手ごろな価格で長時間駆動が特徴のZenFone Maxシリーズに、新モデル「ZenFone Max Plus(ゼンフォンマックスプラス)」が登場しました。
名前に「Plus」が付いたことからもわかるように、ディスプレイは5.7インチの大画面モデルとなっています。コスパはかなり高く、3万円前後のSIMフリースマートフォンを求めている人は特に注目の製品です。さっそく詳しくレビューしていきます。
トレンドの細長い画面を採用する
ディスプレイは前述のように5.7インチと大画面になっていますが、本体は思ったほど大きくありません。5.5インチ液晶を搭載するiPhone 8 Plusと比較してみましょう。
ディスプレイ | 本体サイズ | |
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ZenFone Max Plus | 5.7インチ | 152.6×73×8.8ミリ |
iPhone 8 Plus | 5.5インチ | 158.4×78.1×7.5ミリ |
ディスプレイが大きいのに、本体が少しコンパクトなのは狭額縁タイプだからです。ただし、iPhone XやGalaxy S8のように額縁が極めて細いタイプではなく、程々の細さといったところです。
液晶の縦横比はこれまで一般的だった16対9ではなく、18対9を採用しています。つまり、従来のモデルより細長くなっているのです。これは最近のトレンドで、どんどん採用モデルが増えています。
ZenFone Max Plusは狭額縁のスリムなモデルだ
左からiPhone X、ZenFone Max Plus、Galaxy S8+。ZenFone Max Plusは“やや狭額縁”といったところ
3モデルを比較した。ZenFone Max Plusが若干厚いがさほど気にならない
本体の質感は上々で満足できる
少し前まで、2〜3万円の格安スマホは本体もそれなりにチープでした。ところがZenFone Max Plusは、質感のよい金属ボディーで背面にはアクセントとして、ダイヤモンドカットが施されています。さすがに“高級感あふれる”とまではいきませんが、安っぽさはみじんも感じません。普通に使うなら大満足の質感です。
最近の上位モデルは、デュアルカメラを搭載するのが普通になっています。ZenFone Max Plusは背面を見るとレンズが2つ並んでいるので、これだけでもインパクトがあります。さらにデザインにクセがなく、飽きずに長期間使い続けられるでしょう。
メタルボディにシンプルなデザインが好印象
素晴らしいのが、カタログ値で160グラムと一般的な重量に収まっていることです。今回はキッチンスケールで計測してみましたが、159グラムでした。iPhone Xが172グラムなので、両者を比べるとかなり軽くなっています。特別に軽いわけではないのですが、バッテリー容量が4130mAhのモデルとして考えると立派です。持ち重りすることがなく、普通に利用できるのです。
重量は159グラムと普通の軽さだ
iPhone Xは172グラムとやや重い
液晶を採用するのは妥協点
最近の上位機は多くのモデルが液晶ではなく、有機ELディスプレイを採用しています。液晶に比べると発色が鮮やかで視野角が広く、また消費電力が少ないメリットがあります。7〜8万円以上の高級モデルを買うなら、選択の条件として外せなくなってきました。
ところが、ZenFone Max Plusは従来どおりの液晶を採用しています。さすがにこの価格だと液晶で妥協するべきです。有機ELモデルと並べて比べなければ、弱点とは感じません。画質は十分で2160×1080ドットと高解像度です。フルHDを縦方向に伸ばした解像度だと考えればよいでしょう。
液晶の縁(フチ)は、2.5Dと呼ばれるカドを丸く仕上げた美しい処理が施されています。フルHDに2.5Dガラスは、数年前のこのクラスでは望めませんでした。
液晶のガラスは縁を丸く仕上げた2.5Dタイプだ
左のiPhone Xは有機ELディスプレイなので明るさ、くっきり感が違う
斜めから見ると、さらに違いが明らかだ
microUSBポートを採用するのが残念
最近のスマホは多くがUSB-C端子を採用しています。上位モデルから移行が進んでおり、数年後にはほぼすべてのスマホがUSB-C端子になるでしょう。今は切り替わり時ですが、末永く使いたいならUSB-C端子を選んだほうが望ましいのです。
