シャープが発売するAndroidスマホ「AQUOS R2 compact(アクオス アールツー コンパクト)」をレビューします。最近では珍しく、小さなサイズが特徴のモデルです。前モデルでAQUOS Rシリーズを購入したユーザーのうち約3割が「AQUOS R compact」を選んだというので、実は予想以上に人気があります。
新登場のAQUOS R2 compactは、前モデルに比べるとより画面占有率が高くなり、イマドキのデザインへと魅力的なモデルチェンジを遂げています。
「AQUOS R2」レビュー、テキパキ動作と動画撮影に秀でる高性能モデル
5.2インチでも本体はiPhone SEより少し大きいだけ
上の写真で名刺入れと並べているのをご覧いただくと、そのサイズの小ささが実感できるでしょう。小さなスマホとして人気のあった「iPhone SE」、比較的コンパクトな現行モデルの「iPhone XS」とサイズを比べてみましょう。
ディスプレイ | 本体サイズ | |
---|---|---|
iPhone SE | 4インチ | 123.8×58.6×7.6ミリ |
iPhone XS | 5.8インチ | 143.6×70.9×7.7ミリ |
AQUOS R2 compact | 5.2インチ | 131×64×9.3ミリ |
AQUOS R2 compactはiPhone XSよりは相当に小さく、iPhone SEより少し大きなだけです。それでいて、5.2インチのディスプレイを搭載しているため、表示エリアはなかなかの大きさです。まさに、現代流のコンパクトなスマホと言えるでしょう。手元にあった、HUAWEI P20 Proと並べてみると、大人と子どものようです。
新登場のAQUOS R2 compact
左のHUAWEI P20 Proがやけに大きく感じる
片手操作にこだわった設計デザイン
AQUOS R2 compactは、金属のフレームにダイヤモンドカットを施したスマホとしてはおなじみのデザインです。最近はダイヤモンドカットがキラキラしている製品が減っていますが、古めかしく感じることはありません。これはおそらく、本体の小ささが効いているのでしょう。小さくて緻密な製品は高級に思えるものです。
背面は透明感のあるパネルが採用されています。スモーキーグリーン、ディープホワイト、ピュアブラックの3色を展開しています。
背面は透明感のあるデザイン
本体側面のバンドはアルミ製で、よく見ると中央部分が少し盛り上がっています。テーブルの上などに置いても持ち上げやすくしているシャープならではの配慮で、他のAQUOSシリーズにも見受けられます。
本体はかなり厚みがあるのですが、前モデルよりは0.3ミリほどスリムになっています。とはいえ、厚みがあっても持ちづらい印象は皆無です。サイズが小さいので、コロリとした印象でスッキリ手の中に収まります。
また、幅を64ミリにこだわっているのは、片手で持って親指が画面の隅まで届くことを念頭に置いて設計されているためです。手の小さな人向けのモデルというわけではなく、片手で持って使いたいユーザーに向いています。
指紋センサーを画面下部に搭載していますが、こちらも使い勝手を考えた結果です。最近は搭載モデルが減っていますが、ホームボタンがあったほうが使いやすいという配慮からです。
ボディ側面にはおだやかな突起を配することで持ちやすくしている
指紋センサー(ホームボタン)を搭載する
ディスプレイは確かに小さいが美しい
ディスプレイは、シャープ自社製のIGZOを採用します。今となっては、液晶は有機ELに比べると下のクラスに思えますが、画質は十分です。また、手が濡れている時でもスムーズに操作できるほか、画面の追随が速く、レスポンスの良さも特徴です。解像度は2280×1080ドットとそう高くはありませんが、サイズが小さいので十分に緻密です。
普段、6インチ以上のスマホを使う機会が多い筆者が利用すると、確かに画面は小さく感じます。しかし、画質は非常によく、見やすさは十分です。もちろん視力の弱い人は、ブラウザなどの文字サイズを大きくするなど少し工夫が必要でしょう。言うまでもなく、この表示サイズの小ささは本体の大きさとのトレードオフです。残念なのが写真で、大きなスマホで撮影した写真を見慣れていると、やはり少し迫力が欠けるように感じるでしょう。
なお、切り欠きが上下にあるのも珍しいデザインです。インカメラの切り欠きも最小限の大きさになっているので、サイズ以上に画面が広く感じます。
ディスプレイの画質は十分
