『ツイステ』アニメレビュー、ディズニーヴィランズが「偉人」の異世界へようこそ

大人気のスマートフォンゲーム『ディズニー ツイステッドワンダーランド』のアニメシリーズがディズニープラスで配信中です。

2020年から始まったこのゲームは、女性を中心に瞬く間に人気を獲得。翌年にはアニメ化企画がディズニーから華々しく発表されていました。それから4年、ディズニープラスで待ちに待った配信となりました。

ディズニー・ヴィランズの魂が宿った異世界「ツイステッドワンダーランド」に迷い込んだ主人公が、ただ一人魔法が使えないという状況の中で切磋琢磨していく物語が展開する本作。本家ディズニー・アニメーションの映像が一部使用されており、美麗なキャラクター・デザインを忠実にアニメ化した作画など見どころが満載です。

何より、原作ゲームをプレイしたことのない人に向けてもわかりやすく作られており、ディズニーと日本アニメの想像力が融合した独特の作品世界が堪能できる内容となっています。

現代日本に暮らす男子高校生・円満雄剣（えんま ゆうけん）は、剣道部の主将として明日の大会に向けて気合が入っています。部員が足りずに公式戦に出られなかったこれまでの悔しさをぶつけるつもりで練習に励んできたのですが、帰り道の途中、突然現れた馬車にひかれて気を失ってしまいます。

雄剣が気がつくと、彼はいつのまにか見たことも聞いたことのないような場所、魔法が存在する異世界「ツイステッドワンダーランド」に来てしまっていることを知らされます。さらに名門魔法士養成学校「ナイトレイブンカレッジ」に認められ、入学するという話になっているのです。

何のことだかわからず混乱する雄剣ですが、やがて本当に自分の知る世界ではないことを目の当たりにして、現実の世界に帰るためにとりあえず雑用として「ナイトイレブンカレッジ」に住まうことになるのです。

物語はそんな雄剣と、魔法が使えるモンスター・グリム、そしてこの学校に通う魔法士の卵たちを中心に、学園に起こる事件を解決してゆく展開が中心となります。

この学校には7つの寮があり、それぞれがディズニー作品に登場するヴィランズの世界観を体現しています。例えば、ハーツラビュル寮では、『不思議の国のアリス』に登場するハートの女王の影響を強く受けており、寮長のリドル・ローズハートはハートの女王が作った厳格なルールを絶対遵守しています。そのほかの6つの寮でも同様です。ユニークなのは、これらのヴィランズたちがこの世界では歴史上の偉大で高潔な人物かのように語り継がれているところ。どうもこの世界では、我々が知るディズニーの歴史とは異なるようです。

魔法のある異世界でただ1人、魔法の使えない主人公が寮生たちとどんな関係を紡いでいくのか、そしてどんな事件が彼を待ち受けているのか。気になる展開が続いていきそうです。

本作のキャラクター原案はマンガ『黒執事』の枢やなが担当しています。美麗なキャラクターを描くのに定評ある同氏のキャラクターをアニメでもきちんと継承しており、崩れのない安定した作画でファンにも好評です。

今シリーズでは、メインストーリーの一章に相当する部分、ハーツラビュル寮のキャラクターが中心となりそうで、リドルをはじめデュースやエースなど同寮の魅力的なキャラクターたちの活躍が多くみられそうです。原作のファンにとってはお馴染みのストーリーをアニメで堪能できるとあって満足度も高くなるでしょう。

一方で本作は、原作ゲームを知らない人でも楽しめるよう設計されています。そして、ディズニー好きにとっても気になる要素が多い作品です。基本的には日本アニメのテイストで制作されていますが、一部にネタ元になっているディズニーアニメーションのフッテージも挿入されています。日本のアニメ作品の中にディズニーの映像が出てくるのは異例のことではないかと思います。

その他、キャラクターの造形にもそれぞれのヴィランズの要素が一部引き継がれている部分もあり、ディズニーの遺伝子を感じさせます。ディズニー作品が好きな方も、いつもとは異なる角度で楽しめるファンタジー・アドベンチャーです。