外出先でWeb会議に出なければならないときや、ちょっとした空き時間に落ち着いてテレワークをしたいときは、駅や商業施設などに設置されている個室オフィスボックスが便利です。昨今は設置箇所が増え、街なかで個室オフィスボックスを目にする機会も多くなりましたが、どんなサービスがあり、どう使えばよいのかわからず、利用をためらっている人も少なくないでしょう。
本記事では、「Station Work」「CocoDesk」「テレキューブ」の3つの個室オフィスボックスサービスを比較しながら、実際の使い方を紹介します。
個室オフィスボックスとは?
個室オフィスボックスは、電話ボックスのような形をした作業用のブースです。室内にはデスクと椅子が備え付けられていて、パソコンや書類を広げて作業ができます。
駅構内や商業施設、オフィスビルなどに設置されており、外出中のちょっとした空き時間に気軽に利用できるのが便利な点。また、電源やWi-Fiも完備しています。扉を閉じれば声は漏れないため、通話やWeb会議でも打ち合わせの内容や機密情報などを聞かれる心配もありません。
今回紹介する「Station Work」「CocoDesk」「テレキューブ」は、最短15分単位で利用できて料金も数百円からとリーズナブル。いざというときのために使い方を覚えておくと役立つでしょう。
「Station Work」「CocoDesk」「テレキューブ」のサービスを比較
最初に、個室オフィスボックスのサービスを提供している「Station Work」「CocoDesk」「テレキューブ」の3社のサービス内容や主な設置エリア、料金などを紹介します。基本料金や利用形態などは下表の通りです。各社とも最低利用時間は15分で統一されています。
Station Work | CocoDesk | テレキューブ | |
---|---|---|---|
利用料金 |
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275円/15分 | 220〜330円/15分 |
運営会社 | JR東日本ビルディング | 富士フイルムビジネスイノベーション | テレキューブサービス |
設置数 | 535拠点 | 82拠点(東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪) | 191拠点 |
決済方法 |
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クレジットカード | クレジットカード |
会員登録 | 非会員も利用可能 | 必要 | 必要 |
主な設備 |
机・椅子・電源・空調(一部スポットを除く)・USBポート(Type-A、Type-C)・無料Wi-Fi・モニター |
机・椅子・電源・空調(一部スポットを除く)・USBポート(Type-A)・無料Wi-Fi・モニター | 机・椅子・電源・空調(一部スポットを除く)・USBポート(Type-A)・無料Wi-Fi・スマホスタンド |
それぞれのサービスの特徴を簡単に紹介します。
JRの駅を中心に展開する「Station Work」

Station WorkはJR東日本が運営するサービスで、JRの駅を中心に全国535拠点に設置されています。今回紹介するサービスの中では設置数が最も多いため、駅の構内でボックスを見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
ブースも1人用をはじめ、場所によっては2人用や4人用も用意されており、グループでの作業や打ち合わせなど、幅広い用途に対応可能。また、JRのサービスらしく、交通系ICカードを利用すれば会員登録不要で利用できるのも便利なポイントです。
私鉄や地下鉄の駅をカバー「CocoDesk」

CocoDeskは、拠点数では劣るものの、Station Workがカバーしていない私鉄や地下鉄の駅を中心に設置されています。個室オフィスボックスはアクセスも重要なので、設置場所をチェックして通勤や外出先で利用しやすいスポットを見つけておきましょう。また実際の利用方法として後ほど紹介しますが、入室時の解錠はStation Workよりもスムーズでした。
商業施設やオフィスビルに設置「テレキューブ」

テレキューブは、商業施設やオフィスビルを中心に設置されています。また、3社の中では唯一、設置場所によって変動する料金体系(15分/220円〜330円)を採用しています。設備面では、テレキューブだけ室内に外部モニターがありません。ただし、スマホスタンドは用意されているので、スマホを作業やWeb会議に使いたい人は重宝するでしょう。
個室オフィスボックスの利用方法
ここからは、各社が設置している個室オフィスボックスの会員登録方法や利用方法を順に紹介します。
個室オフィスボックスを利用する際は、最初に各社の公式サイトから設置場所をチェックしておきましょう。通勤範囲や外回り等で立ち寄りそうな場所に設置されているサービスのほうが利用しやすいはずです。
Station Work
Station Workの使い方を会員登録から利用終了まで解説します。また、非会員の場合の利用方法もあわせて紹介します。
会員登録方法


