通信キャリアのあるべき姿とは?:ere's eye 3

2012-01-29 3:03
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先日24日、ドコモが「スマートフォンあんしん遠隔サポート」の提供開始を発表した。そこまでするかというサービスの登場に、いよいよ本格的なスマホ時代の到来を予感してしまう。一方で、フィーチャーフォン時代から続く「キャリアがなんでも面倒見ます」という傾向が、果たしてスマホ時代に適応しているのかという疑問の声もちらほらと聞こえてくる。そこで今回は、本格的なスマートフォン時代に通信キャリアのあるべき姿について考えてみたい。

スマホ時代がやってくる。その時キャリアはどうする

もはや誰もがスマホを買う時代


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auではスマホの販売シェアが50%に

KDDIが先日発表した決算によると、携帯電話販売台数の半分はスマホになったという。2012年に販売される携帯電話の70%はスマホになるという予測もあり、今年は多くの人がスマホを手にすることになりそうだ。

その一方で、「いやいや、スマホはよくわからないし、ガラケーで十分だから」という声も根強く存在するが、その姿勢を貫くのは難しいかもしれない。
というのも、これまでガラケー(従来型のケータイ・フィーチャーフォン)を作り続けていたメーカーは、既にスマホ製造中心に転換している。しかも、これまで日本では大きなシェアを握っていた国内メーカーは、スマホ対応で出遅れた影響で、Sony EricssonやSamsungなどに押されており、状況はかなり厳しくなっている。この状況下で「一部ユーザーにしか売れないガラケー」を作る余裕はどんどんなくなってくるであろうから、よりスマホへの移行が加速するだろう。
さらに、通信キャリアはARPU(1契約あたりの月間平均収入)が高くなるスマホに移行してもらいたいと考えている。こうなると、割引などの予算はスマホに向かってしまう。結果、ガラケーはスマホに対してどんどん値段が高くなっていく。連れてガラケーを選択するユーザーは少なくなっていくと思われる。

その時キャリアはどうする?

さて、誰もがスマホを選択する時代に、キャリアはどうするのだろうか。これまでの動きを見るに、キャリアはガラケー時代同様に、いや、それ以上に「ユーザーの面倒を見てあげる」という傾向を強めていこうとしている。

既にAndroidで取り組みが進んでいるのが、ガラケー機能の移植だ。
ドコモやauは、ユーザーがガラケーで使ってきた「キャリアメール」をスマホでも使えるように、ほぼ標準で対応している。そして、ガラケーでできたことがスマホでもできるように、日本独自の機能を盛り込んだ「ガラスマ」と言われるようなスマホを作るようにメーカーに声がけしていると言われている。

さらに、端末の機能に加えて、キャリアにはプリインストールアプリを増やそうという傾向も見られる。
iPhoneと比較すると、AndroidはOSレベルで標準搭載する機能が少ないのは間違いないが、それを補うべくキャリアがプリインストールアプリを用意している。また、アプリをインストールするという習慣のないガラケーユーザーのために、同じように「最初から色々できる」という環境を用意してあげようということなのだろう。

また、今後の流れになりそうなのが、冒頭で紹介した「スマートフォンあんしん遠隔サポート」のようなサービスの開始だ。


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ドコモの「スマートフォンあんしん遠隔サポート」

「スマートフォンあんしん遠隔サポート」は、スマートフォンやタブレットの画面を、専用のコールセンタースタッフが遠隔で確認しながら、操作のサポートを行うサービスだ。当初は無料で提供されるが、キャンペーン期間以降は月間420円(「ケータイ補償お届けサービス」との併用で126円)かかるという。

かねてより、Androidスマートフォンは初心者にわかりにくいと言われてきたが、このサービスがあれば誰でも安心してスマホを導入できる、と考えたといったところだろうか。

パワーユーザーにとっては大きなお世話?

と、キャリアは色々とスマホをガラケーライクに使えるようにと腐心しているようだが、ユーザーはどう思っているのだろうか。

確かに、人はこれまでできていたことができなくなることに不満を感じるもの。ここにニーズがあることは確かだろう。しかし、ガラケーライクな機能搭載によって障害が起こったり、端末の開発期間が長くなったりという問題も起こっており、「それならそんな機能いらないよ」という声がパワーユーザーを中心に挙がり始めている。

また、メモリ容量に制限がある中で、必ずしも全てのユーザーが求めるようなアプリではないものも含まれているプリインストール
アプリを「不要」「余計なもの」と見なす人も少なからずいる。

これは、あれもこれもとプリインストールソフトを入れていった結果、「買ったら最初に余計なソフトをアンインストールするところから始めよう」などと言われてしまう国内メーカーのWindowsマシンにそっくりだ。何も入っていない分だけ軽く安く面倒ではない、と海外メーカーのPCを評価する人がいるように、スマホでも同じ傾向が見られるといっていいだろう。
アプリオ編集部にも「(プリインストールアプリを)アンインストールする方法を教えて欲しい」といったような問い合わせがよく寄せられており、プリインストールアプリに対して否定的な人が今後増えるかもしれない。

どうすればみんな幸せになれるか

こうしてみると、スマホ初心者のためにキャリアは「お世話してあげる」という姿勢を強めており、それを冷ややかに見る中・上級者といった構図になっている。キャリアがスマホの裾野を広げようと対応するほどに、既存のスマホユーザーの不満が高まるような状況だ。

では、みんなが幸せになれる方法はないのだろうか。

端末のハードウェア仕様については、Androidのよさを活かして、これまで以上にガラスマのような「全部入りモデル」とグローバルモデルのような「シンプルモデル」の両方の存在を認めてくれればいいのではないだろうか。ドコモなんかはGalaxy Nexusの取り扱いをしているので、この対応をしてくれるのかもしれない。

プリインストールアプリについては、「選択の余地」をユーザーに与えて欲しい。「スマートフォンあんしん遠隔サポート」のようなフォローサービスを受けるかどうかをユーザーが選択できるように、プリインストールアプリも「ユーザーが望む場合」にのみショップ側でインストールする、といったようにできないだろうか。
ショップ側では、端末買い替え時に電話帳の移行などをサービスで行ってくれるところが多い。この時に、アプリも「プリインストール」してあげるのだ。アプリデベロッパーからするととんでもない話だと思うかもしれないが、そもそもユーザーが不要と思うものを「強制的に」提供した結果、散々な評価をAndroid MarketやSNS上に書かれるくらいなら、プリインストールなんかしないほうがいいかもしれない。

みんなは通信キャリアにどうして欲しいだろうか?