海外旅行では、インターネット接続が気になるところです。現地用のモバイルルーターをレンタルして出かけるという方法もありますが、SIMフリーのスマートフォンを持っていれば、現地のSIMが格安で利用できます。今回は台湾を例に、その利用方法をまとめて説明していきます。
意外な注意点もあるので、これから出かけようと思っている場合は、ご一読をおすすめします。
まずは営業時間を確認しておく
空港のSIM契約カウンターの営業時間をチェック
台湾では空港で簡単に現地のSIMを契約して、すぐさま通話ができるようになります。とても簡単なのですが、営業時間外だと契約ができないという根本的な注意点があります。
台湾に出かける人は、運賃の安いLCCを利用するケースも少なくないでしょう。台北への到着時間が早朝や深夜などになるケースも少なくありません。そんな時には、SIMを契約できるカウンターが閉まっている可能性があります。
空港内にはいくつものカウンターがあって、それぞれに営業時間が異なるので確認しておきましょう。飛行機が着く時間が夜になる場合には特に気をつけてください。例えば到着が21時でも入国審査や手荷物の受け取りが混雑すると、出国後のカウンターに22時までには行けない可能性もあります。
市内でも旅行者用のSIMが購入できるようですが、空港ほど気軽には買えません。キャリアのショップは各所にありますが、対応していない店舗も多いようです。できる限り空港で契約するのがスムーズです。
こんな看板が掛かっているので、カウンターはすぐに見つかるでしょう
SIMフリースマートフォンを用意する
海外で現地のSIMを使うためには、SIMフリーのスマートフォンが必要になります。
NTTドコモで契約したスマートフォンに格安SIMを入れて使っている人も少なくないと思いますが、SIMはロックされた状態なので海外では利用できません。あくまでも、SIMロックを解除したスマホが必要になります。
iPhoneをSIMロック解除(SIMフリー化)する手順とメリット・デメリット
なお、最近ではキャリアで購入したスマホのSIMロック解除もだいぶ手軽になってきたので、自分が使っている機種が解除できるかどうか、問い合わせてみても良いでしょう。また、これを機会にSIMフリーの格安スマホを買ってしまう手もあるでしょう。
失敗しない、初めての「SIMフリースマホ」の選び方 超入門ガイド
事業者を選択する
事業者のカウンターはだいたい並んでいますが、どこを選んでも問題ないはずです
今回は桃園国際空港での契約を例に説明します。同空港には3つの事業者がカウンターを設けており、好みで選択して契約ができます。どのカウンターでも契約のやり方はほぼ同じです。
旅行の期間に合わせて、対応する契約を選んでおきましょう。観光の場合には、3日もしくは5日の契約になることが多いはずです。一部の事業者は6日の契約体系を用意しているのでマッチすれば選んでも良いと思います。契約内容の多くがほぼ同じなので、比べて差が無ければどこを選んでも良いでしょう。
通信は原則使い放題。利用する期間と通話料によって料金が変わります
取材時には、3日と5日の契約が300台湾ドルでした(上の画像参照)。取材時は1台湾ドルが約3.8円の為替レートでしたから、1155円ほどで3日間通信が使い放題になります。日本から海外旅行用のルーターを借りていく手間と費用を考えると、絶対にこちらがお得です。
注意したいのが「通話費」です。これは、いわゆる通話料金があらかじめ含まれていることを指します。同じ5日の契約でも通話時間が長いと料金が高くなります。レストランの予約などに通話を使う場合は、その時間を確認しておくと良いでしょう。
なお、旅行同行者との連絡は、LINEなどの通話機能を利用するのが賢い方法です。
用意するものと契約
契約時に必要なのは、SIMロックフリーのスマートフォンとパスポートです。日本の身分証明書が必要になるケースもあるようですが、今回契約した桃園空港の「台灣大哥大」の場合には求められませんでした。
また、費用はその場で支払います。台湾ドルの現金かクレジットカードを利用します。また、契約時には簡単な契約書を記載します。
契約書を記載
利用するスマホを渡すと、SIMをセットして使える状態で返してくれます。APNの設定などの知識はまったく必要ないので、とても楽です。掛かる時間は5分程度なので非常に楽です。
契約を終えるとSMSが届きます
契約が済むと、そのままインターネットが利用できるようになります。接続先が台湾のキャリアになるだけで、日本での通信とほぼ変わりません。データ通信も使い放題なので、残量を気にする必要がありません。
通信が利用できるようになり、左上のキャリアが現地の事業者に変わります
帰国時の注意点
契約を終えると、SIMの説明書とSIMカードの台紙を渡してくれます。「台灣大哥大」では、説明書に日本で使っていたSIMを貼り付けて返却してくれました。万一紛失すると、日本では通信ができなくなりますから気をつけてください。
帰国したら、SIMカードを日本で使っていたものに差し替えます。これだけで元通りに使えるようになるはずです。そこで気をつけたいのがピンの持参です。スマホのSIMトレーを取り出すためにはピンが必要になります。あらかじめお財布などに入れて持参すると良いでしょう。ピンを忘れると自宅に帰るまで通信できなくなります。
SIMの差し替えは慎重に行ってください。ピンを持参しないと帰国してもスグには使えません
SIMカードの差し替えは落ち着いて慎重に行ってください。慌てて作業するとスマホ内部に入り込んでしまったり、落としてなくしてしまう危険性があります。
取り外した台湾の事業者のSIMカードは、大切に保存しておきましょう。半年間は利用でき、次に訪問したときにはチャージすることが可能です(有効期間が6カ月)。半年以内に再訪すると、SIMの利用を求められます。
Apple SIMも利用可能です
海外に出かける人でCellularモデルのiPad Proを持参するなら、標準で内蔵されているApple SIMを使うこともできます。電話会社などに出向いて手契約する必要がないのがとても楽ですが、iPhoneでは使うことができないのが残念です。
また、データ通信の費用もあまり安くはないので、積極的にインターネットを使うというよりは、ちょっとメールやSNSに利用する程度の使い方が適しています。まだまだ利用できるユーザーが少ないApple SIMですが、今後はこんな内蔵SIMが主流になっていくのかもしれません。
Apple SIMもiPad Proを持っていれば利用可能
まとめ
台湾に出かける人で、SIMフリーのスマートフォンを持っている場合は、現地でのSIMの契約がおすすめです。かさばるモバイルルーターを持ち歩く必要がなく、とても快適に通信ができます。費用もかなり安価で気軽に使えるのが素晴らしい点です。
旅行先で思う存分Googleマップを使ったり、お店を検索できれば観光で迷うこともなく、充実した旅を楽しめるはずです。また、Googleフォトの写真アップロードなども容量を気にせず行うことができます。
筆者の経験では、ホテルのWi-Fiが混雑のためかつながりにくく、ほとんど使えないことがありました。ところが、空港で契約したプリペイドSIMはホテルの部屋でも高速で、Wi-Fiがなくても問題なく過ごせたことがあります。
今後は他の国でもこんなサービスが拡充することを期待しています。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部