「Paidy(ペイディ)」は、買い物ごとの利用代金を翌月にまとめて支払える“あと払い”の決済サービスです。AmazonやQoo10をはじめ、さまざまな通販サイトで採用されています。
ただ、クレジットカードや代金引換と比べて、ペイディはまだ世の中に浸透しているとはいえません。「何となく怖い」「よく知らない」といった理由で利用をためらっている人は少なくないでしょう。
そこで今回、Amazonで実際にペイディを使ってみました。決済手順や使用感、メリット・デメリット、注意点などを実体験ベースで詳しく解説します。
Paidy(ペイディ)とは?
ペイディは、東京都に本社をかまえる株式会社Paidyが運営する決済サービスです。2021年9月にアメリカの決済会社大手、PayPal(ペイパル)に約3000億円で買収されたことでも話題を集めました。
まずは、ペイディとはどんなサービスなのか簡単に紹介します。
翌月にまとめて支払える「あと払い」サービス
ペイディは、買い物ごとの利用代金を翌月にまとめて支払える「あと払い」ができるサービスです。

ペイディでは、1日〜月末までの利用分をまとめて翌月1日〜10日の間に精算します。たとえば、ペイディを利用して9月10日にAmazonで5000円のバッグを購入、9月20日にQoo10で2000円の洋服を購入、9月28日にSHOPLISTで3000円の帽子を購入した場合、購入総額の1万円を10月1日〜10日までに支払うイメージです。
「欲しいバッグが最後の1点で今買わなければならない。でも給料日前で手持ちのお金が足りない」といった場合、支払いのタイミングを先にずらせると助かります。
概要 | 手数料 | 精算期間 | |
---|---|---|---|
コンビニ支払い | コンビニのレジで現金を支払う | 356円(税込) | 毎月1日〜10日の間の好きなタイミングで支払う |
銀行振込 | メールで届く請求書に記載されている口座に振り込む | 銀行により異なる(多くは数百円程度) | 毎月1日〜10日の間の好きなタイミングで支払う |
口座振替 | 登録した銀行口座から自動で引き落とされる | 無料 | 毎月12日に自動引き落とし |
ペイディで利用した金額は、「コンビニ支払い」「銀行振込」「口座振替」のいずれかの方法で精算します。
口座振替なら手数料が発生しないので、手数料無料で利用したい場合は買い物をする前に振り替え用の口座設定をしておくことをおすすめします(手順は後述)。
電話番号とメールアドレスさえあればすぐ利用できる
ペイディの最大の特徴(メリット)は、電話番号とメールアドレスさえあればすぐに利用開始できること。
一般に「後払い」サービスは、手元にお金がなくても買い物ができてしまうため、(事業者には)期日どおり支払いがされなかったり、支払いを踏み倒されたりするリスクがあります。そのため、利用開始にあたっては審査がおこなわれるケースがほとんどです。
後払いサービスの代表ともいえる「クレジットカード」の場合、発行の際には住所や名前だけではなく、勤務先や年収などの個人情報の提供が必要です。

初期設定で求められるのは電話番号とメールアドレスの入力だけ
この点、ペイディはメールアドレスや電話番号などを記入するだけで登録完了。年齢や職業はおろか、住所の入力さえ求められません。追加の本人確認を済ませることでさまざまなオプション機能が使えるようになりますが、メールアドレスや電話番号だけの登録状況でも問題なく使えます。
後述するように、ペイディにも審査がないわけではありません。しかし、他のサービスと比べると利用開始のハードルはかなり低いといえるでしょう。
さまざまなオンラインショップで利用できる
ペイディはAmazonをはじめ、Qoo10やビックカメラ、SHOPLIST、ふるさとチョイスなど多くの通販サイトで利用できます。
Amazon/Qoo10/Rakutenラクマ/ビックカメラ/BUYMA(バイマ)/SHOPLIST(ショップリスト)/ふるさとチョイス/セカンドストリート/fifth/PEACH JOHN/エアトリ/DMM.com/GLADD/MAGASEEKなど
また、支払い設定が簡単なのもペイディのメリットのひとつ。最初にペイディの利用登録を済ませてしてしまえば、通販サイトに電話番号とメールアドレスを入力するだけで支払いができるようになります。
クレジットカードのように、いちいちカード番号やセキュリティ番号、名義などを入力する必要がないので、利用開始がとてもスムーズです。また、バーチャルカードの「ペイディカード」を発行すると、Visaマークのある通販サイトならどこでも利用可能になります。
Amazonでの支払いに「ペイディ」を使ってみた
ここからは、実際にAmazonでペイディ(あと払い)を利用して、精算するまでの手順を紹介します。なお、手順は他のオンラインショップでもほぼ同じです。Amazon以外を利用する場合でも参考にしてください。
最大5%ポイント還元キャンペーンにエントリー

