ハイパフォーマンスなIGZO液晶が魅力、「AQUOS R」をレビュー【ドコモ・au・SoftBank 2017年夏モデル】

シャープのフラグシップモデル「AQUOS R」が2017年の夏モデルとして登場しました。これまではキャリアごとに製品名を変えていましたが、本モデルから名称を統一しています。そんな意味からも、相当に力の入ったモデルだとわかります。性能も素晴らしく、液晶にも特徴があります。ドコモ・au・ソフトバンクと3キャリアから発売されるAQUOS Rを詳しくレビューしていきます。

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落ち着いたデザインながら質感の良いボディ

この夏モデルには、外観がとても際立ったGalaxy S8シリーズが登場しているので、従来デザインのスマホがやや霞んでしまっています。AQUOS Rもデザインに奇をてらったところがなく、オーソドックスといってもいいでしょう。パッと見は目立ちませんが、細部を見ていくととてもよくできていて、質感も上々です。

背面は非常に美しく仕上げられています。今回借りたのは、NTTドコモ版の「ジルコニアホワイト」というカラーです。背面はパールホワイトの仕上げですが、光の当たり方によって金色に輝きます。一見、金属のようにも見えますが、背面の素材は樹脂製です。フィルムを一体成形することで、塗装では得られない金属質な輝きを表現しています。

また本体の側面部分はアルミ製で、何度も研きをかけて美しく仕上げています。テーブルなどから持ち上げやすいようにエッジの尖ったデザインですが、角の部分は削って丸みを持たせています。これは、手に当たらないようにするためです。

AQUOS R レビュー

背面パネルは樹脂性だが、質感は悪くない

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写真ではわかりにくいが、光の当たる角度が変わると金色に輝く

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側面部分は突起を持たせて机などから持ち上げやすくしているが、角の部分は削り込んで丸くしている

120Hz駆動のIGZO液晶はやや暗いが非常に快適

ディスプレイサイズは5.3インチです。本体が大きすぎないので、手の小さな人にも持ちやすいでしょう。

参考までに5.2インチのHUAWEI P9と並べてみましたが、液晶サイズが若干大きなことがわかります。最近は5.5インチ以上の大画面モデルが人気になっていますが、逆に5インチクラスのコンパクトなスマホを好む人も少なくありません。5.3インチは中間的なサイズと言えますが、若干中途半端かもしれません。またHUAWEI P9と比べても、ボディに対する画面の大きさでは負けています。上下の額縁がやや厚いために、デザインに凝縮感がないのが残念です。

AQUOS R レビュー

右のHUAWEI P9と比べると、ディスプレイが一回り大きくなっている

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液晶のガラスは、角がアールを描いてるので手触りも良好

液晶は、シャープが力を入れる独自パネルのIGZOを採用しています。解像度は2560×1440ドットと非常に精細。フルHDのHUAWEI P9に比べると文字などは細密で非常に美しいのですが、明るさでは負けています。やや暗いのは、超高解像度ディスプレイにありがちな弱点です。

ただし、120Hz駆動は大きなメリットがあります。これは、液晶の表示を切り替える速度を表しています。一般的な液晶は60Hz駆動ですから、およそ倍の速度です。違いがわかるのが、ブラウザで画面をスクロールする時です。従来の液晶は文字がブレるのに対して、AQUOS Rはほぼ気になりません。動きの激しいゲームなどでも違いが感じられるでしょう。ノイズにも強いので、水に濡れた状態でもそれなりに利用できます。他の液晶では誤動作が激しいため、水滴を拭き取らないとまともには使えません。

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明るさはHUAWEI P9(右)よりもAQUOS R(左)のほうがやや暗い

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文字の美しさは手前のAQUOS Rが勝っている

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写真を見比べても、右のAQUOS Rのほうが繊細で美しく感じる

カメラは広角でマクロ撮影もバッチリ

AQUOS Rのカメラは、35ミリフィルム換算で焦点距離が22ミリ相当です。一般的なスマホよりも広角に撮影できるのです。スナップ写真や景色を撮りたい時にはかなり重宝するでしょう。また、2260万画素と高画質なので、デジタルズームで画面を拡大しても画像が粗くなりにくいのが特徴です。

今回はiPhone 7 Plusと比較して撮影してみましたが、同じ距離からでも広いエリアを収められました。室内などで後ろに引けない時でも多くの人をスナップに収められるなど、ワイドなレンズには色々なメリットがあります。周辺部の歪みや画像の粗さもあまり気にならないのは素晴らしいところです。色合いはかなりあっさりめなので、iPhoneとどちらが良いかは好みが分かれるところでしょう。

マクロ撮影も得意で、被写体にもかなり近寄れます。500円玉を撮影してみましたが、ピントが合う距離はiPhoneよりもかなり近くなっています。さらに、デジタルズームを利用して拡大すると、驚くほどのアップで撮影できます。花などを目いっぱい近づいて撮りたい人には嬉しいカメラです。

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カメラは2260万画素と最高クラスの解像度

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マルチオートフォーカス表示に対応。さらに、ピントと明るさを別の位置に合わせられる

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左:AQUOS Rで撮影、右:iPhone 7 Plusで撮影。同じ距離から撮影しても、AQUOS RのほうがiPhoneより広いエリアを撮れる。画質はどちらも文句なし

AQUOS R レビューAQUOS R レビュー

左:AQUOS Rで撮影、右:iPhone 7 Plusで撮影。色合いはiPhoneのほうがやや派手。どちらが良いかは好みによりそうだ

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左:AQUOS Rで撮影、右:iPhone 7 Plusで撮影。なるべく近づいて撮影。iPhoneはこの距離でもややピントが合っていない

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左:AQUOS Rで撮影、右:iPhone 7 Plusで撮影。さらにデジタルズームで拡大した。AQUOS Rなら、こんなにアップにしても実用的

性能は素晴らしく動作感も文句なし

CPUはSnapdragon 835と最新で高性能なチップを搭載しています。RAMは4GB、ストレージは64GBとどちらも必要十分です。また、microsSDカードも搭載可能です。総合的に性能を測定するベンチマークを取ってみましたが(テストは最終試作機でおこなっています)、スコアも文句なしで2~3年は快適に使えるはずです。

性能以上に気持ちが良いのが動作感です。液晶の反応の早さと高性能なCPUの合わせワザで、動作感が素晴らしいのです。バッテリーは3160mAhと本体がコンパクトな割には容量が多く、こちらも十分でしょう。しばらく使ってみましたが、かなり持ちがよい印象を受けました。

他のスマホと並んでしまうと、落ち着いたデザインのAQUOS Rはあまり目立たないかもしれません。しかし、末永く快適に使うスマホとしては良い選択だと思います。デザインも落ち着いているからこそ、飽きにくいと考えます。

AQUOS R レビュー

ベンチマークのスコアは文句なし。現時点で最高クラスの1台といえる

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コネクタはUSB-Cなので、将来性も問題なし

まとめ

AQUOS Rの最大の特徴は、書き換えの速い液晶です。店頭で試す機会があったら、ぜひブラウザをゆっくりとスクロールしてみてください。文字のちらつきの少なさには驚くはずです。

落ち着いたデザインのスマホを末永く使いたい人にはおすすめの機種。放熱にも配慮した設計がなされているので、ヘビーに使い続けても処理が遅くなることがあまりありません。やや地味でも、使い勝手には影響する部分はしっかりと作り込まれているのです。

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構成・文:戸田覚

編集:アプリオ編集部