子どものiPhoneで設定すべき制限（ペアレンタルコントロール）まとめ

Image:Lars Plougmann/Flickr

iPhoneを日常的に使っている子ども達が増えています。小学生以下の子どもから、高校生くらいの未成年者まで幅広い年齢層です。

親・保護者として気がかりなのは、子どものiPhone使用をどのように制限すればよいのかということ。子どもにiPhoneを使わせることで、保護者に対して高額な料金請求が来てしまったり、子どもを悪質なサイトにアクセスさせてしまったりする事態は避けたいでしょう。

この点、iPhoneではペアレンタルコントロールを適切に設定したり、課金を制限したりすれば、子どものネット利用の安全性をある程度確保できます。また防犯の観点から、小さい子どもに持たせたiPhoneの位置情報をチェックできる点もありがたいところです。

今回は、子どもに持たせるiPhoneにおける制限（ペアレンタルコントロール）の設定方法を詳しく解説します。

「ファミリー共有」と「スクリーンタイム」を使ってできること

子どもにiPhoneを持たせる場合でも、アカウントは1人につき1つ用意するのが原則です。親とアカウントを共有して使っている人もいるかもしれませんが、iCloudのパスワードなども子どもと共有することになるため、セキュリティの観点からおすすめできません。子どもがiPhoneを使う場合は、子ども用のアカウントを作成し個別に管理するのがベストです。

ただ、13歳未満の子は、iOSでアカウントを作成することができません。そこで「ファミリー共有」を利用して、アカウントを保護者が作成します。

ファミリー共有では、音楽やアプリなどの購入したアイテムの共有、iCloudストレージの共有、位置情報の共有といったさまざまな機能が用意されています。アプリ内課金を含むアイテムを購入するのに保護者の承認が必要となるため、無制限の課金を防止したいなら必須です。

また、ファミリー共有でアカウントを作成すると「スクリーンタイム」も有効になります。スクリーンタイムでは、iPhoneの使用時間や使っているアプリのレポートを表示したり、アクセスできるコンテンツを制限したりできます。子どものiPhoneを直接操作しなくても、保護者のデバイスから設定できるため、一元管理が容易に実現します。

上の表は、ファミリー共有とスクリーンタイムを使ってできることをまとめたものです。本記事では、アカウントの作成とアイテム購入の制限、位置情報の共有、そしてスクリーンタイムの設定とペアレンタルコントロールについて解説しています。

iPhoneの「スクリーンタイム」機能とは──使い方と設定・解除方法からデバイスとの付き合い方の改善テクニックまで徹底解説

事前準備（ファミリー共有／スクリーンタイム設定）

最初に子ども用のアカウントを作成し、ファミリー共有に参加させます。アカウントの作成中にスクリーンタイムの設定も同時におこなえます。

準備1：子ども用のApple IDアカウントを作成する

1「設定」アプリから［ファミリー共有］を開く

「設定」アプリから［ユーザー名］→［ファミリー共有］を開きます。

2子ども用のアカウント作成を開始する

［メンバーを追加］→［お子様用アカウントを作成］をタップします。

3保護者の認証をする

アカウント作成の画面で、［続ける］をタップします。

その後、保護者であることを確認するため、アカウントに登録されているクレジットカードのセキュリティコードを入力し、［完了］をタップします。

4子どもの名前と生年月日を登録する

保護者プライバシー同意書を確認し、［同意する］をタップ。子どもの名前と生年月日を登録します。

5子ども用のiCloudメールを作成する

Apple IDとして利用するメールアドレスを入力します。持っていないときは、［メールアドレスを持っていない場合］をタップして、iCloudメールを作成できます。

［iCloudメールアドレスを入手する］をタップしてiCloudメールを作成します。任意のアドレスを入力して［メールアドレスを作成］をタップします。

続けて、パスワードを8文字以上で設定します。

6二段階認証用の電話番号を登録する

二段階認証に必要な確認コードを受信するための端末の電話番号を指定します。保護者の端末を利用する場合は、電話番号の表示されているボタンをタップします。子どもの端末や他の番号を指定することも可能です。

その後、利用規約を確認し、［同意する］をタップします。

7ファミリー共有の機能を設定する

最後に、ファミリー共有の機能を設定します。

［有効にする］をタップすると、アプリなどを購入する際に、その都度承認のリクエストを保護者のiPhoneに送信する機能と、現在地をお互いに確認するための位置情報の共有機能が有効になります。これらは手動で設定することも可能です。

