騒音を劇的に減らす、ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング【ヨドバシカメラ吉祥寺店編】

周囲の騒音をカットして、いつでもどこでも音楽に没頭できる「ノイズキャンセリングイヤホン」。これまで有線タイプが一般的でしたが、Bluetooth接続のワイヤレスイヤホンにもノイズキャンセリング機能を搭載したモデルが増えてきました。

本記事では、ヨドバシカメラ マルチメディア吉祥寺およびソニーの担当者にノイズキャンセリングイヤホンの仕組みや特徴、選び方、そして売れ筋のおすすめ製品についてうかがいました。

ノイズキャンセリングイヤホンの選び方

ノイズキャンセリングの仕組み

イヤホンの選び方や売れ筋ランキングを紹介する前に、そもそもノイズキャンセリングはどのような仕組みになっているのか確認しておきましょう。

音は物体の振動で生じた波(音波)が空気中を伝わって耳が感じ取ったものです。電気信号では波のような形で表されイメージしやすくなりますが、音波には、特定の波動の音波に形がそのまま正反対(逆位相)の音波をぶつけると、お互いを打ち消しあって音が消滅するという性質があります。その原理を利用したのがノイズキャンセリング機能で、イヤホンに内蔵されたマイクから騒音を集音し、その音波に対して逆位相の音波を重ね合わせることで、騒音を消しているのです。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

ソニーの担当者によると、ノイズキャンセリング機能はイヤホンの構造上、主に飛行機や電車、室内空調機など低い周波数帯域のノイズに対しては効果がありましたが、会話など中域の周波数帯域はノイズを減らしにくかったそうです。

しかし、信号処理などの技術の進展によってノイズキャンセリングの対応帯域が広がっているので、以前より中音域もノイズキャンセルが効くようになっているとのこと。メーカーや機種によってノイズキャンセリングの性能に違いがあるので、試聴をして好みのイヤホンを探しましょう。

ノイズキャンセリングイヤホンの種類と特徴

ノイズキャンセリングイヤホンには、スマートフォンやウォークマンなどにケーブルで接続する「有線タイプ」と、Bluetooth接続によりハンズフリーで音楽を楽しめる「無線タイプ」の2種類があります。

有線タイプ

ノイズキャンセリング機能を付けるには、騒音やノイズを解析して打ち消すための専用回路と、そのシステムを稼働させるためのバッテリーが必要になります。そのため、有線タイプのイヤホンにはスティック状の部品が付いてくるのです。

ヨドバシカメラ マルチメディア吉祥寺店のマイホーム商品・AVチームの山崎公輔さんは、「最近ワイヤレスイヤホンの技術が向上し、音質もさほど変わらないといわれていますが、それでも音質は有線タイプのほうが勝っているケースが多い」と話します。純粋にきれいな音を楽しみたい人は有線タイプがよいでしょう。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

有線タイプの製品であるAKGの「N20NC」

無線(Bluetooth)タイプ

有線タイプはスティック状の回路とバッテリーが付いていましたが、Bluetooth接続タイプのモデルではイヤホンやネックバンドに組み込まれています。モデルは主に3種類で、1本のケーブルを首の裏側に回して使う左右一体型、首に固定するネックバンド型、ケーブルもネックバンドもないフルワイヤレスの完全独立型があります。

Bluetooth接続のイヤホンにはバッテリーが必要なため、視聴時間が短くなる傾向があります。また、よい音で聴くためにはデータの圧縮方式であるコーデックにも気を付けなければなりません。基本的にすべてのBluetoothイヤホンにはSBCと呼ばれるコーデックが搭載されていますが、その機器によって対応のコーデックが異なります。

主な種類は、Androidの「aptX」と「aptX HD」、iPhoneの「AAC」、SONY専用の「LDAC」などです。「メーカーで公表しているものがほとんどですが、表示していないところもあります。その場合は、今何で繋がっているかを自分で調べなければなりません」(ヨドバシカメラ・山崎さん)。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

フルワイヤレス型のBluetooth接続タイプであるソニーの「WF-1000X」

ノイズキャンセリングのメリット・デメリット

飛行機や新幹線、バス、電車などに乗る際の騒音を消して、音楽に集中できるのが一番のメリット。音楽を流さなくとも、ノイズキャンセリング機能をつけるだけで騒音を低減できるため、自分の作業に没頭することもできます。

