Appleは2024年6月10日(米国時間)、開発者向けイベント「WWDC 2024」において、「watchOS 11」を発表しました。watchOS 11は、2024年秋ごろリリースされます。

watchOS 11では、新しいバイタルアプリによる健康指標の確認、妊娠中の健康管理、トレーニング負荷の測定、より正確なアクティビティリングの記録が可能になりました。また、「スマートスタック」では時刻、日付、場所などに基づき、今までよりも高度な提案がされるようになります。

2つ以上の健康指標が基準から外れている場合、通知が送られる
watchOS 11では新たに「バイタルアプリ」が追加されます。バイタルアプリは、睡眠中に重要な健康指標である心拍数や呼吸数、手首の皮膚温、睡眠時間、血中に取り込まれた酸素のレベルを測定します。これらのデータをもとに、主要な健康指標をタイムリーに確認できます。
2つ以上の指標が通常の範囲から外れている場合は、ユーザーに通知が送られます。通知とともに、通常の範囲を超えた指標と飲酒量や病気などの要素が、どのように関連している可能性があるか説明が送られます。

妊娠中の周期記録アプリに症状の記録などができる
また、iOS 18、iPadOS 18とあわせて妊娠中のユーザーをさらにサポートする機能も提供されます。
iPhoneまたはiPadのヘルスケアアプリで妊娠を記録すると、Apple Watchの周期記録アプリに妊娠期間が表示されます。ユーザーは妊娠中に起こり得る症状を記録することができます。妊娠中の心拍数確認や、うつ病対策のための検査リマインダー、妊娠後期の転倒リスクを知らせる通知も活用して、妊娠時のリスク緩和に役立てられるでしょう。

トレーニング負荷はワークアウトの時間やエフォート評価をもとに算出
watchOS 11では、トレーニング負荷の可視化ができるようになります。ユーザーは過去28日間と比較した、過去7日間のワークアウトによる体への負担を把握したり、ワークアウト後のエフォート評価(トレーニングの難易度)を1から10の尺度で確認したりできます。
エフォート評価は、ユーザーの年齢や身長、体重などのデータと、GPSや心拍数、高度といったワークアウトデータをもとに自動で推定値が記録されます。ユーザー自身がワークアウトで感じたストレスや痛みを考慮して、推定値を手動で調整することも可能です。

トレーニングのオフの日はアクティビティリングが停止する
アクティビティリングの設定をこれまでよりも柔軟に調整できるようになりました。たとえば、トレーニングのオフの日や怪我などで休息が必要なときに、1日、1週間、1カ月間などの期間でリングを一時停止できます。リングを一時停止してもバッジの連続達成記録には影響が出ません。
また、アクティビティリングの目標を曜日ごとに変えられるため、曜日ごとにトレーニングメニューが異なる場合でも、正確な進捗確認ができます。


位置情報をもとに気象予報が通知されたり、翻訳アプリが提案されたりする
今回、状況に応じたウィジェットを表示させる「スマートスタック」がアップデートされました。watchOS 11では時刻や日付、場所、スケジュールなどの情報をもとにウィジェットが提案がされるようになります。ウィジェットに表示できる項目も追加され、新たに写真やShazamなどを確認できます。
たとえば、ユーザーの位置情報をもとに気象予報が通知されたり、海外旅行などで普段使わない言語の地域に移動すると翻訳アプリが提案されたりします。なお、Apple Watchの翻訳アプリでは20の言語が利用できます。

「写真」文字盤におすすめが提案される機能も加わりました。写真の構図や写っている人の表情を分析することで、文字盤に最適な写真が提案されます。
また、「写真」文字盤にダイナミックモードが追加され、手首を上げてApple Watchを見るたびに文字盤の写真が切り替わるようになります。

Apple Watchで到着確認もできるようになります。たとえば、ジムでの運動が終わったタイミングで、ワークアウト終了の通知を家族に届けることができます。夜などの遅い時間帯の安否確認としても使えます。
また、ダブルタップジェスチャー(Apple Watchを身につけている方の親指と人指し指を2回タップする動き)を使ってアプリをスクロールできるようになりました。片手がふさがっているときなどでも、Apple Watchでさまざまな操作ができるようになるでしょう。
watchOS 11の対応機種は、Apple Watch Series 6以降、Apple Watch SE(第2世代)、Apple Watch Ultra、Apple Watch Ultra 2です。