フランス製の手軽な価格のスマホをリリースしているWiko(ウイコウ)から、久しぶりに新モデルが登場しました。今回発売の「Tommy3 Plus(トミースリープラス)」も1万4800円という驚きの価格です。こんなプライスのスマホで満足できるのでしょうか。
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今回はTommy3 Plusがどこまで使えるのか、またどんな用途に向くのかレビューしていきます。本体カラーは、Wikoらしいポップなグリーンや赤、ゴールドも用意しますが、本記事で紹介している製品はブラックになります。
手ごろなサイズで持ちやすく、構成もまとまっている
Tommy3 Plusのディスプレイは5.45インチです。最近は、5.5インチのスマホが多いので一般的なサイズだと思えば良いでしょう。縦横比が18対9というやや細長いディスプレイなので、本体も比較的細長く、持ちやすく感じます。
サイズは147.6×71.3×8.6ミリ。特に幅が71.3ミリとスリムなため、持ちやすいわけです。iPhone XS Maxと比べるとかなり小さく、iPhone XSより若干大きく、厚みがあるという印象です。
パッと見は最近のスマホらしいワイドな画面を採用
iPhone XS Max(左)と比べるとコンパクトなサイズがよくわかる
なお、ディスプレイはワイドですが、さほど狭額縁ではありません。この本体サイズで5.45インチというのは、最新のモデルと比較すると上下の額縁がそれなりにあります。ただし、全体の構成としてはよくまとまっています。額縁は太いのですが、切り欠きはなく、見た目はスッキリとしています。
残念ながら、ガラスはフラットです。最近は当たり前になった2.5Dガラスを採用しないので、外観もちょっと古めかしく感じるでしょう。3〜4年前のミッドレンジのスマホのディスプレイをワイドにしたと考えれば妥当です。
背面パネルが取り外せるスタイルは古いけれど便利
背面パネルは樹脂製、つまりプラスチックです。最近はガラスや金属のモデルが当たり前になっているので、久しぶりに樹脂のモデルに触れました。さすがに高級感はありませんが、価格を考えれば致し方ないでしょう。
背面は樹脂製で一昔前のスマホと同じ造りだ
背面のパネルが取り外せる設計は、久しぶりで懐かしささえ覚えました。SIMやmicroSDカードを装着する際には、プラスチックのパネルを外す必要があります。ツメをスキマにかませて外すのですが、若干固いのはこのタイプのお約束です。
かなり古いスタイルとはいえ、実は便利なポイントもあります。SIMの脱着でピンが不要なので、外出先でも簡単に作業できます。また、バッテリーをユーザーが交換できるのです。バッテリーがへたっても修理に出す必要がないのはありがたいところ。ちなみに、バッテリーは3月以降にダイレクトショップで直販される予定です。
カメラは当然シングルで、ちょっと古いスマホを使っているように感じられそう
バックパネルが取り外せるのはバッテリー交換に便利。バッテリーの容量は2900mAh
付属品が充実で「おもてなし」感あり
この価格のスマホを買う人は、とにかく費用を抑えたいと考えていることでしょう。そんなユーザーの気持ちをよくわかっていると感じるのが付属品です。充電器とケーブルに加え、なんと柔らかなケースと保護フィルムが標準で付属するのです。それぞれを買えば、合計2000円程度にはなるので、とてもお得です。
これだけの付属品が付いていることを考えると、イヤホンもほしくなるところですが、実は付属しないのが正解かもしれません。多くの人がイヤホンの1つや2つは持っているでしょう。チープで音質の悪いイヤホンを標準で付けるなら、その分の価格を下げるのも悪くありません。
付属品は思いのほか盛りだくさん。フィルムやケースまで付く
ケースは柔らかなビニール製ですが、本体も手ごろな価格なので、これで十分です。落下の際の破損を防ぐ効果は十分にあります。
本体にはイヤホン端子が付いています。充電はmicroUSBと、どちらもやや古めの構成です。充電はそろそろUSB-C端子にしてほしいところですが、できるだけコストを抑えるなら、古いケーブルが使えるmicroUSBでも納得できるでしょう。
イヤホン端子を搭載する
充電はmicroUSB端子だ
付属のカバーを取り付けたところ
デュアルSIMデュアルスタンバイに対応
