「ZenFone Max M1」レビュー、格安で電池長持ちのSIMフリースマホはどんなユーザーに向く?

今回は、直販で約2万5000円という手ごろな価格のAndroidスマホ「ZenFone Max M1(ZB555KL)」をレビューします。

この価格帯のSIMフリースマホは人気があってよく売れていますが、ライバルとの競争も激しく、何となく選ぶと失敗しかねません。価格が安いだけにどの製品もいろいろな点を割り切っており、各製品の特徴をしっかりと見極めて選択したいところです。

ZenFone Max M1は、どのようなユーザーに向いているのか紹介していきます。

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サイズはコンパクトで安っぽくない

ASUSのスマホは、モデル名がわかりにくいのが少し困ったところです。「iPhone XS Max」が話題になっており、ZenFone Maxも大画面モデルだと思いがちですが、「Max」という名称に画面サイズは関係ありません。

ASUSのZenFoneシリーズのMaxはバッテリー容量が大きなモデルの総称です。しかも、ZenFone Maxという製品だけで多くの種類があるため、間違えないように気をつけたいところです。

ZenFone Max M1 レビュー

ZenFone Max M1

ZenFone Max M1は、5.5インチ液晶を採用したコンパクトなモデルです。5.5インチと聞くとiPhone 7 Plusなどと同じで、なんとなく大きいというイメージを抱きますが、ワイドタイプの液晶なので横幅はスリム。実物を見るととてもコンパクトで、手にもよくなじみます。

デザインはごく普通で、iPhone 6などととても似ています。液晶は角(カド)にアールを持たせた2.5Dと呼ばれるガラスを採用しています。ただし、よく見るとボディに対してディスプレイがちょっと出っ張っており、一見金属に見えるボディも実は樹脂製です。

とはいえ樹脂にもかかわらず、電波を通すためのスリットを上下に設けているなど、チープに見えないように工夫しています。さすがに高級感はありませんが、この価格としては納得のデザインです。さらなる高級感を望むなら、上位機を選んだほうがよいでしょう。

ZenFone Max M1 レビュー

背面はiPhone 7などに似たデザイン

ZenFone Max M1 レビュー

電波を通すスリットが入っている

ZenFone Max M1 レビュー

写真ではややわかりにくいが、ガラスの縁(フチ)がアールを描く2.5Dガラスを採用

ZenFone Max M1 レビュー

左からZenFone Max M1、ZenFone 5、iPhone XS Max

ディスプレイの質が低いのが欠点

ワイドタイプのディスプレイで最近のスマホらしい外観なのですが、最大の欠点は液晶の解像度が1440×720ドットと低いことです。ライバルモデルは2万円台でも多くがフルHD、もしくはフルHD+の解像度を採用しており、比較すると見劣ります。

とはいえ、ディスプレイサイズが小さいので、画像が粗くてどうしようもないというほどではありません。実際、iPhone 8までは似たような低い解像度でしたが、誰もがあまり違和感を覚えずに使っていたのです。ただ、ユーザーとしては購入する段階でライバルと比較しますから、明確なウィークポイントではあります。

フルHDのZenFone 5と並べて比べてみましたが、文字のキレがずいぶんと違います。また、並べてみるとかなり暗いのも気になるところです。今回はiPhone XS Maxとも比べてみました。15万円近い最上位モデルはさすがに画面が美しい限りです。また、5万円程度のZenFone 5との差も小さくありません。このあたりが低価格モデルの弱点です。

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ZenFone Max M1 レビュー

左からZenFone Max M1、ZenFone 5、iPhone XS Max。iPhone XS Maxは非常に明るいことがわかるが、ZenFone 5と比べてもZenFone Max M1は相当落ちる

ZenFone Max M1 レビュー

左からZenFone Max M1、ZenFone 5、iPhone XS Max。斜めから見るとその差は歴然だ

ZenFone Max M1 レビュー

奥のZenFone 5と比べても、文字のくっきり感がまったく違う

指紋センサー搭載で3カード・DSDS対応

最近は、安価なスマホでもほとんどのモデルが指紋センサーを搭載しています。ZenFone Max M1も背面に指紋センサーが搭載されており、便利に使えます。また、カードトレイは3スロットです。nanoSIMカードが2枚セットでき、DSDSに対応。また、同時にmicroSDカードも利用できます。