インカメラの切り欠きはとても小さく設計されている
指紋センサー部分も切り欠きになっている
SIMは1枚のみのセット、microSDにも対応
SIMトレーは、ピンを使わずにツメで開けられるタイプを採用しています。このほうがSIMの入れ替えは楽です。ただし、残念ながらSIMは1枚しかセットできません。また、microSDカードにも対応しています。
AQUOS R2 compactは小さなスマホながら実はハイエンドモデルなので、充電などに利用するコネクターはUSB-Cを採用しています。興味深いのがイヤホン端子がしっかりと搭載されていることです。最近のハイエンドスマホは、主に薄型化のためにイヤホン端子を排除するケースが増えています。しかし、実際にはケーブル接続のイヤホンを持っている人も多く、利用できたほうが重宝します。Bluetoothのワイヤレスイヤホンと違って、電池切れを気にする必要もありません。
おサイフケータイにも対応するので、HUAWEI Mate 20 Proなど未搭載のハイエンドモデルと組み合わせる、2台目のスマホとして使っても便利でしょう。電車の乗り降りや店頭での決済も、コンパクトなAQUOS R2 compactならスマートに使えます。
SIMはnanoSIMを1枚だけ内蔵できる
充電などはUSB-C端子でおこなう
付属品はほとんどないので、充電器やイヤホンも自分で用意することになる
性能は文句なしだがバッテリー容量がやや心配
コンパクトなAQUOS R2 compactですが、性能はモンスター級と銘打たれています。実際には、CPUにSnapdragon 845を搭載し、RAMが4GBとなっています。最近のハイエンドスマホとほぼ同等の性能なので、もちろん快適に使えますが、モンスターと呼ぶほどではありません。
とはいえ、シャープは排熱機構にこだわっており、熱を本体に逃がしています。使っているとやや熱くなるように感じるのはこのためで、実はCPUの温度は低くキープされ、負荷の大きい作業を続けても速度が落ちづらい設計がされているのです。
気になるのは、本体がコンパクトなためにバッテリーの容量が2500mAhにとどまる点。ディスプレイが小さく、省電力のIGZOなのはプラスに働いていますが、それでも大型のスマホに比べると、1000mAhほど少ないのです。ヘビーに使い続けるよりも、ライトな使い方に向いていると考えたほうが良さそうです。
なお、急速充電の規格はUSB Power Delivery(PD)に対応しています。
ベンチマークのスコアは上々
カメラはシングルでかなりワイド
写真撮影はiPhone XS Maxと比較してみました。他のスマホのレビューでも比較の中心になっているので、参考にしてください。
実際に撮ってみて感じたのは、AQUOS R2 compactのカメラがかなりワイドなことです。22ミリ相当の広角カメラをシングルで搭載しています。AQUOS R2が搭載している、2つ目の動画撮影用の超ワイドカメラが省略されている形です。
iPhone XS Maxにはやや劣っていますが、十分なクオリティです。ただし上述のように、そもそも画面サイズが小さいので、写真を表示しても人の表情などはよく読み取れないことがあります。
通常撮影

AQUOS R2 compactのほうが同じ位置からでもかなりワイドに撮れる
近接撮影

花の写真を近くから撮影。色合いはiPhone XS Maxのほうが自然だ。AQUOS R2 compactは葉がやや鮮やかすぎる
暗所撮影

暗い室内でオートHDRをオンにして撮影。iPhone XS Maxのほうが明るく、色合いも好ましい
まとめ
AQUOS R2 compactは、万人向きのスマホではありません。筆者はフリック入力が苦手なので、AQUOS R2 compactのサイズではキーボードが打ちづらくて好ましいとは思いません。多くのスマホが大画面化に向かったのは、そのようなニーズが多いからです。
しかし、コンパクトなスマホのほうが望ましいというユーザーも一定数います。特に通話やSNSをメインで使う人には、大きなスマホは不要だと思うことも少なくないはず。他のメーカーに選択肢があまりないので、魅力は十分です。
ライバルと言えるのはXperia XZ2 Compactですが、画面占有率などでAQUOS R2 compactのほうが魅力的に感じる人が多いでしょう。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部