Amazonでは、好きな自治体へ寄付することで返礼品を受け取れ、税金控除の対象にもなる「ふるさと納税」の提供を開始しました。Amazonのシンプルで使いやすい仕組みを活かして手軽に寄付できる点が魅力ですが、支払い方法の選択肢が限られていることやポイント還元率の低さといったデメリットもあります。
この記事では、Amazonふるさと納税を初めて利用する人に向けて、メリット・デメリットからワンストップ特例申請の実際の手順まで解説します。
Amazonふるさと納税とは? 利用の流れをざっくり解説

Amazonふるさと納税
「Amazonふるさと納税」は、Amazon会員であれば誰でもAmazonサイト上からふるさと納税の寄付ができるサービスです。2024年12月19日より提供され、全国約1000の自治体が参画、登録返礼品数は約30万となっています(2025年2月現在)。自治体数や返礼品数は今後も拡大する予定です。
以下では、Amazonふるさと納税を利用する際の基本的な流れを解説します。
控除上限額をチェックする
Amazonふるさと納税に限らず、ふるさと納税を始めるにあたってまずは「控除上限額」を知る必要があります。控除上限額とは、住民税や所得税の控除が適用される、いわば寄付の上限額のことです。
控除上限額は年収や家族構成によって異なるので、おおよその額を知りたい場合は早見表などで確認すると便利です。また、5月〜6月あたりに会社から渡される「住民税決定通知書」に記載の額をチェックすれば、大体の金額感がわかるでしょう。

ふるさと納税の「控除上限額」のモデルケース
たとえば、給与収入が300万円で独身の場合、寄付の上限額は2万8000円です。
ふるさと納税を申し込むと自己負担は2000円のみで、残りは住民税や所得税の控除・還付を受けられるというわけです。ただし、2万8000円を超える寄付をすると、その分の自己負担が増えてしまいます。
Amazonサイト上で返礼品を選んで注文する(寄付する)

続いてAmazonのサイト上で返礼品を選びます。Amazonのふるさと納税ページでは、およそ30万ほどの豊富な返礼品が揃っています。返礼品を選ぶポイントとして、自分の欲しいものや日常で使うものをカテゴリーごとに探したり、特集やランキングを参考したりするとスムーズです。
気になる返礼品を見つけたら、レビューも忘れずにチェックしましょう。新しく登録されたものでなければ、これまでのレビューもそのまま見ることができます。 返礼品を選び終えたら、そのまま注文手続きへ進みましょう。


商品詳細ページに進んだら、返礼品に「ふるさと納税」ロゴが付いていることを確認したうえで
をタップします。


カートに返礼品が追加されたら
をタップします。ここで、届け日や届け先住所、支払い方法に問題ないか確認して へ進みます。税務関連情報を入力する

注文を確定したら、同ページを下にスクロールして「ワンストップ特例申請と税務関連情報について」に表示されている
をタップします。

リンク先のアンケートフォームで住民票に登録されている氏名や住所、連絡先などを入力します。ここで、ワンストップ特例申請をおこなう場合は「オンライン」もしくは「郵送」のいずれかを指定してください。ワンストップ特例申請をおこなわない場合(確定申告をする場合)は「いいえ、ワンストップ特例申請しません」を選択します。
ワンストップ特例申請のオンライン申請はAmazonサイト上ではおこなうことはできないので注意してください。自分でオンラインでの申請を行う場合は、各自治体がオンラインのワンストップ特例申請を受け付けているか確認のうえ、選択するようにしてください。
ふるさと納税を利用して税金の控除を受けるためには「ワンストップ特例申請」または「確定申告」のいずれかの手続きが必要です。Amazonふるさと納税でも例外なく「ワンストップ特例申請」または「確定申告」の手続きが必要になりますが、それぞれ対象となるユーザーが異なります。

上図のように、分岐ポイントは「ふるさと納税以外に確定申告が必要かどうか」と「年間の寄付先の数」の2つであることがわかります。
ワンストップ特例申請を利用する場合、ふるさと納税以外での確定申告をする必要のない給与所得者である必要があります。また、同じ年度内に寄付できる自治体は最大5つまでです。6つ以上の自治体に寄付するとワンストップ特例が適用されません。つまり「ふるさと納税以外の確定申告が必要」または「年間寄付先が6自治体以上」の場合、確定申告が必要になるというわけです。

