマルウェア検出率のテストを行い、その結果を3月6日に発表した。

AV-TESTの調査はかつて、無料のウイルス対策アプリは無能なのかという特集でも取り上げたこともあり、ご存知の読者も多いかもしれない。今回の調査の内容はすでに多くのメディアが伝えているところなので、簡潔に説明していこう。

有名・無名あるいは有料・無料の様々なアプリが対象

テストは全41種類のアンチウイルスアプリを対象にし、618個のマルウェアをサンプルとしてその検出状況を調査している。アプリは有料・無料いずれの製品も含まれ、ベンダーも有名・無名どころ、実に様々なメーカーが含まれた。

評価対象のアプリは、マルウェア検出率に応じて①90%以上、②65%〜90%、③40%〜65%、④0%〜40%未満(0%は含まず)、⑤0%――の5つのグループにランク分けされた。

android-マルウェア検出力が最も高い2つのウイルス対策アプリとは

結果は上表の通り。ちなみに、グループ内での並びは検出率の順ではない。

まず、avast! Free Mobile Security、Dr.Web anti-virus Light、F-Secure Mobile Security、IKARUS mobile.security LITE、Kaspersky Mobile Security (Lite)、Lookout Security & Antivirus、Zoner AntiVirus Freeの7製品が、①のグループとなり最も良好だった。

Zoner AntiVirus Freeなどは、2011年のアプリオ大賞にもなっているだけあり、さすがの実力を発揮している。

次いで検出率が良かった②のグループには、AegisLab Antivirus Free、AVG Mobilation Anti-Virus Free、Bitdefender Mobile Security、ESET Mobile Security、Norton Mobile Security Lite、Quick Heal Mobile Security、Trend Micro Mobile Security、Vipre Mobile Security (BETA)、Webroot SecureAnywhere Mobileの10製品が入った。

無料セキュリティアプリで人気のAVGや、PC向けでも著名なNorton(シマンテック)Trend Micro(ウイルスバスター)といったところも、このグループにとどまっている。

およそ6割の製品が検出率65%未満

検出率65%以下に甘んじた③のグループのベンダーは、まだ広範にマルウェアを収集できる基盤が整っていなかったり、特定の市場(地域)にフォーカスしているなどで、検出にムラがあったとAV-TESTでは分析している。

「ドコモあんしんスキャン」などにも提供しているMcAfeeの製品や、Google Playストア等でも評判のよかったALYac Androidが、本グループに含まれたのは少々驚きだ。

④のグループについては信頼性が低い、⑤のグループは実際にウイルス検査をしているのかも疑わしい、という評価。最終的に、マルウェア検出力の低い③~⑤のグループのアプリが全体の6割を占める、という寂しい結果に終わった。

パーフェクトの検出率を誇った2つのアプリ

と、ここまで駆け足で調査結果についてみてきたが、ちょっと物足りなくないだろうか。そう、AV-TESTでは今も調査手順の改良を行っているためか、アプリごとの直接の検出率ランキングは公表されていないのだ。

が実は、今回の発表資料を読み進めると、各セキュリティアプリがどのマルウェア(ファミリー)を阻止できたか、あるいはできなかったかが、一覧できるようになっているのだ。まずはその表を以下にご覧いただきたい。

android-マルウェア検出力が最も高い2つのウイルス対策アプリとは

表で列を形成している縦書きの項目が、マルウェア(ファミリー)の種類だ。Geiminiなど一時期騒がれたマルウェアもある。そして、行をなしている横書きの項目は言わずもがな、セキュリティアプリを示す。

行と列が交わるマス目が全面にカラーリングされているが、グリーンが検出率90%以上、ライトグリーンが65〜90%、イエローが40〜65%、オレンジが0〜40%、レッドが0%となっている。つまり、グリーンが横に多く並ぶアプリほど、高い検出率を誇るというわけだ。

すると、すべてのマルウェア(ファミリー)を90%以上阻止しているアプリが2本あるのがお分かりだろう。Kaspersky Mobile Security (Lite)F-Secure Mobile Securityである。続いて、3位はAvast!、4位がZoner、といった感じだろうか。

カスペルスキーとエフセキュア

AV-TESTでは、ウイルスのサンプル数が増えたり、サンプルの選び方によっては検出率が変わってくるだろうとも指摘している。ただ、今回のテストに基づけば、カスペルスキーとエフセキュアが最も高いマルウェア検出力を持つアンチウイルスアプリと言えそうだ。このロシア、フィンランドの2ベンダーには今後も注目していきたい。

なおカスペルスキーには、「マルウェアと権限についての正しい理解と対策」について、詳しく話を伺っている。興味を持った方は是非、そちらの特集もご一読いただきたい。

追記

AV-TESTはこの調査の方法が一部不正確だったとして再テストを行い、13日にその結果を公表している。
詳細は、下記の通り。