Amazonで「あと払い(ペイディ)」を利用すると、1回あたりの決済金額(税込)に応じて1%〜最大5%のAmazonポイントが付与されます。

上表の通り、1回あたりの決済金額が多くなればなるほど、ポイント還元率もアップする仕組みです。したがって、高還元率を狙うなら複数の商品をカートに入れてまとめて注文するのがおすすめです。
ポイントの付与上限は毎月最大1500Pまで。1日~末日までの獲得ポイントが、翌々月中旬頃(2024年2月中旬)に一括で付与されます。
キャンペーン名 | あと払い (ペイディ)で買い物をするたび合計金額から最大5%ポイント還元キャンペーン |
---|---|
開催期間 | 終了日未定で開催中 |
ポイント付与対象 | デジタルコンテンツを除くあと払い (ペイディ) で購入が可能な商品全て |
エントリー | 必須 |
ポイント還元率 |
|
ポイント付与上限 | 毎月最大1500ポイントまで |
ポイント付与時期 | 翌々月中旬頃 |
ポイントアップ条件は、(1)特設サイトでエントリーすること、(2)あと払い (ペイディ)で決済することの2点。
なお、キャンペーンエントリーは毎月1日にリセットされます。月をまたいでキャンペーンに参加する場合は開催月ごとにエントリーが必要となるので注意しましょう。
「Paidy」アプリをダウンロード
iPhoneはApp Store、AndroidスマホはGoogle Playストアで「Paidy(ペイディ)」アプリをインストールしましょう(上のボタンから直接遷移できます)。
登録はWebサイト経由でもおこなえますが、今後明細を確認したり精算したりするのにアプリがあったほうが断然便利です。
電話番号認証を済ませる


アプリを起動したら、チュートリアルを一読して[スキップ]をタップ。続く画面で、メールアドレスと電話番号を両方入力して[認証コードを受け取る]をタップしましょう。
端末のSMS(ショートメッセージサービス)に4桁の数字が届いているはずなので、これを30秒以内に入力してください。


パスコードやFace ID連携といったセキュリティ設定をおこなえば、初期設定は完了です。Paidyアプリのトップ画面が表示されます。
必要に応じて銀行口座を連携しておく


支払い方法(精算方法)は、デフォルトで「コンビニ払い・銀行振込」に設定されています。口座引き落としで精算したい場合、買い物前に設定を済ませておきましょう。

「アカウント」タブから[お支払い方法]に進みます。口座振替の[申し込む]ボタンをタップしたら、案内にしたがって設定してください。
Amazonとペイディアカウントを連携する
続いて、ペイディアカウントをAmazonに登録しましょう。ここでは、Amazonショッピングアプリの画面で解説します。


画面下部にある人型アイコンをタップ。「アカウントサービス」に進み、「お客様の支払い方法」をタップしてください。


「+追加」ボタンをタップし、「あと払い(ペイディ)アカウントを追加」を選択します。


続く画面で、ペイディに登録したメールアドレス・電話番号情報と氏名を入力します。請求書住所を選択したら「同意して認証コードを送信する」を押してください。


あとは正しい認証コードを入力し、[認証コードを検証]をタップすればOK。これで、Amazonの支払い方法にペイディのを追加できました。
欲しい商品をカートに入れる
Amazon.co.jpで欲しい商品を選び、カートに入れて[レジへ進む]をタップしましょう。