子ども用のアカウントが追加されました。

準備2：子どものiPhoneでサインインする

続いて、子どもが使うデバイスを設定します。「設定」アプリを起動して［iPhoneにサインイン］をタップし、準備1で作成したApple IDでサインインします。

アカウント作成時に指定した電話番号宛に認証を解除するためのコードが送られてくるので、「メッセージ」アプリで受信したコードを入力します。

続けて、iPhoneのロック画面を解除するためのパスコードを入力します。

サインインが完了します。Face IDやTouch IDの設定は適宜おこなってください。

子どもにアプリのインストールやアイテムの購入を許可する場合は、Apple IDのパスワードも教えておくとよいでしょう。

準備3：スクリーンタイムを設定する

ペアレタルコントロールは、「設定」アプリの［スクリーンタイム］で設定します。保護者と子どもの端末のどちらからでも設定できます。「設定」アプリの［スクリーンタイム］を開いて、［スクリーンタイムをオンにする］をタップしてください。

保護者の端末から操作するときは、「ファミリー」にある子どものアカウントを選択してから、［スクリーンタイムをオンにする］をタップします。

なお、一度もスクリーンタイムを設定したことがない場合、まず保護者の端末でスクリーンタイムを使えるようにしてから、子どものスクリーンタイムをオンにする必要があります。

スクリーンタイムの設定が開始されたら［続ける］をタップ。

続いて、iPhoneを利用しない時間を設定します。［あとで行う］をタップして、あとから変更することもできます。

アプリのカテゴリを指定して使用時間の制限ができます。［あとで行う］をタップして、あとから変更することができます。

コンテンツとプライバシーの画面が表示されたら、［続ける］をタップします。

スクリーンタイムの設定を変更するときに使う「スクリーンタイム・パスコード」を4桁の数字で設定します。

これで、スクリーンタイムがオンになりました。画面の一番上にユーザー名が表示されています。保護者の端末から操作した場合も、設定がリモートで子どもの端末に反映されます。

ペアレンタルコントロールを設定する

最初に確認しておきたいのが、スクリーンタイムの「コンテンツとプライバシーの制限（ペアレンタルコントロール）」です。特定のアプリや機能（インストールなど）を使えないようにしたり、表示できるコンテンツに制限を設けたりできる機能です。

「設定」アプリから「スクリーンタイム」を開き、［コンテンツとプライバシーの制限］をタップしたら「コンテンツとプライバシーの制限」をオンにします。

すると、4ケタのスクリーンタイム・パスコードが要求されるので入力します。

コンテンツとプライバシーの制限が有効になります。ここの項目は、家庭ごとに柔軟に設定する必要があります。

以下、特にチェックしておきたい項目について説明します。

アプリや音楽の購入を制限する

［iTunesおよびApp Storeでの購入］を開くと、アプリのインストールや削除、アプリ内課金について許可/許可しないを選択できます。

アイテムをダウンロードしようとすると承認リクエストが届く。保護者が［購入する］をタップするまで支払いを完了できない仕組み

ファミリー共有の「承認と購入のリクエスト」が有効になっていれば、アイテム（無料を含む）を購入しようとするたびに、保護者の承認が必要になります。通知を受け取った保護者は、承認または拒否することができ、承認がなければアイテムを購入できない仕組みです。

この制限を有効にしていれば、保護者の知らないところで有料のアプリや音楽、アプリ内課金などを無制限に購入してしまう心配はありません。小学校低学年ならば、間違えてアプリを削除しないよう［Appの削除］を「許可しない」に設定しておく程度でよいでしょう。

なお、リクエストの承認や拒否にはサインインが必要なので、Apple IDのパスワードを入力します。次回以降はFace IDやTouch IDを利用できます。

使用できるアプリを設定する

［許可されたApp］をタップして、使用しないアプリのスイッチをオフにします。

たとえばインターネットを禁止するなら「Safari」、音楽やビデオを購入できないようにするなら「iTunes Store」をオフにすると、ホーム画面からそれぞれのアイコンが削除されます。

表示するコンテンツを制限する

［コンテンツ制限］では、許可するコンテンツの年齢制限を設定できます。重要なのは「App」と「Webコンテンツ」です。

アプリの対象年齢で制限する

「App」は、アプリごとに設定されている対象年齢を指定するための項目です。実年齢に即して設定したいと言いたいところですが、使いたいアプリによって合わせる必要があります。

たとえばLINEやInstagramは［12歳以上］ですが、YouTubeやTwitterは［17歳以上］が対象です。つまり、YouTubeやTwitterを許可する場合、［17歳以上］に設定する必要があります。

アクセスできるWebコンテンツを制限する

あらかじめいくつかのURLが登録されている。［Webサイトを追加］でURLを追加できる

「Webコンテンツ」は、成人向けコンテンツを制限するためのフィルタリング機能です。

小学生などに持たせるなら［成人向けWebサイトを制限］では、はっきり言って不十分。［許可されたWebサイトのみ］で、ホワイトリストを作成するのが安全です。

ルール作りはスクリーンタイムを活用する

最近では小学校へのスマートフォンの持ち込みを限定的に許可している学校も増えているそうです。スマートフォンの利用に関して、最初にしっかりとしたルールを作りたいという家庭も多いでしょう。スクリーンタイムには、ルールを守ってスマートフォンを使うための便利な機能があります。