をタップしたらアンケートは提出完了です。後日、寄付先の自治体から「特例申請書」が届くので期日までにオンラインで申請します。
ワンストップ特例申請書を提出する

寄付先の自治体から「特例申請書」が届いたら、期限内に忘れずに申請をおこないましょう。ワンストップ特例申請書の提出を受け付けていない期間はないものの、2025年内に寄付した場合、ワンストップ特例申請書の提出期限は2026年1月10日までです。
Amazonふるさと納税ではワンストップ特例申請の手続きをAmazon上でおこなうことはできないものの、「ふるまど」や「自治体マイページ」などの外部サービスを活用すればオンライン申請が可能です。ただし、これらのサービスは導入している自治体のみ利用可能で、対応していない自治体ではオンライン申請ができないので注意してください。
郵送またはオンラインで、ワンストップ特例申請書の提出が済んだら、あとは特にやることはありません。返礼品が届くのを待ち、住民税の控除が適用されるのを確認するのみです。
Amazonふるさと納税のメリット・デメリット
ここでは、Amazonふるさと納税と他のふるさと納税サイトを比較し、特に際立つメリット・デメリットについて解説します。
サイト名 | 特徴 | 取り扱い自治体数 | 返礼品数 |
---|---|---|---|
Amazonふるさと納税 |
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約1000以上 | 約30万点 |
楽天ふるさと納税 |
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1690以上 | 約57万点 |
ふるさとチョイス |
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1788以上 | 約76万点 |
さとふる |
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1447以上 | 約20万点 |
ふるなび |
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約1400以上 | 約63万点 |
取り扱い自治体数や返礼品数は2025年2月12日時点
ふるさと納税の各ポータルサイトの特徴、参入している自治体数、返礼数で比較してみると、Amazonふるさと納税は参入してから日が浅いにもかかわらず、いずれのカテゴリでも見劣りしないラインアップです。Amazonアカウントさえ持っていれば手軽にふるさと納税が始められるという点で特に魅力的といえます。
メリット1:使い慣れたプラットフォームで寄付できる
Amazonふるさと納税は新たな会員登録が不要で、普段のAmazonでの買い物と同じ感覚で手続きが可能です。
Amazonアカウントにログインしたまま、追加のアプリやアカウントを作成することなくスムーズに寄付できます。普段からAmazonを利用している人にとっては、使い慣れた環境で手軽に寄付できる点は魅力的といえるでしょう。

ブラウザ版

アプリ版
ちなみに、Amazonふるさと納税はブラウザからでもアプリからでもアクセス可能です。
メリット2:最短で翌日に届く

Amazonふるさと納税は、Amazonの物流システムを活用しているため配送が早いという特徴があります。
サイト内でも「最短翌日に配送可能な返礼品」を特集しており、ジャンルごとに分かれたおすすめの返礼品をスムーズに探せるようになっています。
メリット3:配送日がわかりやすい

配送日がわかりやすいのも、Amazonふるさと納税のメリットのひとつです。注文画面には、普段の買い物と同様の位置に「お届け日」が表示されるようになっています。
ふるさと納税といえば「◯月中旬〜下旬頃お届け」のように発注・配送時期の指定ができないイメージがあるものの、Amazonふるさと納税では注文履歴から配送状況を簡単に確認できます。普段の買い物と同じようにふるさと納税の返礼品の注文管理ができるようになっています。


実際に筆者が寄付した返礼品をAmazonの注文履歴で確認すると、商品詳細や配送予定日などが通常の買い物と同じように表示されていました。
メリット4:Amazon優遇の寄付額が設定された返礼品を探せる

Amazon「これ良い値」
Amazonふるさと納税では、各地方自治体がAmazon向けに設定した特別寄付額の返礼品を「これ、良い値」という特集としてピックアップしています。Amazon限定で自治体が特別な寄付額を設定しており、特集内の返礼品はAmazonふるさと納税から寄付するのがお得というわけです。
桃やシャインマスカット、精肉などの人気なものから、日用品や雑貨など便利なもの、復興支援の音楽ライブのチケットや料亭の出張シェフ、映画村での殺陣レッスン、仏式婚礼などユニークなものまで、そのラインアップは多種多様です。
メリット5:少額寄付で返礼品がもらえる
Amazonふるさと納税では、少額寄付で選べる返礼品が多数用意されています。単身住まいでも使いやすい「小分けパック」の食品や日用品、ギフトカードの返礼品も多数揃えられており、購入しやすい仕組みです。

寄付額から返礼品を選ぶには「寄付額から選ぶ」の項目から金額を指定するとよいでしょう。ふるさと納税といえば高額返礼品が多い印象ですが、5000円以下で絞れば豪華な返礼品が多数用意されています。
たとえば、寄付額5000円以下でおすすめの返礼品は下記のようなものがあります。
デメリット1:ポイント還元が最大3%にとどまる

