ワイヤレス充電(Qi:チー)に対応しているスマートフォンが増えてきました。筆者が使っているGalaxy S8+やiPhone Xも、ワイヤレス充電が可能です。充電パッドを快適に使っている人も少なくないでしょう。
そんななかで最近気になっているのが、ワイヤレス充電に対応したモバイルバッテリーです。Amazonなどで検索すると大量の製品がヒットします。しかも価格は2000円台が主流で、とても割安に感じます。そこで今回は、試しに2モデルを買って使ってみました。
ワイヤレス充電器はどれが買い? 売れ筋ランキングを紹介【ヨドバシ吉祥寺編】
どれがおすすめ? 利用デバイスで考える最適な「モバイルバッテリー」の選び方【スマホ/iPhone/パソコン/急速充電など】
購入したワイヤレスモバイルバッテリーは?
アマゾンで検索すると、大量のワイヤレスバッテリーがヒットしますが、筆者が購入した時点では、まだ5製品くらいしか登録されていませんでした。価格もほぼ同じで、容量などのスペックもさほど変わりません。レビューなどもほとんどなかったので、スペックを参考に2つを手に入れてみました。
YURI-shopの1000mAhモデル(製品名不明)
YURI-shopのQi対応バッテリー
容量10000mAhのコンパクトなモデル。コンパクトで質感もさほど悪くありません。ただし、充電の位置がシビアなようで、ちょっとずれていると上手く充電されないことがあります。
DelitooのQi対応バッテリー
Delitoo Qi対応バッテリー
12000mAhと容量が少し大きなモデルです。こちらは質感が非常にチープで、ワイヤレス充電部分のマークはヨレヨレでした。シールが上手く貼れていないような印象です。また、LED表示の部分にも購入した時点で薄い傷がありました。
充電はスマホを上に置くだけでOK
両製品ともiPhone X、Galaxy S8+に対応しています。テストしてみると、ワイヤレスでの充電は可能でした。ただし反応が悪いのか、一度では充電できずに、何度か置き直すと充電ができていることがありました。「YURI-shopのQi対応バッテリー」は特に位置がシビアで、ポイントがずれると充電ができないケースも見受けられました。
写真ではわかりにくいが、モバイルバッテリーの上に置くだけで充電できる
スマホの画面を見ると充電の状況が表示される
筆者はスマホを純正のケースに入れて利用していますが、どちらもケースに入れたままで充電できています。置くだけで充電できるのはとても便利です。ただ、出力が5Wとワイヤレスでの高速充電には対応していませんから、充電時間はかなり長くなります。ワイヤレス充電パッドには、10Wに対応する急速充電タイプの製品が登場しています。スマホ側の対応が必要で、iPhone Xは非対応。Galaxy S8+は対応しています。
最近はユーザーレビューも増えており、充電できないといった声も少なくありません。ケースが付いていると、ワイヤレスでは充電できない可能性があります。今回は純正のケースでテストしていますが、市販のケースでは上手く使えないこともあるので気をつけてください。
少しずれても、上手く充電できないことがあるので注意
ケーブルが不要なのは便利だが欠点も
ケーブル要らずで充電できるのは、とにかく便利です。特に外出の際、ケーブルを持っていかなくてよいのは、ありがたいことこの上なしです。ところが困ったことに、ワイヤレスのバッテリーは位置がずれると充電ができなくなります。
そこで、持ち歩く際にはゴムバンドで止めて利用しています。この方法ならカバンの中でも充電ができるものの、事実上「充電しながら使えない」という欠点があります。しばらく持ち歩きましたが、結局普段の持ち歩きにはケーブルタイプのバッテリーを持参するようになりました。
移動中はゴムバンドで止めて充電した
自宅でもQi対応のワイヤレス充電パッドを利用していますが、主に夜寝ている間の充電に重宝しています。結局、ワイヤレス充電は充電しながら使うことができないので、スマホを長時間使わない際の充電にこそ向くわけです。最も便利なのは、旅行や出張での持ち歩きでしょう。夜寝ている間にスマホを置いておくだけで充電できます。
通常のモバイルバッテリーとしても利用可能
ほとんどのワイヤレスバッテリーは、通常のUSBポートを搭載しています。これにより、通常のモバイルバッテリーとしても利用できるわけです。結局、移動中はケーブルを使って充電するのが正解でしょう。筆者のようにゴムバンドを持って歩くなら、ケーブルを持ち歩いても大して変わりません。
ケーブルによる接続なら、5V/2Aで充電できます。つまり、モバイルバッテリーとしてはごく一般的な性能になります。最近は2000円程度のモバイルバッテリーでも、QuickChargeに対応する製品が増えてきました。それらと比べると、ケーブルで接続した時の充電に時間がかかるわけです。もちろん、スマホ側もQuickChargeによる充電に対応している必要があります。
つまり、ケーブル接続が基本的な使い方になるなら、通常のモバイルバッテリーを選んだほうがよいのです。
どちらのバッテリーもUSBケーブルによる充電にも対応する
もう少し様子見が正解か
そもそも、ワイヤレスの充電には時間がかかります。最近のスマートフォンは5V/2Aでの充電が普通で、多くのモバイルバッテリーが対応しています。ところが、ワイヤレスモバイルバッテリーの出力は5V/1.0Aですから、充電性能としては一世代前と思ったほうがいいでしょう。
充電時間はとても長く感じます。さらに充電時にロスが発生するので、容量の表示どおりに充電できるとは限りません。もちろん、寝ている間に充電するなら満足できるでしょう。とはいえ、それならバッテリーを利用する意味がよくわからなくなってきます。移動中に使うのでなければ、ワイヤレスの充電パッドでも十分ではないでしょうか。ワイヤレスの充電パッドには、前記のように、最大10Wで充電できる製品があります。
Qi対応のワイヤレスモバイルバッテリーは、これまでに紹介したように2000円台で多くの種類が選べるようになりました。ガジェット好きの人は、ある程度の妥協を覚悟で買うのもアリです。本気で使いこなしたい人は、Ankerやcheeroなど有名メーカーから製品が登場するのを待っても遅くはないでしょう。
さらに、ケーブル接続の充電がQuickChargeに対応してくれば、ケーブルによる接続なら急速充電、宿泊先では置くだけ充電と使い分けられます。また、有名メーカーではないモバイルバッテリーには、昔から実際の容量が不足しているのではないかという疑念が付きまとってます。有名メーカーの製品なら、このあたりも安心できるでしょう。
左から2つが今回取り上げたワイヤレスモバイルバッテリー。その右がAnkerの「PowerCore II Slim 10000」。通常のモバイルバッテリーはコンパクトでスリムだ
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部