ここでは、小学生を想定したルールの例をいくつか紹介します。

スマホを使わない時間帯を決める

時間帯で制限をかけたい時に便利なのが「休止時間」です。スマートフォンを見ない（使用できない）時間帯を設定します。

「夜19時以降」や「朝の7時前」には使わないといったルールを作る場合、「開始」時間を夜「19：00」にして、「終了」時間を朝「7：00」などに設定しておきます。

休止時間や次に説明するAppの時間制限を過ぎると、対象アプリのアイコンがグレー表示になり起動できなくなります。

時間制限を超えてプレイしたいときは、スクリーンプレイ・パスワードを入力して延長したり、保護者の端末にリクエストを送信したりできます。

ゲームやアプリに時間制限を設ける

「App使用時間の制限」を使うと、アプリの使用時間をカテゴリやアプリ単位で指定できます。

たとえば「ゲームは1日30分」というルールを作る場合、カテゴリで「ゲーム」を選択して［次へ］をタップします。YouTubeやコミックアプリなども合わせたいときは、カテゴリの右端にある［＞］をタップすれば、カテゴリに含まれる特定のアプリを指定して制限に加えることも可能です。

時間や曜日を設定し、［追加］をタップすると設定完了です。新しい制限を追加したい場合は、さらに「制限を追加」できます。

必要なアプリは常に使えるようにしておく

緊急の連絡用に「電話」や「LINE」は常に使えるようにしておきたい。こんな時は［常に許可］で「許可されたApp」に必要なアプリを追加します。これで「休止時間」や「App使用時間の制限」の例外として動作します。

「SNSはLINEだけ」といったルールで運用したいときは、「コンテンツとプライバシーの制限」でアプリのインストールを制限しつつ、LINEアプリを「許可されたApp」に追加しておけばよいでしょう。

子どもの位置情報を把握する

「探す」アプリ

ファミリー共有で位置情報の共有ができていれば、「探す」アプリでお互いの位置情報を確認できます。

位置情報が表示されないときは、位置情報を表示したい端末で「設定」アプリを開いて［Apple ID］→［探す］→「位置情報を共有」をオンにします。

「メッセージ」アプリ

「メッセージ」アプリでも位置情報を確認できます。ただし、「メッセージ」アプリを使うときは、別途設定が必要です。

位置情報を知らせたい端末のメッセージ画面を開いて、アカウントアイコンをタップして［情報］を選択。開いた画面で［位置情報を共有］をタップし、［無期限］などを設定します。「メッセージ」アプリは、時間を指定して共有したいときなどに便利です。

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おまけ：パスワード関係の理解を整理

ここまで機能制限やフィルタリング、位置情報の把握、課金制限について説明してきた中で、スクリーンタイム用の「パスコード」とApple IDの「パスワード」という2種類のパスワードが登場しました。そのほか“パスワード”と呼べる要素として、画面ロックを解除する「パスコード」も存在します。

これら3つのパスワード（パスコード）が頭の中でごちゃまぜになってしまっている人もいるかもしれません。各パスワードの違いについて簡単に理解しておきましょう。

ペアレンタルコントロール（保護者による機能制限）の観点から、3種類あるパスワードを重要度が高い順に並べると上記のようになります。

このうち子どもに教えてもよいのは、2と3だけです。

スクリーンタイム・パスコード

スクリーンタイム・パスコードは、iPhoneの機能や表示するコンテンツを制限するのに必要な4桁のパスコードです。スクリーンタイム・パスコードを子どもに知られてしまうと、ペアレンタルコントロールの設定を勝手に変更されてしまうので、知られないように注意してください。メモに残すとしても目の届かないところに控えておきます。

また、スクリーンタイム・パスコードを忘れてしまうと、機能制限を設定・解除するのにiPhoneを初期化しなければならなくなるので注意してください。

Apple IDパスワード

Apple IDのパスワードは、iTunes StoreやApp Store、iCloudなどで利用します。

アプリのインストールなどは、「承認と購入のリクエスト」で制御できるため、パスワードを子どもに教えても問題は起こりにくくなっています。アプリのインストールを許可している場合、パスワードは必須です。

ただ、子ども向けに分かりやすいパスワードを設定するのはおすすめできません。子どもがパスワードを運用するための正しい知識を身に付けるまでは、保護者が管理してもよいでしょう。

iPhoneのパスコード

おもにiPhoneのロック画面を解除するのに必要なパスコードです。

最近ではFace IDやTouch IDで代用できますが、パスコードの入力が求められる時もあるので、子どもに教えておく必要があります。