新型iPad(2018)レビュー:高コスパでApple Pencil対応、初タブレットにも最適なモデル

9.7インチのiPadに新モデル(第6世代)が登場しました。ちょっとわかりにくいので、まずは2018年4月時点の現行ラインアップを整理しておきましょう。最上位モデルが「iPad Pro」で、10.5インチと12.9インチがラインアップされています。また売れ筋となるのが「iPad」で、液晶サイズは9.7インチです。

今回は「iPad」がフルモデルチェンジをしたのですが、名前は変わりません。わかりづらいので新しいモデルを「新iPad」と呼びます。また、モデルチェンジ前の一つ前の機種を「iPad(第5世代)」と記載します。さらに、最近は新モデルが登場していませんが、画面が7.9インチとコンパクトな「iPad mini」もあります。

新iPadは、3万7800円から購入できるコスパの高さが魅力です。本記事の写真はWi-Fi+Cellularモデルですが、Appleが販売しているモデルはSIMロックフリーなので、いわゆる格安SIMも使えます。こちらの価格は5万2800円からとなっており、各キャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)からも販売されます。

デザインは前モデルと同様でスマート

さて、新iPadのデザインはiPad(第5世代)と同様です。もちろんサイズも変わらないので、これまでに使ってたカバーなども流用できます。見た目には目新しさはありませんが、質感は悪くありません。

本体はアルミ製で、厚さ7.5ミリとなかなかスマートです。重量はWi-Fiモデルが469グラム、Wi-Fi+Cellularモデルが478グラムです。タブレットは手に持ち続けて使うことが多いため、この軽さは嬉しいところです。500グラムを超えると、力の弱い人は持ち続けていると負担を感じることがあります。

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

左のiPad(第5世代)と比べても外観はまったく同じだ

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

アルミ製のボディは薄く、高級感がある

ディスプレイは液晶で、2048×1536ピクセルと画面サイズを考えると、十分以上に高解像度です。とても明るく美しく感じることでしょう。しかし、「フルラミネーションディスプレイ」ではないのが残念なポイントです。iPad ProやiPad miniはフルラミネーションディスプレイなので、新iPadだけが格下になります。

フルラミネーションディスプレイとはガラスと液晶が密着しているタイプで、「ダイレクトボンディング」とも呼ばれます。最近のほぼすべてのスマホ、多くのタブレットがダイレクトボンディングを採用しています。新iPadは非対応のため、液晶面とガラスの間に隙間があります。その結果、斜めから見た時に光が乱反射して、画面が白っぽく見えるのです。

また、他のシリーズでは採用されている反射防止コーティングもされていません。電灯などが写り込みやすくなっています。

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

液晶は高解像度で美しいが、フルラミネーションディスプレイではない

ゲームや動画編集などにも十分な性能

新iPadのCPUはA10です。上位モデルのiPad ProはA10Xと、さらに高性能になっています。ちなみにiPad mini 4はA8なので、ずいぶんと世代が古いことがわかります。

A10は非常に高性能なCPUで、iPhone 7シリーズにも搭載されています。ヘビーなゲームもサクサク動きますし、動画の編集なども楽々とこなせます。確かに、iPad Proと比較すると見劣りしますが、格安モデルとしては文句なしのパフォーマンスです。A9を搭載するiPad(第5世代)とベンチマークで比較してみても、3割近く差がありました。

iPad(第5世代)から新iPadへと続くシリーズは、価格が手ごろなので教育機関やビジネス向きだと思われがちです。今回のアメリカでの発表も高校でおこなわれたのが話題になりました。しかし、これだけの性能を持っていれば、ゲームや動画編集などにも十分利用できます。

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

iPad(第5世代)とベンチマークで比較した。性能はかなり違う

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

スピーカーは2つ搭載されているが、音質はまずまず

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

Wi-Fi+Cellularモデルはアンテナの位置がカバーになる。イヤフォンジャックも搭載する

精度の高いApple Pencilに対応

iPad(第5世代)は、これまでiPad Proだけが対応していたApple Pencil(アップルペンシル)に対応しています。専用のペンを利用して、文字や図が書けるようになったのです。すでにiPhoneやiPad向けのスタイラスが多数発売されており、100円ショップでさえ手に入ります。

これらのペンは、あくまでも端末に指と認識させて描いていました。ですから、指でタッチした際と同じようにペン先が太い製品が目立っています。ペン先が細いタイプも、電気を流すことで太く見せかけていたのです。

Apple Pencilは専用のペンなので、市販されていたスタイラスとは異なり、細いペン先で精密な筆記が可能になっています。逆に、ラフに使うゲーム用のペンとしては向いていません。Apple Pencilでは、アプリ側でもペンと指の違いを認識します。これまでのスタイラスは、利用中に画面に手が触れると誤動作をすることがありました。しかし、Apple Pencilは手や指と反応を分けているので、誤動作がほとんどありません。画面に手を置いたまま筆記しても違和感がないのです。

Apple Pencilの利用は、Lightning端子に挿すだけでペアリングして利用できるようになります。また、充電もおこなえます。書き味は最高なのですが、価格が1万800円と高いのが欠点です。また、電池の持ちもよくありません。使わなくてもペアリングが継続されていると徐々に減ってしまいます。

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

Apple PencilはLightning端子に差し込むとペアリングできる

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

細いペン先で精密な文字が書ける

手書き機能は幅広く楽しめる

iPadでの手書きはとても便利で楽しめるので、ノート感覚で利用するのがおすすめです。紙のノートと違って、何百ページ書いてもかさばって持ち歩きに困ることはありません。文字はキレイに消せますし、失敗したらやり直しもできます。色々な種類のペン先を利用して思い通りに描けます。筆圧を感知するので線はとてもリアルです。

Apple Pencilはペン先が鉛筆のようになっていますが、斜めに傾けて筆記することで線が太くなります(アプリが対応している場合)。鉛筆を斜めに持ってサッと塗りつぶすような作業もできるのです。また絵心がない人にこそ、iPadのお絵かきがおすすめです。多くの手書きアプリがレイヤーに対応しているので、写真を撮影して輪郭をトレースするなどして絵を描けば、実力以上にうまく描けて楽しくなってくることでしょう。

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

写真を撮影して下書きに使える

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

撮影した写真をお絵かきアプリに取り込む

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

レイヤーで指定すればなぞることができる

9.7インチ 新iPad 第6世代 レビュー

写真を下地にして輪郭を描いた。後はぬり絵感覚で仕上げていけばよい

まとめ

手ごろな価格で、高性能化しApple Pencilに対応した新iPadはとても魅力的です。そろそろタブレットがほしいと考えていたユーザーには朗報と言えるでしょう。Apple Pencilの書き心地を試したい人は、Appleストアなどでテスト可能です。本体価格に比べるとApple Pencilが割高ですが、その価値は十分にあります。

ストレージは32GBと128GBの2モデルが用意されています。価格差は1万1000円ですが、長期的に使うことを考えると128GBモデルをおすすめします。映画などをダウンロードして見たい時にも余裕が持てます。

構成・文:戸田覚

編集:アプリオ編集部