今回はソニーのスマートフォン「Xperia」シリーズの中堅モデル「Xperia 5 V(エクスペリア ファイブ マークファイブ)」をレビューします。上位モデルはXperia 1 VやXperia PRO-I、下位モデルはXperia 10 V、Xperia Ace IIIとなります。位置づけ的にはまさに中堅と言っていいでしょう。
価格は販売ルートによりますが、ソニーストアではSIMフリーモデルが13万9700円(税込)となります。とても中堅モデルとは思えない値段ですが、スマホ全体が値上がり傾向なので、特別に高いわけではありません。今や上位モデルは20万円前後なのです。
中堅モデルといっても、約14万円なので長く使えないと買う気になれないでしょう。そんな点も含めてXperia 5 Vを詳しく紹介していきます。
おなじみの細長ボディは持ちやすいが画面は広くない

新登場のXperia 5 V
Xperiaシリーズは、細長い画面・ボディを採用するのが特徴です。サイズは6.1インチで、縦横比は21:9、解像度は2520×1080となります。おなじみのiPhone 15 Proも同じ6.1インチですが、縦横比は19.5:9、解像度は2565×1179です。同じ6.1インチでありながら縦横比が異なるため、Xperiaは細長く実際の面積は狭くなります。
ただし、Xperiaはそういったコンセプトのモデルであるため、悪いポイントではありません。横幅は約68mmとスリムなので持ちやすく、映画を観る際に黒フチが出ません。逆に、4:3の写真を表示すると黒フチが盛大に表示されます。どちらかというと動画向きのスマホと言っていいでしょう。電子書籍を読むときにも画面が狭く感じます。ゲームは対応次第で広く使えます。
iPhone 15 Proは上位モデルだけに、直接比較するとさすがに分が悪く、画面の輝度が大幅に違います。また、額縁の細さも圧倒的です。とはいえ、Xperia 5 Vも価格を考えれば十分に納得できるディスプレイを採用しています。有機ELディスプレイでリフレッシュレートが120Hzなので、さまざまなコンテンツを快適に視聴できます。

iPhone 15 Pro(左)と比べると細長い画面が特徴だ(iPhone 15 Proにはフィルムを貼付)

画面輝度はiPhone 15 Proが高く、額縁の太さもずいぶん違う

Xperia 5 Vは、180g台前半ととても軽い
本体にはシャッターボタンとヘッドホン端子を搭載
Xperia 5 Vの本体デザインは、Xperiaシリーズ共通のコンセプトで、角張ったスタイルをしています。高級感は文句なしで、今回レビューしている「プラチナシルバー」は、清潔感があってとても素敵です。カラーバリエーションは他にもブラック、ブルーが用意されています。どのモデルも薄めの色合いでクセがなく、飽きることがないでしょう。
本体サイドには指紋センサー兼用の電源ボタンを配置し、その下にはシャッターボタンが搭載されています。本体を横持ちして撮影する際に、とても重宝するボタンです。さらに、有線ヘッドホン端子も搭載します。オーディオに強いソニーらしく、有線のヘッドホンやイヤホンも使えるというわけです。
どちらも、Xperiaシリーズの多くのモデルが踏襲しているコンセプトです。もちろん、おサイフケータイを搭載し、防水となります。

プラチナシルバーはとても美しい

本体側面の一番下に位置しているボタンはシャッターに利用できる

3.5mmのオーディオジャックを搭載する
チップには「Snapdragon 8 Gen 2」を採用、パフォーマンスも快適
Xperia 5 Vが搭載するチップは、Snapdragon 8 Gen 2と現時点で最高クラスの性能で、パフォーマンスも最上です。テキパキと利用でき、末永く快適に使えます。チップの性能が、14万円近い価格を妥当だと思わせてくれます。さらに、メモリは8GB、ストレージは256GBです。若干物足りないのがストレージで、4K動画を撮影していると不足を感じるでしょう。ただし、microSDカードには対応しているので、こちらで容量を増やすのが正解です。
バッテリーの容量は5000mAhで、スリムな本体を考えると十分。さらに、長期間使ってもバッテリーがへたらないよう工夫されています。たとえば、「いたわり充電」はバッテリーの容量を制限する代わりに長期間へたらないようにする設定です。今や、多くの機種が搭載している機能ですが、制限する容量を80%と90%から選べるなど使い勝手が工夫されています。
高性能なチップと長期間使えるバッテリーで、4〜5年は問題なく使い続けられるでしょう。ただし、バッテリーは使い方によって交換が必要になる可能性もあります。

性能は文句なしで、ベンチマークのスコアも立派だ

バッテリー関係のメニューがとても充実している


「いたわり充電」で長期間使っても、バッテリー容量が減りにくい
カメラは超広角と広角の2つに減っている
1つ前のモデル「Xperia 5 IV」はカメラを3つ搭載していました。16mmの超広角・24mmの広角・60mmの望遠で、すべて1220万画素です。
ところが、Xperia 5 Vはカメラが2つになっています。搭載するのは16mmの超広角と24mmの広角です。16mmの超広角は1200万画素で、24mmの広角は4800万画素です。この24mmのカメラは、1200万画素の2倍ズーム(48mm)としても機能します。
カメラが2つになったことをどう考えるかは微妙なところで、間違いなくスペックはダウンしています。しかし、それを画素数の高いカメラで補っているわけです。評価は人によって異なるでしょう。カメラにこだわるソニーだけに、3つのカメラのままで解像度を上げるのが最適解だったはずです。ただ、それによって価格が高くなると、上位モデルのXperia 1 Vと近くなってしまうということなのかもしれません。
実際に使ってみるとカメラは3つ切り替えられるので、2つしか搭載していないことはデメリットに感じません。

カメラは超広角(16mm)と広角(24mm)の2眼構成に
カメラはやや明るいが十分美しい
今回は、iPhone 15 Proと写真を比較してみました。Xperia 5 Vは、やや明るすぎるように映る傾向がありましたが、これは調整できます。画質は文句なしでどちらも大満足できるはずです。
もはや、スマホの写真は「普通にきれいなら十分」という人がほとんどでしょう。そういった観点では、どちらのモデルもまったく問題ありません。

標準の広角で撮影。iPhoneの色がやや濃すぎるように感じるか、Xperia 5 Vが明るすぎると感じるかは好みなので調整すれば良い

超広角で撮影。どちらも文句なしで、空の色はXperia 5 Vのほうが自然だ

2倍ズームで撮影した。Xperia 5 Vはやはりやや明るい

ポートレートで撮影。どちらも美しいぼけ方だ
まとめ
Xperia 5 Vは、中堅クラスのスタンダードモデルとして人気が出そうです。ソニーの製品PRからは、若年層への意識も強く感じます。
とはいえ、デザインはシンプルなので、中高年が利用してもまったく違和感はありません。スマホに突出した機能を求めていない人でも、長期間快適に使いたいならおすすめのモデルといえます。写真も普通の感覚で撮影して十分に美しく撮れます。