まずはStation WorkのWebサイトにアクセスします。トップページの[新規会員登録/ログイン]タップして、画面が変わったら[新規会員登録]を選択します。


メールアドレスを入力して[送信する]をタップすると、会員登録の案内メールが送信されます。


届いたメールに記載されている[こちら]をタップし、画面が切り替わったらメールアドレスやパスワード、氏名などの会員情報を入力します。


続いてクレジットカード情報を入力します。最後に利用規約を確認し、「ご利用規約に同意する」にチェックを入れた上で[ご利用規約に同意して登録する]をタップすれば、会員登録は完了です。
実際の使い方
会員登録済みの場合の使い方を解説します(非会員の使い方は後述)。
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予約するオフィスボックスを選択する
会員登録をしたら、個室オフィスボックスを予約しましょう。トップページの「予約/拠点検索」で周辺のボックスを検索します。
今回はちょうど滞在していた「蒲田駅」で調べました。蒲田駅周辺で表示された候補の中から利用するボックスをタップします。今回は「蒲田駅中央改札内」のボックスを選択しました。
[予約する]をタップすると画面が切り替わって利用時間を選択できます。
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利用時間を決定して予約を確定する
今回は13時15分〜13時30分の15分間を選択しました。もちろん、15分以上の利用も可能です。
また、開始時間は5分単位で選択可能なので、たとえば13時10分から15分間利用することもできます。
利用場所や利用時間を確認し、問題なければ[予約を確定する]をタップして予約を確定してください。
予約が確定したら[予約詳細画面へ]をタップすると、予約の詳細やオフィスボックスの解錠に必要なQRコードが表示されます。内容を確認して予約した個室オフィスボックスへ向かいましょう。
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オフィスボックスに向かう
予約した個室オフィスボックスに到着しました。到着したのは予約時間5分前の13時10分ごろでしたが、解錠して少し早めに利用することができました。もちろん、前に予約している人が使っている場合は開始時間ちょうどになるまで利用できないはずですが、誰もいなければ少し融通が利くようです。
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オフィスボックスを解錠する
扉の横に設置されているタッチパネルを操作して解錠してください。[会員]→[QRコード]の順にタップします。
会員登録をしたユーザーも交通系ICカードによる解錠は可能ですが、事前に「Suica/PASMO ID番号」の紐づけを済ませておく必要があります。
タッチパネルの下に設置されているQRコードリーダーに、予約完了時に送付されたQRコードをかざすと扉のロックが解除されます。
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オフィスボックスに入室する
扉を開けてオフィスボックスに入ることができました。部屋の中にはデスクや椅子などが設置されています。小型のスーツケース程度であれば、足元に置けそうなので出張時の利用にもよさそうです。
デスクは十分な広さで、ノートパソコンを置いて快適に作業できました。また、HDMIケーブルを使って外部モニターと接続することも可能です。
コンセントが3口の他に、USB Type-AポートとType-Cポートが一口ずつあります。
エアコンや空気清浄機も設置されています。
壁には上着などをかけられるフックが設置されています。
Wi-Fiのアドレスやパスワードは、予約詳細画面に表示されています。
Wi-Fiのスピードも測ってみました。結果を見ると特別速くはありませんが、場所や時間帯によっても変わるので、あくまで今回利用したときの参考値としてください。このくらいの速度でもWeb会議やブラウザの閲覧等は問題ありません。ただ、動画など大きなファイルのやりとりをすると、オフィスや自宅よりは時間がかかるかもしれません。
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オフィスボックスの利用を終了する
利用を終了して退出するときは、壁に設置されているボタンを押せば、扉のロックが解除されます。終了時間5分前になると自動音声でアナウンスしてくれるので、時間をオーバーする心配はなさそうです。
非会員の利用方法

非会員で利用したいときは、交通系ICカードを持ってStation Workのオフィスボックスに行きましょう。タッチパネルに表示されている[一般(非会員)]をタッチします。

続いて利用時間を選択します。非会員の利用時間は最長1時間です。

利用時間を決めてカードリーダーに交通系ICカードをかざせば、扉のロックが解除されて利用できます。
CocoDesk
CocoDeskの使い方を会員登録から利用終了まで解説します。
会員登録方法


