「スマートEX」では、スマホを使えば座席予約から乗降車まで完全なチケットレスな利用ができます。特に面倒な手続きもありません。みどりの窓口や券売機に並ぶ必要もなく、在来線と同じ感覚で新幹線に乗れてしまいます。とはいえ、何事もサービスを初めて利用する際は不安が付き物でしょう。
本記事では「スマートEX」を活用し、東海道・山陽新幹線にSuicaで乗車する手順を解説。スマホに追加済みのSuicaを利用して完全チケットレスで新幹線に乗る方法だけでなく、きっぷ(乗車券・新幹線特定特急券)を発券して乗車する方法も紹介します。
「スマートEX」サイトで会員登録
まずは「スマートEX」の会員登録をおこないます。必要なものは、クレジットカード(VISA/MasterCard/JCB/アメックス/ダイナースクラブ/J-WEST/DISCOVER)のみ。交通系ICカードの登録は任意ですが、未登録だと券売機での乗車券・特急券の発券が必要になります。
会員登録は、スマートEXの公式アプリ「EXアプリ」やWebサイトからおこなえます。今回は、EXアプリから利用する方法を紹介します。


「EXアプリ」をインストールして起動したら、
をタップ。会員情報を入力して と進みます。

パスワードやクレジットカード情報を入力し、続けて交通系ICカードの情報も入力します。
なお、交通系ICカードの登録は飛ばすこともできますが、先ほど紹介した通り、未登録だと券売機での乗車券・特急券の発券が必要となります。


新規会員登録が完了したら、そのまま
をタップして、会員IDとパスワードを入力します。会員IDは、登録したメールアドレス宛に送信されたメールに記載されています。「EXアプリ」で新幹線をネット予約
続けて、EXアプリで新幹線を予約する手順を紹介します。


「予約する」画面で列車を予約します。画面上部のメニューで「時刻指定」「列車名指定」「自由席」のいずれかを選択します(初期状態では時刻指定が選択済み)。
スマートEX指定席(普通車/グリーン車)を予約する場合は、「時刻指定」「列車名指定」を選ぶ必要があります。


選択したメニューに応じて、乗車日や乗車時刻、乗車駅・降車駅、列車番号、乗継駅、人数、その他(特大荷物スペースの利用/喫煙車や喫煙ルーム付近の禁煙車のみ検索/ひかり・さくら・こだまのみ検索/直通列車のみ検索)などをタップし、各項目を設定してから
をタップします。「時刻指定」の場合、列車選択と商品選択(スマートEX指定席/スマートEX自由席)、座席選択(初期状態では「指定しない」。「指定しない」をタップすれば「列」を指定可能。「座席表から選択する」をタップすれば、シートマップで予約状況を確認して指定できる)をおこないます。
「列車名指定」の場合は、列車種別と列車番号を選択し、「時刻指定」と同様に商品選択などをします。


条件指定が済んだら、クレジットカードのセキュリティコードを入力し、
をタップします。これで予約(購入)完了です。予約内容の一覧は、画面下部のバーをタップするか、メニューで「予約一覧」を選べば確認できます。
予約内容の変更は、交通系ICカードでの改札入場前またはきっぷ受取前で、予約している列車の発車時刻前までなら可能(受付時間:5時30分から23時30分)。変更先として指定できる列車は、発車時刻4分前までの列車です。予約の払戻しもできますが、原則として片道320円の手数料を取られます。
新幹線に乗る
筆者が実際にスマートEXで予約して新幹線に乗ってみました。今回はiPhoneのApple Payに追加してあるSuicaを使いましたが、Androidスマホに登録してあるモバイルSuicaや交通系ICカードも使えます。
1人で乗る場合
スマートEXを使って1人で新幹線に乗る場合、完全チケットレスで新幹線に乗ることができます。
筆者が乗車したルートは下記の通りです。
JR品川駅→(東海道新幹線)→JR新横浜駅→(JR在来線)→藤沢駅
まず、品川・新横浜間の新幹線自由席を予約しました。

品川駅の新幹線改札口で改札機のIC読み取り部にiPhoneをかざすと、「EXご利用票」が出てくるので、受け取って入場します。Suicaだけで新幹線のホームにたどり着けました。

新幹線に乗車し、新横浜駅に到着しました。新横浜駅から藤沢駅までJRの在来線で向かうので、JR乗り換え口で改札機のIC読み取り部にiPhoneをかざし、在来線コンコースに入場します(在来線区間はSuica残高を使用)。藤沢駅まで移動し、改札でiPhoneをかざして出場できました。

いったん予約したら、あとはiPhoneだけですべて完結します。モバイルSuicaを使い慣れている人であれば、在来線に乗るような感覚で新幹線を利用できるのです。
2人以上で乗る場合
2人以上で予約する場合の乗車方法は2種類あります。
チケットを発行して乗車する
1つは、券売機で乗車券と新幹線特定特急券(以下、きっぷ)を発券する方法です。ちなみに、スマートEX会員で本人分だけの予約を済ませた後で、別途会員以外の予約をおこない、券売機で会員以外の予約分だけを発券すれば、会員本人はチケットレスで改札を通過できます。会員本人以外の分だけの予約・発券も可能です。
また、予約人数分の交通系ICカードがあれば、全員チケットレスで乗車することも可能です。その手順は2つめの方法として後述します。
筆者が乗車したルートは下記の通りです。
JR上野駅→(京浜東北線)→JR東京駅→(東海道新幹線)→JR品川駅

