名刺認識アプリで管理しよう
新年度になり、新たに社会人になった方、仕事の環境が変わった方も多いだろう。そんな方はもちろん、環境が変わらなくても、営業で名刺を大量に交換したという方も、その管理に苦労されているのではないだろうか。
名刺管理アプリのBizcaroidとCamCard(名刺認識王)は、どちらも名刺の写真をOCRで読み取り、名前・所属・連絡先などを自動認識でデータ化してくれるアプリだ。どちらも件数無制限で利用するには有料版が必要なので、どちらを使うか悩んでいる人もいるだろう。そこで今回は、最も重要なOCRの読取精度について、両アプリを比較してみた。
検証方法
BizcaroidとCamCardの両方について、以下の5種類の名刺を認識させてみて、文字及び情報種別の認識率を比較した。
なお、撮影はGalaxy Tabを用いて、照明等の環境もほぼ同条件で行い、3回撮影を行ったうち最も認識率の高かったもので比較する。ただし、明らかに誤認識が多かった場合は撮り直しを行った。
横型名刺での比較
まずは、オーソドックスな横型の名刺。フォントも一般的に良く使われるゴシック体のものと明朝体のものを用意した。漢字の読み取り精度も比較するため、名前は「薔薇麒麟」とした。
フォントがゴシック体の名刺
Bizcaroid
「薔薇」を認識できず「著ミ蔑」となった。それ以外は、ほぼ問題ない認識率。名刺に記載されている情報は、正しく分類された。
CamCard
こちらは、込入った漢字である名前は完全に認識したものの、メールアドレスを「mailbara@」と認識してしまった。それ以外は、ほぼ問題ない認識率。名刺に記載されている情報は、正しく分類された。
評価
ゴシック体はOCRで読み取りやすいフォントと言われており、どちらのアプリも十分な認識率であった。ただし、メールアドレスを「MAIL:~」といったように記載されることは多いので、CamCardのミスはやや痛い。
フォントが明朝体の名刺
Bizcaroid
「薔薇」を認識できず「菩微」となった。
「永田町」を認識ミスし、「永田10「」となってしまった。
「kirin.jp」を認識ミスし、「kiri).jp」となってしまった。
分類は正しくされたが、やや大目の修正が必要となってしまった。
CamCard
こちらは、ゴシック体と同じように、メールアドレスを「mailbara@」と認識してしまった以外は、ほぼ完全に認識。
評価
明朝体はやや厳しい結果になると予想されたものの、CamCardは高い認識率を示した。
縦型名刺での比較
次に、日本ではまだまだ一般的な縦型の名刺。フォントはゴシック体のものと行書体のものを用意した。縦書きなので、数字は漢数字を使用している。
フォントがゴシック体の名刺
Bizcaroid
電話番号の「〇三(一二三四)五六七八」を「0322245678」と認識。
CamCard
こちらは、住所の「丁目」を「酒」と認識。これで酔っ払ってしまったのか、電話番号も「0212245678」と認識。
評価
人間でも間違える漢数字の縦書きを誤認識してしまったのは仕方ないか。
フォントが行書体の名刺
Bizcaroid
会社名のひらがな部分「なんちゃって」を「杏んち´やつて」と認識も、それ以外は正常に認識。
CamCard
こちらも会社名のひらがな部分を「合んち中ーて」と認識。住所の最初に「住所」と入ってしまったが、それ以外は正常に認識。
評価
かなり認識は厳しいと思われた行書体だが、意外にも、どちらのアプリもひらがな部分以外はほぼ正常に認識した。ゴシックでは誤認識した電話番号も正常に認識できた。
図柄入り特殊名刺での比較
最後に、背景に図柄が入っており、構成も一般的とは言いがたい名刺で比較を行った。住所は英語表記とした。
Bizcaroid
認識言語設定を日本語、英語それぞれで試したが、まったく認識せずと言っていいレベル。
CamCard
こちらもまったく認識せずと言っていいレベル。
評価
さすがに、特殊な構成の名刺は認識が難しかったようだ。背景に被っている「Flower」や「YURI」、フォントサイズが小さかった「Nagata-cho」などはEvernoteのOCRでは認識されているので、名刺として認識するには難しい名刺の構成が問題だった可能性が高い。
Appllioメモ
今回の比較では、どちらも、オーソドックスな名刺については高い認識率を示した。
強いて特徴を表すなら、明朝体に強いCamCard、全般的に高いレベルで安定しているBizcaroidと言えるだろう。
なお、認識率の話からは少し外れてしまうが、CamCardは明るく撮れた写真でないと認識してくれず、天気が悪かった日中の開放的な窓際でも認識できないことが度々あった。この点では、Bizcaroidに使い勝手という点で利があるだろうと感じた。