スマホのコモディティ化が止まりません。大手キャリアの上位機は10万円を超えるモデルがほとんどですが、SIMフリーや中堅スマホはどんどん低価格化しています。2〜3万円台クラスの製品は、1年程前まではかなり見劣りしていました。価格が安いのだからと割り切る必要があったのです。
ところが、今回レビューする「OPPO R17 Neo」は、上位モデルにも劣らない驚異的なコスパを実現しています。3万円台のスマホの中では、ダントツにお買い得であることは疑う余地がありません。5万円クラスのモデルと比べても、見劣りする部分はほとんどなく、ぜひ注目したい新モデルです。価格は3万9800円で、UQモバイルの独占販売となっています。
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薄くてスタイリッシュな大画面モデル
OPPOというメーカー名には、まだ馴染みのない人が多いでしょう。中国では有名なスマホブランドで、日本にも格安モデルを続々投入しはじめています。どこのスマホを使っているのか尋ねられた時に、「オッポ」と答えるのはちょっと気が引けそうです。日本語の語感がハイテク製品を作っている企業らしくないからです。
OPPO R17 Neoは、6.4インチの堂々たる大画面ディスプレイを搭載するスマホです。サイズ的にライバルになるのはiPhone XS Maxです。両者ともにサイズはさほど変わりません。手に持った感じもほぼ似た印象です。OPPO R17 Neoも、狭額縁なので横幅が最低限まで小さくなっています。
ディスプレイ | サイズ | 重量 | |
---|---|---|---|
OPPO R17 Neo | 6.4インチ | 158.3×75.5×7.4ミリ | 156グラム |
iPhone XS Max | 6.5インチ | 157.5×77.4×7.7ミリ | 208グラム |
OPPO R17 Neoは確かに大きいのですが、手にしてみるとずいぶん楽な印象を受けます。これは、ボディがそれなりに薄型なのと、軽さがよい方向に働いているためでしょう。iPhone XS Maxよりも50グラムほど軽いので、軽快に持ち歩いて使えます。
OPPO R17 Neoは狭額縁のイマドキのスマホらしいデザインだ
iPhone XS Maxに比べて50グラムほど軽く、大画面モデルとしては手に持っていても楽だ
質感は価格を考えれば上々だ
OPPO R17 Neoは外観もなかなか素敵で、上述のように狭額縁でパッと見てスマートです。背面のパネルは光が当たると色合いが変化するホログラムのようなカラーで、非常に美しく感じます。実は樹脂製なのですが、チープ感のないのは素晴らしい限りです。
今回レビューするモデルはレッドですが、他にもブルーを用意します。かなり派手めのデザインなので、仕事で使うにはちょっとそぐわないと感じるかもしれません。
正面のガラスとボディフレームの間に大きめの樹脂を挟み込んでいるために、ややぼってりとした印象を受けますが、このあたりは価格を考えれば十分に妥協できるところです。
背面のパネルがとても美しく、光の当たり方で色合いが変化する
付属品は充電器とケーブル、イヤホンと、不足はありません。初心者が買ってもすぐに使いこなせるのが嬉しいところです。また、透明でシンプルなカバーも付属するので、気に入ったカバーを付けるまでに役立つでしょう。イヤホン端子が付いているのは、初心者にとっては安心できるポイントです。手元のイヤホンがあればそれも使えますし、使うのが難しそうなワイヤレスイヤホンを買う必要もありません。
ただし、充電のコネクターがmicroUSBなのはいただけません。このモデルの唯一にして最大の欠点です。確かに、microUSBならすでに持っているケーブルが使い回せます。しかし最近のスマホは、多くがUSB-C端子を採用しています。パソコンやタブレットなどもUSB-C端子に統一されはじめているのです。
これから2〜3年は使うことを考えると、古い規格のmicroUSB端子で困ることが出てきそうです。たとえば、友達や親戚の家などで充電器を借りようとしても、接続できない可能性が徐々に高くなるでしょう。
付属品は盛りだくさんで、初心者にもおすすめ
充電などに使うコネクターがmicroUSBなのが最大の弱点
ディスプレイのガラスとボディパネルの間に太めの樹脂を挟み込んでいる
4万円を切るモデルで有機ELの搭載は驚異的
これまで2〜3万円クラスのスマホは液晶を搭載し、有機ELを採用する上位機との大きな差が付いていました。安くても5万円程度のモデルでなければ、有機ELを採用していなかったのです。ところがOPPO R17 Neoは、4万円を切る価格で有機ELを搭載しています。
有機ELなら必ず液晶よりも美しいわけではありませんが、2〜3万円クラスのスマホの中ではダントツの画質です。iPhone XS Maxと比べると、明るさや解像度でやや負けていますが、価格差を考えれば文句の付けようがありません。
解像度は2340×1080ドットで、最近増えているワイド液晶のモデルとしては、ほぼ一般的と言えるでしょう。なお、iPhone XS Maxは2688×1242ドットと、やや解像度が高くなります。並べて比べると、やや明るさで劣っていますが、それほど差はありません。黒が締まっているので、文字もくっきりと美しく表示します。
画面上部にはカメラの切り欠きがありますが、最近は多くのモデルがこのスタイルになりました。実用上はほとんど気にならないはずです。
右のiPhone XS Maxに比べるとやや暗いが、非常に美しいディスプレイを採用
斜めから見ても画質はさほど劣らない
ベンチマークはHUAWEI P20 liteより少し上で悪くない
OPPO R17 Neoをしばらく使ってみましたが、動作速度は上々でした。ベンチマークテストの値も上位機に比べると劣っていますが、そう悪くはありません。
たとえば、人気の格安スマホ「HUAWEI P20 lite」よりは少し上回っています。この性能なら、2年間はほぼ満足して使えるはずです。3Dなどを採用したヘビーなゲームをプレイするにはやや力不足ですが、価格を考慮すると立派なパフォーマンスです。
ベンチマークのスコアもこの性能を考えると上々
驚くべきが指紋センサーで、日本で販売されているスマホとしては初めてディスプレイに内蔵されています。何もない画面に指を置くとロックが解除されるのです。これにより正面の画面の割合が大きくできますし、背面などに指を動かす必要がなくなります。こんな最新のデバイスを組み込んで、4万円を切っているのは驚くばかりです。
指紋センサーはディスプレイの内部に搭載されている
なおSIMスロットはトリプルで、ナノSIMを2枚挿すことができます。対応する周波数は以下のようになっています。
- GSM: 850/900/1800/1900MHz
- WCDMA: Bands 1/2/4/5/6/8/19
- FDD-LTE: Bands 1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28
- TD-LTE: Bands 38/39/40/41
トリプルスロットでSIMも2枚挿せる
カメラも合格点でスナップには十分
カメラは1600万画素+200万画素のデュアルカメラで、インカメラは2500万画素です。背景をぼかすポートレート撮影にも対応します。今回はiPhone XS Maxと比較してみました。確かに少し差はありますが、ここまで美しく撮れれば普通のスナップ写真には十分です。ズームやワイドなど特徴的なレンズではありませんが、日常的な利用にはまったく不満は感じないはずです。
通常撮影

