シャープの最新Androidスマートフォン「AQUOS R6」が新登場しました。高性能と美しいディスプレイに加え、ライカが監修した1インチセンサーのカメラが話題になっています。ハイエンドモデルらしく、価格はNTTドコモで11万5632円、ソフトバンクで13万3920円です。果たして、プライスに見合う魅力はあるでしょうか。詳しくレビューしていきます。
本体はスリムで持ちやすい
AQUOS R6は、最近のスマホによく見られるデザインを採用しています。画面は左右が大きくラウンドしているタイプで、画面サイズの割にはスリムで持ちやすくなっています。机の上に置いてあっても持ち上げやすいAQUOSシリーズの特徴は、しっかりと継承されています。本体の上下部分に窪みが設けられているのも、従来モデルのデザインを引き継いでいるところと言えるでしょう。
AQUOS R6の本体サイズは約74×162×9.5ミリで、重さは約207gとなります。iPhone 12 Pro Max(約78.1×160.8×7.4ミリ)と比べると、幅が4ミリほどスリムになっていることがわかります。高さも微妙に違いますが、ほぼ同じくらいです。iPhone 12 Pro Maxは6.7インチですが、AQUOS R6は6.6インチとほとんど画面サイズが変わりません。かなり小さく感じるのに画面サイズがさほど変わらないのは、高さがあることと、画面がラウンドしているからです。

画面が左右にラウンドしたデザインのAQUOS R6

背面はスッキリとした外観でカメラが目立つ

右のiPhone 12 Pro Maxと比べるとスリムなことがわかる
滑らかで美しい表示のPro IGZO OLEDディスプレイ
ディスプレイはシャープ製の「Pro IGZO OLED」を採用しています。有機ELなので、黒の締まりがとてもよいのが特徴です。画面の書き換えは1~240Hz。つまり、画面をリフレッシュする回数を減らしてバッテリーの消費を抑え、ゲームなどは240Hz駆動でブレのない美しい映像を見られます。この滑らかなハイスピード表示は、設定画面でアプリごとに利用の可否を決められるようになっています。
また、最大2000ニトという素晴らしい明るさにも注目してください。屋外はもちろん、直射日光下の写真撮影でも見やすいのが嬉しいところです。最大800ニト(HDR時1200ニト)のiPhone 12 Pro Maxと比べてもかなり違います。ただし、周囲の環境によって明るさが自動的に変わることもあり、場面によってはiPhone 12 Pro Maxのほうが明るく感じることもありました。とはいえ、そんなケースではどちらも十分以上の輝度になります。
AQUOS R6のディスプレイは極めて明るい有機ELですが、色合いが派手すぎることもなく、とても上質な発色です。ただし、前記したようにディスプレイの縁(フチ)がラウンドしているタイプなので、ここは評価が分かれるところでしょう。画面のフチの部分が使いづらい、写真などが歪むと言う人もいます。

照明の下でiPhone 12 Pro Maxと明るさを比べた

直射日光下でも非常に見やすいのが特徴。AQUOS R6は、写真よりも肉眼で見たほうが明るく感じる

周囲の明るさによってはiPhone 12 Pro Maxを圧倒する輝度

ディスプレイのフチがラウンドしている

ハイスピード表示は設定でカスタマイズできる

HDRもカスタマイズできる
性能は文句なしでイヤホンジャックを搭載
指紋センサーは画面に内蔵しているタイプですが、設定から運用まで驚くほど進化しています。設定も指を数回触れるだけで完了します。さらに普段の利用も非常にレスポンスがよく、感心しました。ここまで高速になると、顔認証に対応していますが、使う気になれないかもしれません。
本体の右側面には、音量調整、アシスタントキー、電源ボタンが並んでいます。本体下部にはイヤホンジャックを搭載しています。最近はワイヤレスのみの機種も増えていますが、イヤホンジャックがあれば有線接続の高級イヤホンも利用可能です。
CPUはSnapdragon 888 5Gで、今シーズンの最高性能です。体感上の処理速度だけでなく、ベンチマークのスコアも素晴らしい限りです。またRAMは12GB、内蔵ストレージは128GBで、microSDカードも使えます。高級モデルとしても、性能面で不満はまったくないでしょう。
バッテリーも5000mAhなので、輝度を上げてゲームをしてもそれなりに持つはずです。ただ、最近はこのくらいのバッテリーは標準的で、ライバルとは横並びです。おサイフケータイに防水、防塵に対応するのは、国内メーカーのモデルらしいところです。

