地味男を演じる藤原竜也が新鮮、待ち受ける衝撃のラストに驚く──ドラマ『リバース』

地味男を演じる藤原竜也が新鮮、待ち受ける衝撃のラストに驚く──ドラマ『リバース』

いくらうやむやにしても、葬り去ることはできない決定的な罪。自分が許せない自分を受け入れてくれる人こそ、本当の仲間でありパートナーと呼べる存在なのかもしれません。

「新しい人生を始めようとしても、何度もそこへ引き戻される……」。ドラマ『リバース』のタイトルが意味するのは、人生の巻き戻しと再生。10年前の悲劇、10年前の秘密、10年前の親友が残した言葉を遡っていくうちに、今を生きる主人公とその仲間達が本当に背負わなければならない衝撃の真実が明らかになっていきます。

原作は、空前のベストセラー『告白』の映画化を皮切りに、作品が次々と映像化され話題を呼ぶ「イヤミス」の女王・湊かなえの同名小説。原作の強烈な結末に唖然とする読者も多かったようですが、ドラマではその結末後に主人公が辿る人生を描いたオリジナルの展開が用意されています。

人に遠慮しすぎて挙動不審になってしまう、おどおどした性格の主人公・深瀬和久役を藤原竜也が好演。ゴミ箱にゴミを投げれば必ず外れ、就活をすれば面接官に「私服ヤバイ」と指摘され、会社での存在感は薄くコーヒー係と化している深瀬。でも、人一倍優しく、人生との戦いを諦めずに一歩一歩突き進んでいく姿は、現実にないとは言えないリアルな設定と相まって観る者をどんどん引き込みます。

物語の鍵であり印象的なのは、10年前に亡くなった友人・広沢のことを仲間達それぞれが思い返すシーン。人懐っこいのにどこか他者を寄せ付けない。人の話はよく聞いてくれるけれど、自分の話はあまりしたがらない。友達なのに、実は誰も彼の素性を知らないことに気が付きます。長年目を背けてきた真実は、そもそも何をもって相手を理解したと言えるのか、何をすれば罪を乗り越えたと言えるのか、私たちに切実に問いかけます。

「人生を変えるのは、死に物狂いの努力なんかじゃなくて、一杯のコーヒー。思いがけない美味しい食べ物。見知らぬ人との出会い。そんな些細なことが人生を変えるんだ」。広沢の残した言葉通り、ドラマを左右するのも本当に些細な出来事。たった2缶の缶ビール、ちょっとした隠し事、そして1杯の甘いコーヒー。最後まで観た後にもう一度最初から観返したくなる、まさにリバースが決め手のヒューマン・サスペンスです。

10年前の事故を掘り起こして見えた真実と再生の物語

地味男を演じる藤原竜也が新鮮、待ち受ける衝撃のラストに驚く──ドラマ『リバース』

地味で冴えないサラリーマン、深瀬和久の唯一の特技は美味しいコーヒーを淹れること。人生を前向きに進むことができない彼には、10年前、大学時代の友人5人と行ったスノボ旅行の最中に、親友・広沢由樹(小池徹平)を事故でなくした悲しい思い出がありました。

ある日、毎日のように通うコーヒーショップで越智美穂子(戸田恵梨香)と出会う深瀬。店主らの粋な計らいもあって2人の恋が成就した矢先、自宅アパートの扉に「人殺し」と書かれた張り紙を発見します。さらに彼女の元に差出人不明で届いた手紙には「深瀬和久は人殺しだ」の文字が。

身に覚えがあるとすれば、10年前に起きたあの事故。大手商社に入社し、家族持ちで順風満帆な人生を歩んでいるかのように見える谷原康生(市原隼人)、県議会議員である父の秘書を務めながら自身も出馬を狙う村井隆明(三浦貴大)、高校教師で真面目な性格の浅見康介(玉森裕太)。深瀬を含む当時の仲間4人には、事故について誰にも話していない秘密がありました。

時を置かず、深瀬以外の3人にも送り付けられる「人殺し」の告発文。懸念を抱く4人の周りを、10年前に起きた事故の元担当刑事でフリージャーナリストの小笠原俊雄(武田鉄矢)が、「あの一件を事故に見せることで一番得をしたのは誰か」と執拗に嗅ぎまわります。

一体誰が何のために告発文をバラまいたのか。10年間明かされることのなかった秘密とは。広沢は仲間のうちの誰かによって殺されたのか。

会社で上司のパワハラにあい、不本意に異動させられたことを家族にも言えず明るく振る舞う谷原。いつまでも議員になれないことを妻になじられ、ゴミだらけの豪邸で暮らしながら不倫中の村井。真面目で熱心ゆえに生徒の犯した罪をごまかすことができず、保護者や同僚から煙たがられる浅見。そして、過去の出来事を正直に打ち明けるも、美穂子との間に溝が生まれてしまい、悩む深瀬。

そうそううまくはいかない人生をもて余す4人と、小笠原、そして美穂子。それぞれが再生をかけて過去を遡っていく過程で、友情や時間を超えても消えない愛情、広沢が遺した真のメッセージに気付いていくストーリー。「手遅れかもしれないけど、こんな自分をどうにかして変えたい。もし変われたら、また一緒にコーヒー飲んでください」。連絡が途絶えていた美穂子と地下鉄のホームで偶然出会った際、深瀬が美穂子に懸命に語りかける言葉は、物語全体の決意表明のように感じられます。

「友達は数じゃない。自分を理解してくれる人がたった一人でもいればいい」。数々の広沢語録が10年後の仲間達に大きな影響を与える回顧の物語。猛吹雪のロケ地、謎解きサスペンス特有の冷たさと、コーヒーの湯気やそれぞれの絆に表れる温もりの対比がユニークな、湊作品をさらに高めた注目のドラマです。