ただし、本来は音をよくするためのオーディオ機器において、あえて音を消すノイズキャンセリングは純粋にいえば“余計な処理”です。そのため、ノイズキャンセリングを使うことで音を打ち消すためのノイズが生まれます。たとえば、「サー」というようなホワイトノイズなどです。音質がよく、ノイズキャンセリング機能が優れたものとなると技術的に難しくなるため、値段も上がり、メーカーも限られてくるそうです。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

また、ノイズが聞こえなくなるため集中する時にはよいですが、電車の乗り過ごしや視界外からの自転車などによる衝突、声をかけられたことに気が付かないなど、本来音が聞こえたことで回避できた出来事が発生する可能性もあります。

現在、最新のヘッドホンには、騒音を集音しノイズを消すノイズキャンセリングとは逆の、周囲の音を取り込むという機能が入っている機種が増えています。上手く切り替えて使用すると、デメリットを少し克服できるかもしれません。

製品を選ぶ際のポイント

ヨドバシカメラの山崎さんは、ノイズキャンセリングの特徴を考えると「予算に余裕を持ち、品質のよいものを買ったほうがよい」と話します。

「Bluetoothで音楽データをデジタル形式で飛ばした後にアナログに再変換しているため、データを受信できても変換する機能が低いと音質が悪くなります。また安価なモデルでは、コーデックはiPhone、Androidどちらも対応しているものの、イヤホンのドライバーが粗末な作りであるために音が悪かったり、駆動時間が短かったりするケースが多いのも現状です。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

受信アンテナの性能が悪いために、そもそもBluetooth接続が切れてしまうものさえあります。コストを抑えた分、どこかの機能の質が削られてしまうので、なるべく予算に余裕を持って検討してほしいところです。価格でいえば最低7000円、より音にこだわりたいなら2万円以上の商品を購入するとよいでしょう」(ヨドバシカメラ・山崎さん)。

また、メーカーによってノイズの消え方にクセがある上、人によって感じ方がかなり異なるため、実際に視聴してみることをおすすめします。ノイズキャンセリング機能はBluetoothイヤホンに搭載されていることが多いので、バッテリー持ちがよいものを選ぶのもポイントの1つです。さらに、イヤホンについているイヤーピースのサイズが合わないとノイズが入ってきてしまうため、自分の耳にあったものを選びましょう。

ノイズキャンセリングイヤホンの売れ筋ランキング

それでは、ノイズキャンセリングイヤホンの売れ筋ランキングを紹介します。

【1位】ソニー「WF-1000X」

ここ2年ほど、人気が急上昇してきているフルワイヤレスイヤホン。ノイズキャンセリングのほかに、音楽を聴きながら周囲の音を取り込める機能(アンビエントサウンドモード)を搭載しています。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

もちろん手動で変更もできますが、ソニー専用アプリの「Headphones Connect」をインストールしてイヤホンと連動すると、停止している時や乗り物に乗っている時などの行動パターンを検出して、ノイズキャンセリングや外音取り込み機能が最適になるよう自動的に切り替えてくれるのです。弱点は、バッテリーの持ちが最大3時間にとどまること。ただ、3時間連続で聴く人は多くない上、このサイズ(小ささ)に抑えたのなら3時間でもよいという人が多いそうです。

「フルワイヤレス型のイヤホンには、今まで無名だった様々なメーカーが参入してきていますが、音の作りはやはり老舗のほうが格上。ケーブルやネックバンドもない身軽さを求める人が目立ち、30分に1つ売れていたこともありました。ケーブルのすれる音がなくなるだけでもストレス解消になるので、とても魅力的な商品です」(ヨドバシカメラ・山崎さん)。

  • メーカー:ソニー
  • 対応プロファイル:A2DP(Advanced Audio Ditribution Profile)、AVRCP(Audio Video Remote Control Profile)、HFP(Hands-free Profile)、HSP(Headset Profile)
  • 対応コーデック:SBC、AAC
  • 連続再生最大時間:約3時間
  • 連続通話最大時間:約3.5時間
  • 連続待受最大時間:約8時間
  • ヨドバシドットコム特別価格:2万5690円(税込)