正面向かって左側にボタンが集中している

本体の上下部分が窪んでいるのはAQUOSらしいデザイン

底面部分にイヤホンジャックを搭載している

指紋センサーは画面に内蔵する。反応が素晴らしい
話題の1インチセンサーとは?
AQUOS R6は、1インチのセンサーを搭載していることが話題になっています。さらにライカが監修したカメラを搭載します。
そもそもデジカメやスマホのカメラ機能のイメージセンサーとは、レンズから取り込んだ光を電気信号に変換し、画像として認識します。昔のカメラで言うフィルムと同じような役割をするわけです。このセンサーのサイズが大きいほど、1画素あたりの面積が大きくなるために、多くの情報が取り込めます。つまり、センサーサイズが大きなほど美しい写真が撮れるわけです。
前モデルのAQUOS R5のセンサーは1/2.55インチでした。AQUOS R6は1インチなので、面積は約5倍になっています。ただし、AQUOS R6はアウトカメラが1つしかありません。超広角やズームは光学処理になり、望遠は最大で6倍までです。カメラ機能をてんこ盛りにしているスマホとは違い、数字上には見えない美しい写真を撮るのがコンセプトなのです。

Sharp
センサー面積がAQUOS R5に比べて約5倍になった

レンズの大きさも目を引く
気になるカメラの画質は?
今回は、Galaxy S21 Ultraと画質を比較してみました。それぞれで撮影した写真を並べてみると、Galaxy S21 Ultraのほうがパっと見では美しく感じるかもしれません。しかし、撮影している現場で実際の光景と比較すると、AQUOS R6のほうが圧倒的に自然で美しい色合いです。Galaxy S21 Ultraは、空が真っ青で木は鮮やかな緑に写ります。
どちらが良いかは、好みによるところも大きいでしょう。カメラ好きの人は、AQUOS R6に軍配を上げる人が多くなりそうです。特に花を撮影したときの背景のぼけ具合などは、スマホで撮った写真とは思えない美しさです。
通常撮影(標準・超広角)

標準で撮影。Galaxy S21 Ultraのほうが派手やかな写真になる

超広角で撮影。こちらもGalaxy S21 Ultraのほうが派手
近接撮影・背景ぼかし

ピントが合う近さで撮影。AQUOS R6の背景のぼけ具合は素晴らしい
色合い

色合いがまったく違うのが興味深い。木の葉の暗い部分はAQUOS R6のほうがつぶれていない
夜景撮影

Galaxy S21 Ultraの夜景は非常に明るく美しいが、見た目より明るいという意味では不自然だ。AQUOS R6は見た目に近い画像が素晴らしい。
まとめ
AQUOS R6は、1インチセンサーのカメラが最大の特徴です。超高性能で、ディスプレイも非常に美しく、11万円台から買えるなら価格も妥当です。
ただし、誰しもに向く機種ではなさそうです。カメラをたくさん搭載して、超望遠やマクロ撮影などにも対応した機種がよいと思う人もいるでしょう。AQUOS R6のカメラは2020万画素なので、1億画素のカメラに比べたら見劣りすると考えるユーザーもいそうです。これは機種のコンセプトの違いなので、どちらかが良いわけではなく、あくまでもユーザーの選択になります。もともとカメラ好きだった人には、AQUOS R6をおすすめします。