今なお、世界中で多くの人に愛されているビートルズ。1960年代から70年代にかけて一世風靡した彼らは、世界の音楽シーンを変革したと言っても過言ではありません。
そんなビートルズも音楽産業の本場アメリカでどのように受け入れられていったのかを知る、貴重な手がかりとなるドキュメンタリー映画『ビートルズ ’64』が、ディズニープラスで独占配信中です。タイトルの「64」という数字は、ビートルズが初めてアメリカに上陸した年を指しています。その年、アメリカでどんな熱狂を巻き起こしたのか、貴重なプライベート映像からニュース映像、当時を知る人のインタビューを交えて明らかにしているのです。
本作の製作を務めるのは、巨匠マーティン・スコセッシ、ポール・マッカートニーやリンゴ・スターはもちろん、過去の映像でジョージ・ハリスンとジョン・レノンも登場。64年という年を振り返っています。
女性たちを絶叫させたビートルズ
ケネディ大統領が暗殺された1963年11月、翌月にはニューヨークの国際空港が「JFK空港」に改称された数カ月後、ビートルズは初めてアメリカの地に降り立ちました。数年でイギリスの音楽シーンを席巻していたビートルズの人気は、大西洋を挟んだニューヨークでもすさまじく、空港にも彼らが泊まっているホテルにも大勢の女性が詰めかけていました。
中には男らしくない若造がアメリカで通用するのかといった懐疑的な見方もありました。彼らの髪型「マッシュルームカット」は女っぽいと思われていたのです。しかし、いざアメリカ上陸してみたら、ビートルズは瞬く間に全米に大旋風を巻き起こしていくのです。
彼らが泊まるホテルにはたくさんの女性が詰めかけ、絶叫しています。中にはホテル内に忍び込もうとする人もいて、そんな女性たちに密着したカメラ映像も本作には使用されています。
そんな中、ホテルの部屋にいるビートルズは困惑する様子ではなく、その異様な状態を楽しんでいるようです。本当に仲の良いクラスメートが旅行に来たみたいな雰囲気で、わちゃわちゃとヤンチャな雰囲気がリアルに感じ取れる映像が満載。終始リラックスムードで初めてのアメリカツアーを全力で楽しんでいる様子が伝わってきます。
映画は、ホテルを取り囲んでいた女性たちの現在も取材しており、当時の熱狂を振り返っています。専門家や音楽アーティストのみならず、こうした一般人にも取材しているのは、この手のドキュメンタリー作品ではめずらしいかもしれません。しかし、ビートルズ旋風の中心にいたのは、まちがいなくこうした女性たちだったはず。こうした証言もとても貴重なものと言えるでしょう。
もちろん、一般人だけでなく、音楽の専門家のインタビューも充実しています。中でもザ・ミラクルズのスモーキー・ロビンソンのインタビューは貴重でしょう。ビートルズは、ザ・ミラクルズの『ユー・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー』のカバー曲も発表しています。また、ビートルズへのリスペクトを示すかのように、ザ・ミラクルズは彼らの名曲「イエスタデイ」をエド・サリバン・ショーという、有名な音楽番組で披露しています。映画は、その当時の映像も使用しており、なかなか見ることのできない貴重な映像です。
ビートルズのファンはもちろん楽しめますし、アメリカ社会の歴史にも目くばせした内容で、見ごたえある作品です。もちろん、ビートルズの名曲の数々も貴重な映像とともに聴くことができるという点で、音楽映画としても楽しめる一本です。
『ビートルズ ’64』を見る(ディズニープラスで配信中)
瞬く間にチャートを駆け上がり、熱烈なティーンエージャーのファンに囲まれ、7,300万人を魅了した「エド・サリヴァン・ショー」での記録的なパフォーマンスなど、ビートルズのアメリカ初上陸の衝撃は熱狂をもって迎えられた。映画製作者マーティン・スコセッシとデヴィッド・テデスキが、音楽で世界を席巻し、想像を絶する名声を手にしたビートルズを描く。本作では、先駆的なドキュメンタリー作家であるデヴィッド&アルバート・メイズルス兄弟が撮影した当時の貴重な舞台裏の映像が、4Kで美しく復元される。新規映像やこれまでのビートルズのインタビュー、彼らの音楽によって人生が一変したファンのインタビューも交え、彼らが紡いだ「時代」と今日まで続く影響を解き明かしていく。
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