【2位】ソニー「WI-1000X」

2万円で購入できる普通のイヤホンと同等の性能を持っています。また、アップサンプリング機能のおかげで、きれいな音を楽しめるのも特徴です。

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

「Bluetooth接続で音楽を聴こうとすると、スマホなどから音楽データを圧縮して送信し、それをイヤホンが受信してデータを引き延ばして再生するため、音質が悪くなります。アップサンプリングは、もともと質のレベルが10あったデータを7で受信したとしても、イヤホンが9.5くらいに調整して再生する機能なので、圧縮する前の音楽を聴いているような感覚になります。Bluetoothイヤホンでアップサンプリングが搭載されているのはこのモデルくらいです」(ヨドバシカメラ山崎さん)。

また、専用アプリの「Headphones Connect」を使えば、ノイズキャンセリング状態から人の声だけを聞きやすくした状態、周囲の音を取り込んだ状態まで、外音の取り込みレベルを自分の好みに合わせて22段階コントロールすることもできます。

  • メーカー:ソニー
  • 対応プロファイル:A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)、AVRCP(Audio Video Remote Control Profile)、HFP(Hands-free Profile)、HSP(Headset Profile)
  • 対応コーデック:SBC、AAC、 LDAC、aptX、aptX HD
  • 連続再生最大時間:約10時間
  • 連続通話最大時間:約10時間
  • 連続待受最大時間:約17時間
  • ヨドバシドットコム特別価格:3万5450円(税込)

【3位】BOSE「QuietControl 30 wireless headphones」

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

「音質はソニーよりも若干劣りますが、[+][-]ボタンを手動で押し、ノイズキャンセリングの強度を10段階調節できるのが特徴です。操作が簡単なので、その機能を目当てに購入する人も少なくありません。また、ソニーのWI-1000Xと聴き比べて、BOSEのほうが首の回りにフィットするという人や、ノイズキャンセリングの音の消し方が自然だという人も多いです」(ヨドバシカメラ山崎さん)。

傾向として、ソニーを選ぶ人はAndroidスマートフォンやウォークマンを利用している場合が多く、BOSEはApple製品との親和性が高いためiPhoneユーザーに選ばれる傾向にあるとのこと。ソニーは低音と高音が強く、中音が弱いドンシャリ系ですが、BOSEは音楽を聴いた後の聴き心地のよさやストレスのない滑らかな音を目指しているため、音質がまったく違うそうです。

  • メーカー: BOSE
  • 型番:QuietControl 30 wireless headphones
  • 連続再生最大時間:約10時間
  • ヨドバシドットコム特別価格:3万4560円(税込)

【4位】AKG「N20NC」

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

回路とバッテリーが組み込まれたモジュールがついている、有線タイプのモデルです。「AKGもソニーやBOSEと並ぶ老舗のメーカーで、オーディオファンでは有名。定価18,000円で販売していたクオリティのイヤホンを採用しているため、音質は申し分ありません(ヨドバシカメラ山崎さん)。

Bluetoothイヤホンとは違いバッテリーを気にする必要がほとんどないため、最大20時間利用できるのも魅力です。また、電源オフ時にも通常のカナルイヤホンとして使用できるので、出張先や旅行先でバッテリーが切れてしまったときや、バッテリーを節約したいときにも便利です。

  • メーカー: AKG
  • 連続使用最大時間:約20時間
  • ヨドバシドットコム特別価格:1万6070円(税込)

【低価格でおすすめ】ソニー「MDR-EX31BN」

ノイズキャンセリングイヤホン 売れ筋ランキング 選び方

「受信機をクリップのように、服に留められるモデルです。Bluetoothイヤホンの先駆けとして最初はこのようなタイプが多かったのですが、今はその部品をイヤホン本体やネックバンドに埋め込めるようになったので消えていきました。しかし、その中でもいまだに残っている人気機種で、安価であることがウリの商品です。1万円程度でワイヤレスとノイズキャンセリングの両機能が手に入るため、それを簡易的に楽しみたい人に人気です」(ヨドバシカメラ・山崎さん)。

イヤホン本体の性能としては4000~5000円程度とのことでしたが、ノイズキャンセリングを手軽に楽しみたいという人にはうってつけの商品でしょう。

  • メーカー:ソニー
  • 対応プロファイル:A2DP、AVRCP、HFP、HSP
  • 対応コーデック:SBC、AAC、aptX
  • 連続再生最大時間:約9時間
  • 連続通話最大時間:約6.5時間
  • 連続待受最大時間:約30時間
  • ヨドバシドットコム特別価格:8020円(税込)

構成・文:吉成早紀

編集:アプリオ編集部

取材協力:ヨドバシカメラ