手ごろな価格なのに驚かされるのが、デュアルSIMに対応することです。ただし、どちらもmicroSIMなのは注意が必要です。最近のスマホはほとんどがnanoSIMなので、SIMを入れ替えて使うのには向きません。また、DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)にも対応しています。
さらに、2枚のSIMとは別にmicroSDカードスロットも別に用意するので、SIMを2枚使っても同時にmicroSDカードを利用できます。なお、対応周波数は以下のようになっています。通信関係で気になるのは、Wi-Fiがacに対応していないことくらいです。
- 2G: 850、900、1800、1900
- 3G: B1、2、5、6、8
- 4G: FDD: B1、3、5、7、8、18、19、20、26、28B、TDD: B38、B41
SIMカードはカバーをはずした内側に用意
microSDカードスロットも備える
性能は最低限で、動作はもっさりしている
CPUはMT6739WWで、メモリは2GB、内蔵ストレージは16GBです。ベンチマークを計測してみましたが、スコアはかなり厳しく、2〜3年前の低価格モデルと同様です。
実際に使ってみても、さまざまな部分でもっさり感じます。たとえば、ブラウザでもページの書き換えにワンテンポ待たされます。カメラのアイコンをタップしてから撮影できるまでにも数秒待たなければなりません。このあたりは、理解して手に入れないとストレスが溜まるでしょう。
ベンチマークのスコアはかなり苦しい
気が利いていると感じたのは、使い勝手を向上するための機能をいくつか搭載していることです。「シンプルLauncher」では、画面上のアイコンを最低限に絞り込んで、主に通話に使うように設定できます。連絡先、電卓などが登録されており、このあたりは高齢ユーザーを想定した機能だと感じられます。
また「スマートジェスチャー」では、画面上に文字などを書くことでアプリや設定などを起動できます。こちらは慣れると使いやすいでしょう。動作が速いとは言えないだけに、できる限りステップの少ない起動を使いこなしたいところです。
シンプルLauncherでは、スマホの機能を限定して利用できる
スマートジェスチャーは起動するアプリを設定できる
この画面にジェスチャーを描く
写真にはかなりの妥協が必要
カメラは1300万画素のシングルです。カメラの画質を評価する前に、液晶がかなり暗く、解像度も720×1440ドットにとどまることをチェックしておきたいところです。この画質では、写真を美しく表示するのは難しいのです。比較する相手が悪いと言えばそれまでですが、iPhone XS Maxと並べると驚くほどの差があります。
ディスプレイの明るさはずいぶん違う
この記事で写真をご覧になっても、Tommy 3 Plusの画面で見るのとは違うと理解してください。実際にはもう少し暗くなってしまいます。カメラのレスポンスもよくないので、日常的に写真を撮るのにはおすすめしません。たまに使う程度のユーザーに向いています。
写真比較

iPhone XS Maxの写真のほうが明らかによいが、Tommy 3 Plusで妥協できる人もいるだろう

やや暗い室内での撮影は、Tommy3 Plusの白飛びが激しく、周辺もぼやけている
まとめ:Tommy3 Plusはこんな買い方に向く
当然ですが、とにかく予算を抑えたい人に向いています。ただ、Tommyシリーズはポップな低価格なモデルとして若者を狙っていますが、どちらかというとシニアに向くでしょう。ゲームを楽しみたい若い世代には性能がマッチしません。また、日本の若者は多くがiPhoneを持っているからです。
通話中心に使うシニアが、スマホに費用を掛けたくないなら良い選択肢です。中古を買おうかという話も耳にしますが、1万円台半ばで新品が買えるなら、Tommy3 Plusのほうがおすすめです。新品なので1年の保証も付きますし、他人が使ったという気持ち悪さもありません。
また、SIMロックされているキャリアのスマホを使っている人が、海外での利用のために手に入れるのもアリでしょう。SIMが2枚挿せるので、数カ国を回るときにも重宝しそうです。このように少し変わった用途に見合うならおすすめです。ただし、普通に使うメインのスマホとしては、少々性能が厳しいでしょう。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部