対応する周波数帯は以下のようになっており、VoLTEにも対応しています。

  • FFDD-LTE: B1/B3/B5/B7/B8/B18/B19/B26/B28
  • TD-LTE: B38/B41
  • キャリアアグリゲーション: 非対応
  • W-CDMA: B1/B5/B6/B8/B19
  • GSM/EDGE: 850/900/1800/1900MHz

Wi-Fiがb/g/n対応なのがとても残念です。最近は安価な無線LAN親機でもacに対応するのが当たり前になっています。アプリのインストールなどが高速にできるacが使えない点は注意してください。

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ZenFone Max M1 レビュー

指紋センサーは背面に搭載する

ZenFone Max M1 レビュー

カードトレイは2枚のSIMとmicroSDカードに対応

性能は最低限で、使い方を選ぶ

性能は、最新モデルとしては最低限です。プロセッサはSnapdragon 430で、メモリは3GBとなっています。ベンチマークの値はかなり低く、実際に使ってみても動作は少しもっさりとしています。

ただ、実用的ではないほど遅いというわけでもありません。ヘビーなゲームなどには向きませんが、普通にインターネットやSNSを使う程度なら妥協できるでしょう。しかし、1年ほどでかなり苦しくなってくるはずで、長く使っても2年がいいところでしょう。

また、ポートはmicroUSBです。最近はUSB-Cが標準になってきているので、やや仕様が古く感じます。最大の特徴のバッテリーは4000mAhと大容量で、Wi-Fi通信時で23.6時間となっています。かなりヘビーに使っても1日半から2日ほどは充電が不要でしょう。2年ほど使い込んでバッテリーがヘタってきても、実用性が落ちにくいのがいいところです。

ZenFone Max M1 レビュー

ベンチマークのスコアは最低限で、ヘビーな使い方には向かない

ZenFone Max M1 レビュー

充電などはmicroUSB端子だ

カメラは程々、上位機種とは比べられない

今回は、iPhone XS Maxのカメラと比較してみました。さすがに相手が悪いのですが、上位機とはどの位の違いがあるのか目安にしてください。

ZenFone Max M1は格安モデルながら、ダブルカメラを搭載しています。メインのカメラは1300万画素で、2つ目は800万画素のワイドレンズになっています。iPhone XS Maxに比べるとかなり暗く写りますが、スナップ写真ならこの程度でも妥協できる人も多いでしょう。2万円台のスマホはおおむね同様の画質です。

ただし、背景をぼかした撮影ができないのが残念なポイントです。また、写真関係で最も気になるのが、液晶が暗く画質もいま一歩なことです。写真はそれなりに美しく撮れていても、ZenFone Max M1の画面上で見るとがっかりしてしまいます。

通常の撮影

ZenFone Max M1 レビュー
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iPhone XS Max(下)のほうが全体に明るく撮れている

ワイド撮影

ZenFone Max M1 レビュー
ZenFone Max M1 レビュー

ズームのiPhone XS Max(下)に対して、ZenFone Max M1(上)はワイドに撮影できる。ただし解像度が低いので、トリミングしても似たような写真が作れてしまう

近接撮影

ZenFone Max M1 レビューZenFone Max M1 レビュー

曇りの午前中に花を撮影。この写真は相当に差が付いた。ZenFone Max M1(左)は暗すぎる

色合い

ZenFone Max M1 レビューZenFone Max M1 レビュー

左:ZenFone Max M1、右:iPhone XS Maxで撮影。木の葉の写真も、色合いと上部の白飛びで差がある

暗所の撮影

ZenFone Max M1 レビューZenFone Max M1 レビュー

暗い部屋でランプを撮影。ZenFone Max M1(右)も色合いは悪くないが、明るさの違いは大きい

こんなユーザーにおすすめ

手ごろな価格のスマホが欲しいのが大前提になります。その上で、シンプルな使い方しかしないけれど、利用時間が長かったりこまめな充電が苦手だったりする人には、バッテリー駆動時間の長さで向いています。

また、2スロット利用できるので、海外利用のための2台目スマホとして買ってもよいでしょう。海外で現地のSIMを使うためには、SIMフリーでなければなりません。大手キャリアで契約していてSIMロックが解除できない人は、主に海外向けとして入手し、普段も2台目のスマホとしてちょっと使うのに適しています。

またテザリングを多く使う人も、2台目のスマホとして利用する手もありそうです。バッテリーが持つ特長を生かして、モバイルルーター的な用途を中心に時々SNSやブラウザを使う程度なら満足できるはずです。

構成・文:戸田覚

編集:アプリオ編集部