最初に、1人で乗るときと同様に2人分の予約を済ませ、券売機で受け取るための「受取コード」を発行しておきます。スマートEXアプリのアカウント管理画面で
をタップします。

画面が切り替わると、ワンタイムパスワードの入力画面が表示されます。ユーザー登録をおこなったアドレス宛に送信されたメールに表示されている数字を確認して入力しましょう。完了すると、QRコードと16桁の受取コードが表示されます。

上野駅で在来線改札口からSuicaで入場して東京駅へ向かいます(きっぷで入場してもOK)。京浜東北線で東京駅まで移動したら、東海道新幹線の改札口近くにある指定席券売機できっぷを下記の流れで発券。EXマークのある受取専用機があれば、同じ手順で発券できます(例:品川駅では改札口に隣接して設置)。
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「EX きっぷ受取」というマークのある券売機できっぷ受取ボタンをタッチ
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受取コードの画面に表示されたQRコードを券売機にかざすか、受取コードを直接入力
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スマートEXのログインパスワードを入力して「確定」をタッチ
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予約しておいたきっぷを選択して発券をタッチ
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きっぷと領収書を受け取る
2人分の自由席を予約しておいたので、きっぷ2枚と領収書1枚が発券されました。
次に、新幹線の改札口を通過します。今回は在来線からの乗り継ぎであるため、はじめにきっぷを改札機に投入し、続けてSuicaをタッチしました(在来線にきっぷで入場していれば、重ねて投入します)。
その後、東海道新幹線で6分ほどの旅路を終えて、品川に無事到着。品川駅では在来線に乗り換えず、そのまま出場しました。この場合、改札機に投入するのはきっぷだけでOKです。もしJRに乗り換えるのであれば、乗り換えの改札機にきっぷを投入し、Suicaをタッチする必要があります。
全員チケットレスで乗車する
予約した人数分の交通系ICカードを用意すれば、全員チケットレスで乗車することも可能です。
たとえば、クレジットカード決済ができない子どもの分もまとめて予約した後で、普段子どもが使っている交通系ICカードを指定してあげれば、チケットを発券する必要はありません。


交通系ICカードの指定は「EXアプリ」からおこなえます。
から、 を選択します。
画面が切り替わったら、使用する交通系ICカードをカメラで読み込むかICカード番号を入力して登録しましょう。
領収書は3パターンある
スマートEXでは3パターンの領収書を利用できます。
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EXご利用票:交通系ICカードの場合、改札入場時にEXご利用票が改札機から発行されます
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ご利用票兼領収書:乗車券・新幹線特定特急券の発券時に発行されます
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領収書表示サービス:スマートEX公式サイトにログインすれば、領収書表示サービスを利用できます
「スマートEX」の注意点
スマートEXは、その利便性の高さを年会費無料で簡単に享受できる点が大きなメリット。繁忙期を除いて、さまざまなEX早特割も用意されています。新幹線に乗るのは年に数回あるかないか、という程度のライトユーザーにとっては非常にありがたいサービスです。ただ、スマートEXには、主にコスト面でいくつか注意すべき点が存在します。
特定都区市内制度が適用されない
たとえば、新幹線で京都駅から東京駅まで乗車するようなケースでは、東京駅で山手線に乗り換えて新宿駅まで行ったとしても、その区間は新幹線の乗車券で乗れる仕組みになっています。いわゆる特定都区市内制度が適用されるためです。
しかし、スマートEXではこの特定都区市内制度が適用されません。在来線利用時は、在来線区間の運賃を交通系ICカードの残高から引き去ります。
この点、スマートEXでは通常と比べて200円安い運賃で新幹線に乗ることができますが、そこには特定都区市内制度が不適用となる分を相殺する側面があると推察されます。
新幹線の改札できっぷと交通系ICカードを併用する場合、きっぷを先に投入する
新幹線と在来線を乗り換える改札口できっぷ(乗車券・新幹線特定特急券)と交通系ICカードを併用して入出場する場合、きっぷを先に投入する必要があります。在来線のきっぷと新幹線のきっぷを併用するときは、重ねて投入します。
"安さ"を重要視するなら「エクスプレス予約」のほうがおトク
従来型の「エクスプレス予約」は、年会費(税込1100円)が必要ではあるものの、いつでもおトクな会員価格で新幹線を利用できます。頻繁に新幹線を使うのであれば、エクスプレス予約がおすすめです。
なお、エクスプレス予約で登録済みの交通系ICカードはスマートEXに登録できません。
学割や株主優待割引などは利用できない
スマートEXには、学生割引や株主優待割引、ジパング割引などの割引証は利用できません。