なお、「あと払い(ペイディ)利用で最大5%還元キャンペーン」で高還元率を狙うなら、複数の商品をカートに入れてまとめて注文(決済)するのがおすすめです。
というのも、本キャンペーンは1回あたりの決済金額が増えるごとにポイント還元率がアップする仕組み(下表参照)。複数の商品をカートに入れてまとめて注文すれば、必然的に決済金額も高額になるので高い還元率が狙いやすくなります。

支払い方法を「あと払い(ペイディ)」に指定して商品を注文する

Amazonで欲しい商品をカートに入れたら[レジに進む]ボタンをタップ。支払い方法の選択画面で「あと払い(ペイディ)」にチェックを入れ、
を押します。
最後に、注文確認画面で支払い方法があと払い(ペイディ)になっていることを確認したら、
ボタンを押します。なお、ペイディでは決済ごとに与信審査がおこなわれます。ユーザーのサービス利用状況(支払い遅延の有無など)によっては、決済が承認されないこともあるので注意しましょう。
Paidyでは決済ごとに与信審査を行っております。審査結果によってはPaidyをご利用いただけない場合がございます。お手数ですが、「決済が承認されませんでした」というメッセージが表示される場合は、ショップが提供するPaidy以外のお支払い方法をご利用いただきますようお願いいたします。なお、審査基準の詳細は開示できかねますのでご了承ください。
商品の発送完了と同時に決済が確定する


商品の発送完了と同時に、ペイディから決済確定のメールが届きます。Paidyアプリの「ご利用明細」タブにも確定した金額が記載されているのでチェックしてみましょう。
翌月1日から10日までの期間に精算する

ペイディの1カ月分の請求金額が確定し次第、メールとSMS経由で支払い方法の案内(請求書)が届きます。10日までに以下いずれかの手段で支払いを済ませましょう。
あらかじめ口座引き落とし設定を済ませている人は、毎月12日に利用金額が自動で引き落とされます。請求金額分が口座にあるか確認しておきましょう。
方法1:セブンイレブン・ローソン・ミニストップ・セイコーマートで支払う


精算期間になったら、Paidyアプリを開き「ホーム」タブの[お支払い]ボタンを押します。続く画面で[お支払い方法を選ぶ]をタップしましょう。


すぐにバーコードが表示されるので、この画面を各コンビニのレジでスタッフに提示します。あとは、案内された通りにお金を支払えばOKです。1回の精算につき手数料356円が発生します。
方法2:ファミリーマートで支払う
前述と同じ要領で、「Paidy」アプリを開き「ホーム」タブの[お支払い]ボタンを押します。続く画面で[お支払い方法を選ぶ]をタップします。


[ファミリーマート]を選択すると、「お支払い受付番号」と支払い方法が表示されます。

案内通り、店内にあるマルチコピー機を操作してお支払い受付番号を入力しましょう。発券されたレシートをレジのスタッフに渡して、現金を支払えばOKです。1回の精算につき手数料356円が発生します。
方法3:銀行振込で支払う
前述と同じ要領で、「Paidy」アプリを開き「ホーム」タブの[お支払い]ボタンを押します。続く画面で[お支払い方法を選ぶ]をタップします。


支払い方法の選択画面で「お客様専用振込口座」を選択。あとは記載されている「お客様専用振込口座」に利用金額を振り込めば精算完了です。振り込み手数料はユーザー側の負担となります。
実際に使って感じたデメリットや注意点
最後に、実際にペイディあと払いを使って感じたデメリットや注意点をまとめました。
デメリット1:口座振替以外の方法で精算すると手数料が発生する

