「コメディの奇才」と称される映画監督・福田雄一作品の常連で、コメディ俳優としての印象が強い賀来賢人。2007年に映画で俳優デビューした彼は、これまで幅広いジャンルの役柄をこなし、シリアスな作品での演技も実は高く評価されています。
本記事では賀来賢人の過去の出演作品から彼の魅力を徹底解剖。見放題で視聴可能な動画配信サービスと共に紹介します。
コメディ俳優としての真骨頂『今日から俺は!!』
累計発行部数4000万部を記録した名作コミックを実写化し、「ツッパリ」達の青春を描いた2018年秋の大ヒットドラマ『今日から俺は!!』。出演作品は多いものの、これまで脇役としての活躍が目立った賀来賢人は、この作品で主演俳優として一躍脚光を浴びることとなりました。
「ヤンキーコメディ」のジャンルを築き上げた本作。オープニングで、賀来賢人・伊藤健太郎・橋本環奈・清野菜名らメインキャストで結成された「今日俺バンド」が歌う「男の勲章」は、フリを完コピする小学生が現れるほど、お茶の間でツッパリブームを巻き起こしました。
あらすじ
ツッパリ最盛期の1980年代。平凡な高校生だった三橋貴志(賀来賢人)は、転校をきっかけに金髪パーマのツッパリデビューを果たします。ところが新しい高校で三橋以上に目立つトゲトゲ頭の転校生・伊藤真司(伊藤健太郎)に出会い、険悪な雰囲気に。しかし、ふとしたきっかけでクラスの不良10人を共に倒した2人には、奇妙な友情が芽生え始めます。
喧嘩が強い転校生の噂はたちまち地元に広がり、女子校のスケバン・京子(橋本環奈)は自分達に絡んでくるしつこい不良を追い払ってほしい、と三橋のもとを訪れます。それが関わったら面倒な相手で……。
アラサーとは思えない、笑えるツッパリ高校生を見事に好演
賀来賢人・公式Instagram(kento_kaku)より
賀来賢人が演じる三橋は、喧嘩とあれば何でもありのひょうきんな「卑怯者」。基本ふざけているのに仲間の窮地に土壇場で駆けつける、実は熱い男です。
さらにラブコメディでもある本作。惚れ込んだ同級生・理子(清野菜名)を守るにも不器用で素直になれない三橋の性格は、過去の作品からして賀来賢人お得意のキャラクターです。相棒である伊藤とのやり取りの他に、ムロツヨシ演じる担任の椋木や紅高番長の太賀(今井勝俊)、吉田鋼太郎・瀬奈じゅん演じる変わり者の両親との日常会話も爆笑必須。最高におバカで笑えるヒーローの誕生です。
Image:日本テレビ
榮倉奈々との共演シーンは必見『Nのために』
『Nのために』は、2014年放送のTBSドラマ。人気ミステリー作家・湊かなえが描き下ろした初のラブストーリーを原作に、「ザテレビジョンドラマアカデミー賞」を受賞した今だ根強い人気作品。妻である榮倉奈々との共演も話題になりました。
あらすじ
ある日、都内の超高層マンションで殺された野口夫妻(徳井義実・小西真奈美)。その場に居合わせた大学生・希美(榮倉奈々)、成瀬(窪田正孝)、安藤(賀来賢人)、西崎(小出恵介)の4人には知られざる秘密と「ある計画」がありました。それぞれが抱える「N」への思いと事件の真相とは?
主人公を想うキャリア志向の青年・安藤を演じる賀来賢人
この作品で賀来賢人が演じたのは、主人公の杉下希美(榮倉奈々)に想いを寄せつつ、ある計画に加わる大学生・安藤望。超合理主義かつキャリア至上主義でひたすらセレブな世界を目指す安藤ですが、偶然同じボロアパートで出会い、過去に悲惨な経験をした希美の人生観を知り、急速に惹かれていきます。しかし、事態は思いもよらぬ方向に。
登場人物たちがみんなどことなく暗い雰囲気をもつ中で、唯一あっけらかんとした明るい役柄。小出恵介演じる、作家志望で変わり者の西崎とのやり取りはアドリブかのように自然です。現実的で野心家な安藤が希美に思いを寄せる姿は、賀来賢人ならではの表情で観ているほうも切なくなります。
Image:TBS
おじさん達との絡みが絶妙、『スーパーサラリーマン左江内氏』
『スーパーサラリーマン左江内氏』は、2017年放送の日本テレビ系ドラマ。藤子・F・不二雄が「漫画アクション」で連載していたコミック『中年スーパーマン左江内氏』をドラマ化したもので、コメディ俳優としての賀来賢人を見出した劇作家・福田雄一氏が脚本・演出を担当しています。
「福田雄一ファミリー」と称されたりもするムロツヨシ、佐藤二朗などの個性派俳優や、菅田将暉、本田翼といった豪華サプライズゲストも勢揃いし、全話通して間違いなく笑えるコメディ作品に仕上がっています。
あらすじ
左江内英雄(堤真一)はフジコ建設営業課の万年係長。部下だけでなく、恐妻の円子(小泉今日子)や子どもたちにも完全に舐められ、うだつの上がらない日々を送っています。
そんなある日、見知らぬ老人に「スーパーヒーローにならないか?」と声をかけられ、「スーパースーツ」なるものを手渡された左江内。その日から、彼の耳には誰かが助けを求める声が勝手に聞こえてくるようになり、お人好しの左江内は、スーパースーツに着替え窮地に駆け込みますが……。
なぜか第2話からテンションが跳ね上がる、賀来賢人演じる部下の池杉