Amazonふるさと納税では、Amazon Mastercardで支払うとプライム会員は2%、非会員は1.5%のAmazonポイントが還元されます。さらに、Amazonアカウントとdアカウントを連携すると、5000円以上の寄付で1%分のdポイントが付与され、最大3%のポイント還元を受けることができます。
一方で、楽天ふるさと納税ではお買い物マラソンや楽天スーパーセールの開催時に最大30%以上のポイント還元が可能であり、さとふるではキャンペーンにエントリーすることでPayPayポイントやAmazonギフトカードへ交換できる「さとふるマイポイント」が貯まるなど、Amazonふるさと納税のポイント還元率は他サイトと比較すると低めです。
デメリット2:支払い方法はクレジットカードとデビットカードのみ
Amazonふるさと納税の寄付(支払い)方法は、クレジットカードとデビットカードのみ対応しています。さらに、寄付者本人名義のカードのみ使用可能で、利用できるブランドはVisa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Clubに限られます。
多くのふるさと納税サイトでは、自治体によって異なるものの銀行振込やコンビニ支払いなどにも対応しているため、こうした支払い方法を希望する人にとっては不便に感じる点かもしれません。
Amazonふるさと納税 |
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楽天ふるさと納税 |
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ふるさとチョイス |
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さとふる |
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ふるなび |
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デメリット3:Amazonサイト上でのワンストップ特例申請に非対応
Amazonふるさと納税は、Amazonサイト上でのワンストップ特例制度に対応していません。各サイト上でワンストップ特例制度のオンライン申し込みができるサイトも少なくない中、Amazonサイト上で申請まで一括でできないのはデメリットといえるでしょう。
とはいえ、Amazonふるさと納税でオンラインワンストップ特例申請ができないというわけではありません。各自治体によるものの、外部サイトを利用すればオンラインでのワンストップ特例申請も可能です。

①自治体のふるさと納税サイトにアクセスする
自分が寄付した自治体がオンラインでのワンストップ特例申請に対応しているか確認するには、「〇〇(自治体名) ふるさと納税」と検索し、自治体の公式サイトを参照しましょう。

②「Amazonふるさと納税」「ワンストップ特例申請」「オンライン申請」など関連するページを開く
今回は筆者が寄付した秋田県秋田市を例に挙げてみます。まずは、秋田市のふるさと納税専用ページを開きます。
「Amazonふるさと納税」「ワンストップ特例申請」「オンライン申請」など関連するページをクリック(タップ)します。

③オンラインで申請可能かどうかや可能な条件を確認する
オンラインワンストップ特例の申請が可能かどうかや、可能であれば申請の条件、申請のやり方や流れが記載されているので、それらを確認してください。
秋田県秋田市はAmazonふるさと納税に限らずオンライン申請が可能である点や、オンライン申請は「自治体マイページ」の利用が可能である点がわかりました。このように、各自治体でオンライン申請が可能かどうか確認します。
オンラインでの申請には後日寄付先の自治体から届く「特例申請書」や「マイナンバーカード」、デジタル庁提供の「マイナポータルアプリ」などが必要です。特例申請書が届くのを待ってから申請に進みましょう。
デメリット4:寄附金受領証明書のXML形式出力に未対応

寄附金受領書は自宅で保管しておく
寄附金受領証明書は、寄付をしたすべての人に郵送される証明書です。通常、ふるさと納税の支払い完了後、数日から数週間ほどで自宅に封筒で届きます。
サイトによってはその寄附金受領証明書をデータ(「寄付金控除に関する証明書」のXMLデータ)で出力できるようになっており、たとえば楽天ふるさと納税やふるなび、ふるさとチョイス、さとふるでは、寄付金控除に関する証明書のデータ出力に対応しています。データで出力した寄付金控除に関する証明書は、寄付金受領証明書の代わりに確定申告の際に利用できるようになっています。
一方、Amazonふるさと納税では、寄付金控除に関する証明書のXMLデータの出力には対応していません。「寄附金受領証明書」を紛失しないよう、しっかり保管しておく必要があります。
Amazonふるさと納税に関するよくある疑問と答え
Amazonふるさと納税に関して、よくある疑問点とその答えをまとめています。
Amazonふるさと納税はいつから開始された?
Amazonふるさと納税は、2024年12月19日から提供開始されています。
Amazonふるさと納税は、Amazonサイト上でふるさと納税の寄付ができるサービスです。すでに特設サイトがあり、そこから注文をすることで寄付が完了します。2025年のふるさと納税控除を受けるには、2025年12月31日までに寄付を完了させる必要があります。
Amazonふるさと納税ではポイントは貯まる?
Amazonふるさと納税では、Amazon Mastercardでの支払いをするか、Amazonアカウントとdアカウントを連携したうえで5000円以上を寄付すると、最大3%のポイント還元を受けることができます。
Amazonふるさと納税では、通常ポイントが貯まるようなキャンペーンや支払い方法は限定されています。
2025年2月時点では、Amazon Mastercardでの支払いをするとプライム会員は2%(非会員は1.5%)のAmazonポイント、Amazonアカウントとdアカウントを連携したうえで5000円以上を寄付すると1%のdポイントが還元されます。
Amazonふるさと納税はワンストップ特例申請に対応している?
郵送でのワンストップ特例制度には対応しているものの、Amazonサイト上でのオンライン申請には対応していません。
ワンストップ特例制度の利用を希望する場合は、寄付申込完了後に表示されるアンケートに回答し、後日寄付先の自治体から届く「特例申請書」を期日までに郵送にて申請する必要があります。