CocoDeskのWebサイトにアクセスして、画面の右側に表示されている[会員登録・ログイン]をタップします。


[新規会員登録する]をタップして、氏名とメールアドレスを入力します。続いて[利用規約に同意して登録]を選択すると、登録したアドレスにメールが送信されます。



受信したメールに記載されているパスワード登録用URLをタップして、パスワードや氏名などの情報を入力します。必要項目の入力が完了したら、[利用規約に同意して登録]で会員登録は完了です。
実際の使い方
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CocoDeskにログインする
まずはCocoDeskのWebサイトからログインします。[会員登録・ログイン]を選択し、登録したメールアドレスとパスワードを入力して[ログイン]をタップします。
CocoDeskは、利用にクレジットカードの登録が必須となっています。初回ログイン時にクレジットカード情報の登録を求められるので、カード番号などを入力して[登録する]をタップしてください。
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ボックスを検索・予約する
[ブースを探す]をタップして画面が切り替わったら、利用日と場所を選択します。今回は「川崎駅」で検索しました。候補が表示されたので、「ラゾーナ川崎プラザ」にチェックを入れて[この条件で探す]をタップします。
利用可能な時間が表示されました。ここにはボックスが2台設置されているようです。空いている1台を14時00分〜14時15分で予約しました。なおCocoDeskは、Station Workと異なり、利用開始時間は毎時00分、15分、30分、45分からしか選択できません。
予約が完了すると詳細情報が表示されるので、利用開始時間までに現地に行きましょう。
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予約したボックスに向かう
現地に着くと、予約画面で見た通り2台のボックスが設置されていました。使用中の一台は電気がついていました。
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ボックスを解錠する
トップ画面に表示されている予約詳細画面の[ナビ・入退室・無線LAN]をタップすると、解錠と施錠のボタンが表示されているので[解錠する]のボタンを押してロックを解除しましょう。このボックスも5分前には解錠して入室できるようになっていました。
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ボックスに入室する
室内にはデスクや椅子が設置されていました。スペースにもゆとりがあり、スーツケースも置けそうです。
椅子は3社の中で唯一、高さ調節ができるタイプでした。
外部モニターも設置されていて、広い画面で快適に作業ができます。また、ケーブルはHDMIの他にVGAも用意されていました。
コンセントが2口とUSB Type-Aポートが一口ありました。Station Workとは異なりUSB Type-Cポートはありません。
その他に、卓上ファンや壁掛けフックも設置されていました。
Wi-Fiのスピードテストを実施してみました。今回はWi-Fiのスピードがやや遅く、ブラウザの表示にもやや時間がかかりました。ただし、特定の場所や時間での参考値としてください。
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ボックスの利用を終了する
退出時にはドアの横にあるボタンを押せば、ロックが解除されて扉が開きます。終了前には自動音声によるアナウンスが流れました。
テレキューブ
テレキューブの使い方を会員登録から利用終了まで解説します。
会員登録方法


テレキューブのWebサイトにアクセスして、画面に表示されている[まずは無料会員登録!]をタップします。利用規約が表示されるので、確認をして[同意する]をタップしてください。



メールアドレスやクレジットカード情報、住所などを入力して[登録]をタップすれば会員登録は完了です。
実際の使い方
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テレキューブにログインする
テレキューブのWebサイトでトップページの右上に表示されている[ログイン]からログインをすると、予約画面が表示されます。
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ボックスを検索・予約する
今回は横浜駅で利用することにしました。[みなとみらい/横浜駅エリア]をタップすると周辺のボックスが一覧表示されます。
「横浜駅 南北連絡通路」のボックスに表示されている[予約・利用]をタップします。
[予約画面へ]をタップして、利用時間を選択します。テレキューブもStation Workと同様に、利用開始時間を5分単位で指定可能です。利用時間を決めたら[予約する]をタップします。
最後に[OK]をタップすると予約完了となります。予約内容の確認画面が表示されるので、ボックスへ向かいます。
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予約したボックスに向かう
ボックスに到着しました。3台あるうちの1台は利用中のようです。
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ボックスを解錠する
利用開始時間の1分前には予約確認画面に[入室]ボタンが表示されていました。[入室]→[OK]とタップするとロックが解除されます。
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ボックスに入室する
室内にはソファとデスクが設置されていました。入室して扉を閉めるとスーツケースを置くスペースはなさそうなので、出張や旅行中に利用したい人は注意しましょう。個人的には、椅子の座り心地が3つのサービスの中で一番良いように感じました。
扇風機やエアコン、電源などは一通り設置されていました。
USBポートはType-Aのみが設置されています。
壁にはコートなどをかけるためのフックも設置されています。
テレキューブには、外部モニターはありませんが、スマホ用のスタンドが設置されていました。パソコンなどとセットで使いたい人には便利です。
Wi-Fiのスピードも参考までに紹介します。今回計測した限りですが、3社の中では一番高速でした。もちろんブラウザやWeb会議も問題なく利用できます。
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ボックスの利用を終了する
退出時はドアロックを回せば扉が開いて外に出られます。テレキューブも利用終了時間前に音声アナウンスがありました。
まとめ
3社のサービスを実際に利用してみると、どの個室オフィスボックスも快適で設備が充実していました。テレキューブは外部モニターがありませんでしたが、基本的には空き時間や緊急時の一時的な利用がメインとなりそうなので、机や電源、Wi-Fiが使えれば十分。各社で明確なボックスの使い勝手の差は感じないはずです。
そのため、会員登録をするサービスは、普段の通勤や行動範囲にあるかどうかで選ぶのをおすすめします。一度登録を済ませておけば、好きなタイミングでスムーズに利用できるので、各サービスの設置場所をチェックしてみてください。個室オフィスボックスがどんなものか気になる人は、非会員でも利用できるStation Workで試してみるのもよいでしょう。