賀来賢人が演じるのは左江内の部下「うぃけすぎ」こと池杉照士。第1話ではノリはいいけれどそれほど目立った存在ではない池杉が、左江内を越えて出世を狙いだした第2話あたりから急に頭角を現します。特に課長の簑島(高橋克実)とのやりとりは毎回絶妙。酔った勢いでスーパーマンの仕事を引き継いでしまう第7話のエピソードは必見です。
Image:日本テレビ
妹思いのぶっきらぼうなイイ兄貴『愛してたって、秘密はある。』
『愛してたって、秘密はある。』も、同じく2017年放送の日本テレビ系ドラマ。プロデューサー・秋元康の企画によるこの作品は、父親を殺してしまった過去をもつ主人公を福士蒼汰が熱演。大どんでん返し的な衝撃のラストに加え、最終話終了後に続編がHuluで視聴できるという、ユニークな配信形式が話題を呼びました。
あらすじ
奥森藜(福士蒼汰)は、弁護士志望の司法修習生。中学生の時、DVを受けていた母親を見るに見かねた藜は父親を殺害してしまい、母と2人その秘密を抱えて生きてきました。
そんなある日、彼のもとに秘密を知る誰かから不可解なメッセージが届き始めます。不気味な魔の手は、フィアンセの爽(川口春奈)の元にも忍び寄ります。
川口春奈のアウトローな兄役。笑いを封印した魅力が光る
藜のフィアンセ・爽の兄役を演じた賀来賢人。かつては父親と同じ検事としてのエリート街道を目指すも、ある事件をきっかけに権力の闇を暴くフリージャーナリストに転身。父親とはほとんど絶縁状態で実家に寄りつかない中、妹の爽のことはいつも気にかけて可愛がっているいい兄貴です。
インテリながら髪はぼさぼさで服装も不良感抜群。いつもの悪ふざけは完全に封印し、社会の闇を見据えた眼力だけが光ります。父親と和解する感動のシーンにも注目です。
Image:日本テレビ
ちょっと生意気でかわいい新人ロイヤー『グッドパートナー 無敵の弁護士』
『グッドパートナー 無敵の弁護士』は、2016年放送のテレビ朝日系ドラマ。企業法務を専門とする弁護士事務所を舞台に、竹野内豊と松雪泰子演じるワケあり元夫婦ロイヤーのコミカルなタッグを描いたビジネスストーリーです。
賀来賢人が演じるのは、この法律事務所に入所したばかりの新人アソシエイト弁護士。竹野内豊演じるエース弁護士・咲坂健人のサポートに付き、少々クセのある咲坂に負けずと劣らぬ自信と大胆発言でいつも場を盛り上げます。
あらすじ
「神宮寺法律事務所」は、企業案件のみを取り扱うスタイリッシュな弁護士集団。エース弁護士である咲坂健人(竹野内豊)と夏目佳恵(松雪泰子)は売上成績を競うライバル同士かつ、離婚したての元夫婦です。ある日、小さなデザイン会社から持ち込まれた案件は、大手企業が一億円以上もの賠償金を突きつけた著作権侵害訴訟。勝ち目のない争いに無謀にも絶対勝利を誓う咲坂に、事務所の面々は……。
緊張しても物怖じしない、初々しさがかわいい新人弁護士役
賀来賢人演じる熱海優作は、冒頭から咲坂に振り回されっぱなし。元夫婦の上司2人に囲まれて気を遣いまくったり、はたまた変な発言の連続で叱られたり、面白さよりもかわいさが全面に出た演技が好評です。ファッションから仕事のやり方に至るまで、洗練された咲坂のペースを乱してしまう、ストーリー的にも重要な役割。茶目っ気のある笑顔が経験を経てどんどん頼もしくなっていく様子も見どころの一つです。
Image:テレビ朝日
悲しみを抱えた孤高のヤクザ『森山中教習所』
2016年に公開された映画『森山中教習所』は、真造圭伍の人気コミックを元に制作された野村周平と賀来賢人のW主演作品。非公認教習所で偶然出会った高校の同級生が、ひと夏をともに過ごす姿を描いた青春ムービーです。
麻生久美子やダンカンといった、味のある雰囲気たっぷりのオトナな名優たちとの共演も話題に。感情を表に出さない若いヤクザを、賀来賢人がどう演じるかが見どころです。
あらすじ
高校の同級生だった佐藤清高(野村周平)と轟木信夫(賀来賢人)は、偶然の事故をきっかけに山の中にある非公認教習所を知り、ともに免許取得を目指すことに。どこにでもいる普通の大学生の清高とは違い、轟木は若くして組入りしたヤクザの一員。免許が取れたら行きたいところにどこでも行ける清高と、免許を取ることで正式にボスのお抱え運転手にさせられてしまう轟木。性格も置かれた環境も全然違う2人が、教習所を経営する妙な家族と忘れられない夏を過ごします。
無表情で語る轟木。笑いを封印した賀来賢人の演技に注目
賀来賢人演じる轟木は高校を中退してヤクザになった青年。施設で育った境遇や身元を引き取ってくれたボスに決して逆らえない運命の悲しみを背負って、誰にも心を開かず日々を過ごしています。
セリフがほとんどない中で、普段抑えている感情が暴力となって吹き出すシーンや、能天気で少年のような清高にだけ心を開いて微笑むシーンは必見。もともと怒ったら怖そうな雰囲気のある、賀来賢人の眼力はかなりの迫力です。
Image:森山中教習所・公式サイト
本ページの情報は2018年12月28日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。