リアルタイムドラマの金字塔、海外ドラマブームの火付け役となった『24 -TWENTY FOUR -』

『24 -TWENTY FOUR- レガシー』も配信中

昨今、たくさんの海外ドラマが動画配信サービスから続々と登場しています。どれもこれも映画のようなクオリティで釘付けになってしまうような作品ばかりの中、連続ドラマもこんなに面白いのだと世界中に印象づけた作品と言えば、やはり『24 -TWENTY FOUR -』でしょう。

2001年にシーズン1が全米で放送され、2010年のシーズン8まで制作。日本でもアメリカでも大変な人気を博しました。その後、スピンオフの『24-TWENTY FOUR- リブ・アナザー・デイ』、『24 -TWENTY FOUR- レガシー』も制作され、今でも根強いファンが世界中にいます。

主演のキーファー・サザーランドはかつて映画の世界の売れっ子俳優で、このドラマシリーズにより人気が再燃。それまでハリウッドの俳優たちの間では、映画に出演するほうが役者としてステータスが高いと考えられてきました。このドラマ以降、ドラマに大物俳優も出演するようになります。

今の海外ドラマは大作映画並の制作費をかけて作られているものもありますが、『24』のヒットがなければこうした時代は訪れなかったかもしれません。その意味で、とても重要な作品と言えるでしょう。

事件が「今」起きているかのように楽しめるドラマ

『24』という作品の最もユニークな点は、なんといってもドラマの放送時間の進行と事件の進行時間がシンクロしているところ。ドラマ放送の1分はそのまま「物語の中の1分」であり、リアルタイムで事件が進行しているかのような緊迫感を観る人に与えてくれます。

タイトルの『24』は、一つのエピソードで1時間を描き、全24話で24時間進行するという、たった1日に起こる物語を描いているところから来ています。たった1日でこんなにもたくさんのことが起きるのかと思い知らされます。

この1日の物語に、たくさんの内容が詰まっているのは、同時に複数のエピソードが時を同じくして進行しているからで、それぞれの事件は一見関係のなさそうに見えて、後で伏線としてひとつの物語に収束していきます。毎回そのエピソードの繋がりを作る手際が見事で驚かされます。

ドキュメンタリーのような緊迫感

『24』の放送時間は1時間で、実際のドラマの中の進行時間もきっちり1時間という、リアルタイム進行が持ち味です。テレビ放送時はCMも当然入るわけですが、CM前後にデジタル時計で進行具合を示す演出をしています。CMの時間分もきっちり時計は進行していて、こちらがCMを観ている最中も物語は進行しているのがわかります。

普通のドラマだったらCM前後はシーンが続くところで、『24』はシーンが少し飛んでいるのは見逃せません。「CMの間にどんな展開があったんだろう?」と想像力を掻き立てられます。

加えて、手持ちカメラによってブレる効果をよく用いて、ドキュメンタリーのような雰囲気を作っているのも効果的で、リアリティを感じさせる作りになっています。

誰を信用できるのかわからないスリル

このドラマは、ロサンゼルスにあるテロ対策特殊ユニット(CTU)が難事件に挑む物語で、テロや暗殺計画などの大きな事件と並行して、主人公・ジャック・バウアーの家族の物語などが同時進行で描かれます。一見、つながりのない複数のエピソードが同じ時間軸で同時に展開していくのですが、最後にはそれが一本の大きな事件とつながっていく、先読みのできない展開も魅力のひとつ。

さらに、CTUのメンバーもいつも一枚岩で協力的なわけでもなく、ジャックと半目しあっているメンバーや、時には内部に裏切り者がいたりすることもあったりして、誰の言うことが正しいのか、誰が信用できるのかもわからないまま時間が刻一刻と進行していきます。こういう状態だと先が気になるというよりも不安を覚えるので、不安解消のために続きを観たくなってきます。

『24』にハマる人は、どんどん次から次へと展開が気になるので一気見をする人も多いようですが、それは人を引き込むためのたくさんの仕掛けが施されているからでしょう。

今の海外ドラマブームの火付け役となったこのシリーズ。色褪せない魅力のある作品です。

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