ZenFone Max Plusは、残念ながらmicroUSB端子を採用します。買い換えた時にはすでに持っているケーブルなどが利用できて便利ですが、近い将来「古い端子だ」と思うようになるはずです。とはいえ、当面はケーブルの販売が終わるようなことはないので、利便性が劣るだけです。パソコンやタブレットもUSB-C端子が採用されはじめているので、microUSB端子では使い回せないのです。
microUSBポートを採用する
OTGケーブルが付属しているのが、このモデルらしいところです。通常のUSBケーブルを接続するためのアダプターで、ZenFone Max Plusをバッテリーとして利用できます。つまり、他のスマホなどに給電できるわけです。また、USBメモリーやマウスなども基本的には利用可能です。
またSIMスロット2つに加え、microSDカードスロットを備える「トリプルスロット」を採用しています。2つのSIMに加えて、ストレージも増やせるわけです。SIMはナノSIMで、4G、3GのDSDSに対応します。
対応バンド
- FDD-LTE: B1/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B26/B28
- TD-LTE: B38/B41
- キャリアアグリゲーション: 2CA対応
- W-CDMA: B1/B5/B6/B8/B19
- GSM/EDGE: 850/900/1,800/1,900MHz
SIMスロットは3つなので使い勝手が良好
付属のACアダプターでは急速充電も可能
OGTケーブルが付属し、USBで他のスマホなどを接続できる
カメラはやや暗い印象か
カメラは1600万画素と800万画素の広角タイプを搭載しており、切り替えて利用できます。
デュアルカメラを搭載する
今回はiPhone Xと比較してみましたが、若干色合いや明るさで劣っている印象を受けました。ただし、3万円程度のモデルであることを考慮すれば、十分な画質です。高級モデルとあえて比較しなければ、満足して使えることでしょう。とはいえスマホ上で写真を表示すると、随分と差を感じるかもしれません。これは、カメラというより有機ELと液晶の違いです。
広角カメラは120度と、約2倍の広いエリアを撮影できます。大勢のスナップ写真では多くの人を入れることができますし、広大な景色も余すところなく撮影可能です。ただし、他の広角レンズでも同じですが、直線がゆがむなど気になる点もあるので、上手く使い分けるとよいでしょう。画面をタップするだけで簡単に切り替えられます。
左:ZenFone Max Plusで撮影、右:iPhone Xで撮影。iPhone Xのほうが明るく色鮮やかだ
左:ZenFone Max Plusで撮影、右:iPhone Xで撮影。やや暗い室内で撮影するとさらに差が大きく、iPhone Xのほうが美しく感じる
ZenFone Max Plus(上)およびiPhone X(下)で若干暗い公園を撮影。iPhone Xのほうが明るく撮れている
ZenFone Max Plusで撮影。広角レンズなら同じ距離からここまでワイドに撮れる
ゲームプレイ目的にはおすすめしない
CPUはオクタコアですが、ベンチマークのスコアは中の下といったところです。普通に使うにはまったく問題ありませんが、ヘビーなゲームにはおすすめしません。自分の用途をよく考えて選択したいところです。
また生体認証は、指紋センサーと顔認証を搭載します。指紋センサーは一般的な使い心地で満足できましたが、残念ながら顔認証は認識率が高くありませんでした。
実売価格は税込で3万2000円ほどです。この価格帯で4130mAhの大容量バッテリーを搭載し、最大20時間のWi-Fi接続、28日の3G待ち受けなど魅力的なスペックが並んでいます。バッテリーは確かに長持ちしますが、過剰な期待は禁物です。
一般的なスマホのバッテリーが3000〜3500mAh程度なので、2〜3割増しくらいだと考えたほうが無難です。もちろん、普通の使い方なら余裕で1日以上持ちます。アクティブに使う人でも、外付けバッテリーを持ち歩かなくて済みそうです。
指紋センサーは背面に位置している
指紋センサーと顔認証を採用する
ベンチマークスコアはあまり振るわなかったが、普通に使うなら十分だ
まとめ
トレンドになりつつある細長い画面と狭額縁を採用したモデルは、しばらく使い続けても古さを感じないでしょう。また、画面の面積が広い割には持ちやすいので、少しでもコンテンツを大きく表示したい人にも推奨します。
売れ筋のSIMロックフリーのスマホは2万5000円前後が中心の価格帯ですが、追加で5000円出す価値は十分にあります。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部