iPhone XS Maxのほうが明るく鮮やかだが、OPPO R17 Neoも十分に美しく撮れている
近接撮影

さすがにiPhone XS Maxのほうが明るく美しく感じるが、OPPO R17 Neoも立派だ
暗所で撮影

やや暗い室内で撮影。最も差が付いた写真で、iPhone XS Maxのほうが美しくノイズも少なかった
背景ぼかし

背景をぼかすポートレートの比較。撮影できる距離の違いで、OPPO R17 Neoのほうがより下方向からシャッターを切ることになった。どちらも輪郭をしっかりと判断できているが、比べればiPhone XS Maxの色合いが勝っている
まとめ
OPPO R17 Neoは、とてもコストパフォーマンスに優れる1台です。いま3万円クラスのスマホを買うなら、一番のおすすめモデルです。2万円台半ばのスマホと比べると1万円ほどの価格差があるわけですが、ちょっと出費を増やしても手に入れる価値はあります。
ただし、UQモバイル専売である点は残念。UQモバイルが悪いわけではなく、選択肢が少ないということです。端末だけをSIMフリーで購入できるようにしてほしいところです。ハードウェア面の弱点は、充電等のコネクターがmicroUSBになる点のみ。それ以外は、価格を考えればすべて文句なしでといえます。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部