フェイクニュースがネット上に跋扈し、マスメディアの信頼度が低下していく時代に、報道とはどうあるべきかを問うドラマがディズニープラスに登場しました。
韓国ドラマ『トリガー ニュースの裏側』は、とあるテレビ局のニュースチームの奮闘を描く骨太の作品です。真実を追求し、悪の不正を暴くためなら少々過激な手段も辞さない型破りな女性記者を中心に、ジャーナリストの気骨ある戦いを描いた迫力のエンターテインメントです。
パラグライダーで不時着して潜入取材!?
ある日、青年の変死体が発見。その遺体は違法薬物を投与されていると思しき状態で発見され、ある組織の関与が疑われていますが、決定的な証拠がつかめずにいました。
そんな中、人気ニュース番組「トリガー」のチーム長・オ・ソリョンはその組織に押しかけるも脅迫されて撤退を余儀なくされます。しかし、これを放置すれば次々と犠牲者が増えることを危惧するソリョンは、強引な方法で施設内部に潜入することを思いつきます。
それは、パラグライダーで偶然の不時着を装い侵入するというもの。まるで『愛の不時着』のような大胆な発想ですが、ソリョンはトリガーに配属されたばかりの新人・ハン・ドを無理やり引き連れて、パラグライダーに乗せて施設内へと侵入。その後、事態は思わぬ方向に進むことになります。
トリガーチームはソリョンにいつも振り回されつつも、報道することの大義を信じて頑張っています。新人のハン・ドは人間不信に陥っており、動物番組への配属を希望していたにもかかわらず、人間の悪い部分を見なければいけない報道部に配属されてやる気がありません。しかし、ソリョンはそんなハン・ドも見捨てず、気にかける度量を持っています。同時に、熱意溢れる若手ディレクターのカン・ギホも励ましつつ、様々な事件の真相を探っていきます。
序盤で様々な謎が提示され、これらを考察要素として物語は進行していきます。一見関係ないそれぞれの事件がどのようにつながるのかが大きな見どころとなっています。
報道の大義を貫く力強い主人公
本作の面白さは、何と言っても型破りな熱血主人公・ソリョンのキャラクターにあります。狙った事件は必ず最後まで追いかけ食らいつく、報道の大義を信じ、信念を貫くカッコいい主人公を熱演するのは、80年代から第一線で活躍し続ける大女優のキム・ヘス。彼女の持つカリスマ性がソリョンのキャラクター性に説得力を与えていて、はまり役と言えます。
ソリョンはその信念の強さだけでなく、周囲を導くリーダーシップも豊かな感性も持っています。凶悪な事件ばかり追いかけているのに、それでも「この世界は美しい」と言える人なのです。彼女は真実を白日の下にさらせば、悪人たちを黙らせることができると信じているから、報道を続けています。その姿勢は、今まさにメディアの信頼が問題になっている現代社会に対して、強いメッセージとなるでしょう。
混迷の時代に、ストレートに報道の信念と大義を掲げる力強いドラマの誕生です。破天荒な主人公の魅力とともに、報道のあり方を考える上で最良の一本と言えるでしょう。
『トリガー ニュースの裏側』を見る(ディズニープラスで配信中)
凶悪犯罪事件の真実を追求する調査報道チーム、「トリガー」。チームリーダーのオ・ソリョンは20年間埋もれていたある失踪事件を追跡中、社内スキャンダルに巻き込まれる。匿名の告発者Dr.トリガーによりチーム内に亀裂が生じ始め、自己中心的な新入りハン・ドが異動してくる。個性的なチームメンバー同士が事あるごとに衝突したり、次々と起こる凶悪犯罪を取材したりと、昼夜休む間もないトリガーのオフィス。彼らは、世間の荒波にもまれても真実を求め、カメラのレンズを通して犯罪者たちを暴いていく。
© 2025 Disney and its related entities