前述したように、ペイディの精算方法は「コンビニ支払い」「銀行振込」「口座振替」の3つ。このうち、口座振替以外の方法は手数料が発生してしまいます。
コンビニ支払いの場合は、1回の精算あたり税込356円の手数料が加算されます。現金での精算を希望する人や銀行口座を持っていない人は、残念ながら手数料を避けられません。
また銀行振込で精算した場合も、手数料はユーザー側が負担しなければなりません。振込手数料は自身が利用している銀行によって異なりますが、他行宛て振込だと数百円程度の手数料が発生するケースがほとんどでしょう。
デメリット2:ペイディ自体にポイント還元・キャッシュバックなど特典がない
ペイディは利便性に優れたサービスで手軽に利用できるのが魅力ですが、お得感という面では同じ後払い決済のクレジットカードに劣ってしまいます。ペイディにはポイント還元やキャッシュバックなどのシステムがないからです。

還元率1%のクレジットカードを使って買い物した場合の特典イメージ
たとえば、年会費・入会費無料の「楽天カード」なら1%分の楽天ポイント、同じく年会費・入会費無料の「PayPayカード」なら1%分のPayPayポイントが貯まります。1%の還元率というのは、仮に毎月1万円分の買い物をした場合、年間でおよそ1200円分(=100×12)得するということです。
お得感を重視したいなら、ペイディよりもこういった年会費・入会費無料の特典付きクレジットカードを利用するほうがよいでしょう。



年会費 |
0
永年無料
|
---|---|
還元率 |
1.00% ~ 1.50%
200円ごとに最大1.5%のポイント
|
ポイント |
PayPayポイント
|
ウォレット |
Apple Pay
Google Pay
|
QUICPay
| |
申込条件 |
18歳以上(高校生不可)
|
審査/発行 |
最短2分審査
/
最短7分発行(申込5分・審査2分)
|
支払い |
毎月末日締め 翌月27日引落 |
年会費無料で利用金額200円(税込)ごとに1%または1.5%のPayPayポイント獲得(1ポイント=1円相当)。PayPayポイント攻略に必携のクレカ
国際ブランドごとに1枚ずつ、合計3枚まで発行可能
ナンバーレスで安心のセキュリティ
デメリット3:期日までに精算を済ませないと遅延損害金が発生する
ペイディでは、支払いの期日を過ぎてしまうと遅延損害金が発生します。これはペイディだけでなく、クレジットカードなどすべての後払いサービスに共通しています。
ペイディ利用規約第7条には、支払いが遅延した場合、罰則として年率14.6%の遅延損害金を支払わなければならない旨が記載されています。
利用者が代金等債権のお支払いを遅滞した場合には、当社は利用者に対し、約定返済期日の翌日より支払いに至るまで、年14.6%の割合による遅延損害金をご請求させていただきますので、あらかじめご了承ください。
遅延損害金は「元本」×「14.6%」×「遅延した日数」÷「365日」で割り出されます。これに加えて、回収手数料が1請求あたり153円発生します。

たとえば5000円の支払いを遅延した場合、30日後に支払えば遅延損害金60円+回収手数料153円で最終的に5213円の支払いで済みます。しかし、90日後に支払った場合、遅延損害金は180円に。回収手数料153円と合わせて、請求金額は5333円に膨らんでしまいます。
このように、遅延損害金はすぐに支払えば少額で済みますが、支払いが遅れるほど高額になる仕組みです。何らかの事情で払いが遅れてしまった場合、なるべく早く支払うことをおすすめします。

また支払いが滞ってしまった場合、「遅延損害金を払えばすべて解決」というわけではありません。ペイディの利用が制限されるのはもちろん、あまりに長期間の遅延が発生すると信用情報に影響を及ぼす可能性もあります。
ペイディでは、支払い期日を待たず好きな時に精算できる「すぐ払い」も可能です。払い忘れによる遅延を回避するため、必要に応じて利用するとよいでしょう。
デメリット4:自己管理能力が問われる
ペイディでは手元にお金がなくても欲しい物を購入できてしまうので、どうしても「お金が減る」という実感を得にくくなります。使いすぎてしまい、「請求金額が収入を超えた」「支払いができなくなった」いうトラブルも珍しくはありません。
特にペイディは登録時に支払い能力の審査や収入制限などがおこなわれるわけではないので、後払いに対する心理的ハードルが低くなってしまいがちです。自身の月収と照らし合わせて、限度額をしっかりと把握しておく必要があります。