山下智久と新垣結衣が出演する『コード・ブルー』は、救急医療の現場を舞台にしたドラマ。2008年に1stシーズンが放送され、2017年7月から3rdシーズンが放送されています。
タイトルの『コード・ブルー』とは、患者の容態が急変した際などに用いられる救急コールのこと。その名の通り、本作は突発的に重症患者に立ち会ったり、ヘリで事故現場などに緊急出動し、ときにはその場でオペするなど非常事態の連続です。
そんな緊迫感のある医療現場の中で、様々な思いを抱えた、魅力ある登場人物たちの成長や葛藤が共感を持って描かれます。
今回の3rdシーズンでは、新たに加わったフェロー(フライトドクター候補生)3人の成長ドラマと、1stシーズンの時にはフェローだった4人の成熟した様子が対比的に描かれて、厚みのあるドラマとなっています。
そして、なにより命とは何なのかを多様な視点で描き、視聴者にも考えさせるような上質な作りになっています。
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救急医療現場のリアリティ
本作の大きな魅力は医療現場のリアリティです。緊迫した状況や真に迫る場面は、細部のセリフにまで気を配った本物志向が支えています。
監修をしているのは、千葉県印西市にある日本医科大学千葉北総病院。救急ヘリの発着のシーンなどの撮影も実際にこの病院で行われています。この病院の救命救急センターのスタッフがシナリオ作りの段階から関わっているそうです。
センター長の松本尚さんも、「『コード・ブルー』という作品では、基本的にあり得ないこと描きません」と語っている通り、徹底したリアリティにこだわっています。
フジテレビ(『コード・ブルー』医療監修 松本尚氏インタビュー)
フェローたちの成長に共感
1stシーズンでフェローだった藍沢、白石、緋山、藤川の4人はすっかり成熟して一人前の医師として活躍し、新しい3人のフェローを導く役割になっています。
自信が無く臆病な灰谷、スキルはあっても情熱のない名取、軽い性格の横峯の三者三様が、先輩たちの叱咤や厳しい指示に立ち向かいながら、医師としての自覚を身につけていく姿に共感を覚える視聴者は多いでしょう。
まだ未熟な彼らの存在は、より視聴者に近い立場と言えるでしょうし、彼らの苦闘ぶりを観て、自分だったらどうするだろうと考えさせられる人も多いのではないでしょうか。
命とは何かを考えさせられるドラマ作り
救急医療が舞台なだけあって、本作は観る人にとっても命とは何なのかを考えさせられる内容になっています。
厳しい状況の中、時には助けられる命に限りがあります。人の命は平等ですが、怪我の重さによって優先順位をつけなければ、誰も助けられないこともあります。そんな命の選択をしなければならない瞬間もあれば、患者によっては、命よりも自分の生きがいが大事だという人に、医師としてどう向き合うかなど、簡単には答えが出ない問題も描かれます。
臓器移植という難しい問題にも、このドラマは臆することなく取り組んでいます。脳死判定された少年の両親は目覚めることを期待してしまう、しかし彼の臓器があれば、多くの命が救われるのも事実。人間の臓器をモノのように取り扱う摘出手術のシーンは、なんともいえない不気味さがある一方、それが多くの命を救うことにもつながる。そんな複雑で答えの出せない状況に日々向き合いながら、ドクターたちは成長していきます。
登場人物それぞれの抱えるドラマも佳境に入り、ますます目が離せません。どんな結末を迎えるのか楽しみです。
構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部