今やスマホを持っているのが当たり前になっているので、気軽にテザリングができます。それでも、モバイルルーターの売り上げは悪くないといいます。スマホのデータ通信量を節約したり、自宅のWi-Fiをモバイルルーターで済ませている人も少なくないのです。
私も最近購入した2 in 1パソコンやタブレットがLTEを内蔵していないので、テザリングで利用しています。しかし、テザリングしているスマホのバッテリーがどんどん減るのが困りものです。スマホは1日使えてほしいので、テザリングを多用したために夕方には使えなくなってしまうのはいただけません。
ワイヤレス充電対応モバイルバッテリーの使い勝手はまだ微妙?【戸田覚の今月これ買いました1】
それでモバイルバッテリーを持ち歩くわけですが、どうもスマートではありません。テザリングのためにスマホにバッテリーを接続していると、使いやすくないからです。そんな時に興味深い製品「MF855」を見つけました。このモデルは、モバイルバッテリーとルーターが合体しています。メーカーはZMIで、中国で有名なスマホメーカー・小米のグループ会社です。
購入した時の価格は9000円台前半でした。バッテリー+モバイルルーターと考えると妥当なプライスでしょう。ちなみに、購入時にはキャンペーンでMFI認証済みのLightningケーブルが付いていました。日本向けのモデルを購入したので、技適も付いています。
キャンペーンでLightningケーブルが同梱されていた
サイズはやや大きめでちょっと重い
MF855はちょっと大きめのサイズで、290グラムとやや重いのが欠点です。一昔前の10000mAh程度のモバイルバッテリーのサイズ感とイメージしてください。バッテリーの容量は7800mAhです。サイズから考えると2割程度少ないわけですが、モバイルルーターの機能が搭載されているため妥当でしょう。
モバイルルーターとしてはSIMフリーなので、いわゆる格安SIMが利用できます。外観は、ただのモバイルバッテリーにしか見えないのですが、本体のカバーを取り外してSIMをセットする方式を採用しています。一昔前のスマホのようで、プラスチックのカバーを取り外すのが固くて大変なのはどうにかしてほしいところです。特に、頻繁にSIMを取り替える人はイライラしそうです。
なお、このカバーを外した下にWi-Fiのパスワードなどが登録されているので、いちいち確認するのは面倒。写真に撮影してスマホに保存しておくとよいでしょう。セットできるのはmicroSIMなのがちょっと残念です。スマホではnanoSIMが増えているため、使い回しがしづらくなっています。
対応バンドは下記のようになっており、最近のSIMロックフリースマホと比べると随分違います。たとえばドコモの回線で利用する際には、郊外や山間部での利用に不安があります。都市部メインで使い続けているユーザーは問題ないでしょう。
対応バンド
- 4G FDD-LTE:Band 1,3,7
- 4G TDD-LTE:Band 39,40,41
- 3G WCDMA:Band 1,2,5,8
- 3G TD-SCDMA:Band 34,39
- GSM:Band 2,3,5,8
プラスチックのカバーを外してSIMをセットする
日本語マニュアルが同梱されているので、セットアップでもまず困らない
アプリからAPNを設定する
SIMをセットしたら、APNの設定は専用アプリからおこないます。アプリはもちろん、無料で利用可能です。今回はAndroidスマホでセットアップしましたが、iPhone用もリリースされています。
手順は簡単で、まずモバイルルーターとスマホをWi-Fiで接続してからアプリを起動します。この時点では当然インターネットにはつながっていませんが、設定作業をするだけなので問題はありません。
アプリとルーターがつながったら、APNの設定をします。MVO事業者が登録されていれば選ぶだけでOKです。未登録ならばAPNのデータを入力します。これで設定は完了です。初期設定のパスワードはわかりづらいので、自分がわかりやすいもの等に変更しておくといいでしょう。
その後の使い方は簡単で、MF855のボタンを押して電源を入れたら、パソコンやタブレットなどから接続するだけでOKです。
専用アプリ「ZMIモバイルルーター」が無料で利用できる
まず最初にスマホとMF855を接続する
接続できた。まだ圏外だが、この状態で各種設定を済ませる
APNの設定は登録されていれば選択するだけ
接続できた
パスワードは変更しておこう
バッテリー機能は普通だが専用アプリが便利
バッテリーの容量は前記のように7800mAhなので、iPhone Xなら1.5〜2回程度充電できるでしょう。筆者の場合、完全にゼロになってから充電するわけではないので、2回は使えています。ただし、モバイルルーターとしても電池を使いたいため、iPhone Xに1度充電してルーターを数時間使うなら余裕です。
ルーターだけを使い続けても、丸一日持ちます。カタログ値では18.5時間となっているので、起きている間はずっとつなぎっぱなしでも大丈夫です。もっとも、こんな使い方をするのは稀でしょう。6時間程度の通信と、1回のスマホへの充電なら事足ります。
なお、バッテリーの機能は5V/2.4Aと一般的です。QuickChargeなどの急速充電には対応しませんが、一般的なスペックはクリアしています。専用アプリが便利で、データ通信量に加えて、バッテリーの残量も細かくわかります。スマホを開くだけで両方のチェックができるわけです。
バッテリーとしての使い勝手は普通
モバイルバッテリーとしてはやや大きめだが、日常的に持ち歩ける
専用アプリからはデータ通信の残量管理に加え、バッテリーの充電状況も確認できる
まとめ
購入してしばらく使っていますが、旅行や出張にはとにかく便利です。
旅行先では1日移動しているだけで、夜になると充電できるのが一般的。移動中の車内や飛行機などの待ち時間にスマホやタブレットをヘビーに使うと、テザリングではスマホなどのバッテリーが足りなくなりがちです。そんな時にMF855があれば、バッテリー残量を気にせずずっとつなぎっぱなしにしておけます。
特に家族と出かけている場合には、子どもがゲームをつなぐなどして長時間利用する可能性もあります。そんな際には、バッテリー兼用のモバイルルーターの出番です。家族や友人にテザリング用としてスマホを貸すことはできませんが、モバイルルーターなら問題なく貸し出せます。9000円ちょっとならお買い得です。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部