2017年の冬モデルとして登場した「HUAWEI Mate 10 lite(ファーウェイ メイトテン ライト)」ですが、発売当初は4万円台前半だった価格が最近は2万円台後半にまで落ちてきました。このプライスならとても魅力的なので、あらためて詳しくレビューしていきます。
なお、HUAWEIのスマホは機種が多くてラインアップがわかりづらいのですが、「lite」が付くモデルは廉価版となります。P20などの「P」シリーズは上位モデルで、「Mate」シリーズはさらに上の最上位モデルになります。Mate 10 liteは「Mateシリーズのlite」であるため、廉価版といえども安っぽいわけではありません。
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5.9インチと持ちやすい頃合いのサイズ
気になるディスプレイのサイズは5.9インチです。ワイドタイプの液晶なので、持ちやすさも上々です。Mateシリーズは大画面モデルという印象が強いのですが、そう大きなわけではありません。ちなみに、Mate 10 Proは6インチのディスプレイです。参考までに、いくつかのスマホとサイズを比較してみましょう。
ディスプレイ | サイズ | |
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Mate 10 lite | 5.9インチ | 75.2×156.2×7.5ミリ |
Mate 10 Pro | 6インチ | 74.5×154.2×7.9ミリ |
P20 Pro | 6.1インチ | 74×155×7.9ミリ |
ZenFone 5 | 6.2インチ | 75.6×153×7.7ミリ |
iPhone XS | 5.8インチ | 70.9×143.6×7.7ミリ |
iPhone XSがややスリムですが、あとはほとんど大きさが変わりません。ディスプレイのサイズが微妙に違うものの、こちらもさほど違いがあるようには感じないでしょう。ZenFone 5だけは超狭額縁なので、画面が広く感じます。Mate 10 liteのサイズは、目立った特徴があるわけではありませんが、持ちやすい頃合いの大きさです。
Mate 10 liteは手ごろな価格のおすすめモデル
左からP20 Pro、Mate 10 lite、ZenFone 5。ZenFone 5が超狭額縁だ
ディスプレイの品質はまずまず
10万円クラスの上位モデルは、ディスプレイに有機ELを採用しています。Mate 10 Pro、P20 Pro、iPhone XSなどがそれですが、Mate 10 liteは昔ながらの液晶となっています。
このあたりがコストダウンの目立つ部分ですが画質は十分で、普通に使うのに暗く感じることはないでしょう。ZenFone 5も液晶を採用しますが、両者を比較するとMate 10 liteが少し暗く感じます。ただしそれほど差はないので、並べて比べなければ違いはわからないでしょう。
ディスプレイの縁(フチ)がアールを描いた2.5Dガラスを採用しており、見た目にもとても美しく、また指でスライドした時の手触りも良好です。
左からP20 Pro、Mate 10 lite、ZenFone 5。真ん中のMate 10 liteがやや暗い
斜めから見ると、有機ELのP20 Proがずば抜けて明るいことがわかる
ディスプレイは2.5Dガラスを採用しており、高級感がある
金属製の高級感あふれるボディ
注目したいのは、ボディが金属製であることです。2万円台のスマホで金属ボディのモデルはあまり多くないので、満足度は高いはず。さすがに、もともと4万円台だったモデルだけのことはあります。手にすると、金属のひんやりとした感触が伝わってくる上に、スリムなのでとても質感が良く感じるはずです。
デザインはiPhone 8などに似た印象がありますが、カメラの位置などが異なります。気になるのは、指紋センサーが背面にあることです。普通に使って困ることはありませんが、カバーをするとセンサーが奥に位置してしまい、使いづらくなります。また手帳タイプのカバーは、フタを開くとセンサーが隠れるので向きません。
電源に接続するための端子にmicroUSBを採用している点も要チェックです。最近はUSB-C端子が主流なので、少々古く感じます。ただし、手元にmicroUSBケーブルがある人は使い続けられます。
金属製のボディは質感が良い。指紋センサーは背面に搭載
端子はmicroUSBなので今あるケーブルが使えるが、規格がやや古い
手前のP20 Proと比べても、薄さではさほど引けを取らない
性能はやや劣るものの十分だ
CPUはHUAWEI独自のKirin 659で、メモリは4GBとなっています。実際にしばらく操作してみましたが、レスポンスは程々でした。サクサク動くようなキレの良さは感じませんが、遅いとも思いません。ベンチマークを取ってみると、スコアは中の下といったところです。
P20 liteと比べてもほとんど変わらないので、一般的な使い方なら2年は大丈夫でしょう。ただ、ヘビーなゲームなどを楽しみたいなら、もう少し性能の高いZenFone 5などをおすすめします。
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また、3〜4年と長く使いたいユーザーにも物足りないでしょう。とはいえ、ストレージが64GB確保されているのは、2万円クラスのモデルとしては注目のポイントです。さらに、microSDカードの増設にも対応します。
写真や音楽は増設したmicroSDカードに保存できますが、アプリのインストールは本体のストレージにおこないます。64GBなら、多くのアプリをインストールしても余裕を持てるはずです。
ベンチマークのスコアは中の下程度。3年程前の上位モデルといい勝負だ
カメラはややさっぱりすぎる
Mate 10 liteのカメラは、1600万画素と200万画素のダブルレンズです。インカメラも1300万画素と200万画素のダブルレンズとなっています。このダブルレンズを生かして背景をぼかした撮影ができるのが特徴です。撮影後にぼけ具合の調整もできるのは、なかなか優れています。ただしズームやワイドなど、2つのレンズを生かした撮影はできません。
今回は、iPhone XS Maxと比較してみました。iPhone XS Maxのカメラ性能はiPhone XSとほぼ同じと考えていいでしょう。さすがに、最上位モデルとの比較では相手が悪かったようで、ずいぶんと差がありました。しかし、価格は10万円以上違うのですから、この画質で十分という人も多そうです。
Mate 10 liteでは全体に明るすぎて、写真がさっぱりしすぎる感が否めません。やや暗めに調整するとよさそうですが、暗部は黒く潰れてしまうのは致し方ありません。それでも、1〜2年前の2万円台のスマホと比べると雲泥の差で、価格を考えれば間違いなく納得できるはずです。
背景のぼかし具合を撮影後に調整可能
通常撮影
上:Mate 10 lite、下:iPhone XS Maxで撮影。Mate 10 liteは、やや明るすぎる印象が拭えない
背景ぼかし
左:Mate 10 lite、右:iPhone XS Maxで撮影。背景をぼかした写真の比較すると、iPhoneのほうが自然だ
色合い
左:Mate 10 lite、右:iPhone XS Maxで青空をバックに木を撮影した。木の葉の鮮やかさが大きく違う
近接撮影
左:Mate 10 lite、右:iPhone XS Maxで花を近くから撮影。周辺のぼけ方などは似ているが、色合いに大きく差が付いた。iPhone XS Maxのほうが自然に近い色だ
暗所撮影
左:Mate 10 lite、右:iPhone XS Maxで暗い部屋で撮影。Mate 10 liteのほうはガラス窓が白く飛んでいる
まとめ
HUAWEI Mate 10 liteは発売当初、4万円を超える価格のモデルでした。性能面では最近の2万円台後半の製品とさほど変わらない印象ですが、本体の質感が高いのがポイントです。
同じHUAWEI P20 liteと比べると、価格はほとんど変わらなくなっています。カメラも性能もさほど変わりません。どちらを選ぶかは、好み次第と言ったところでしょう。ディスプレイのノッチが嫌いな人、質感の高いボディを望む人にはMate 10 liteをおすすめします。
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構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部