Googleは2023年8月30日、Googleを利用した検索に対してAIが回答してくれる「生成AIによる検索体験（SGE-Search Generative Experience）」の提供を、日本国内でも開始したと発表しました。
Google検索のSGEは、2023年5月のGoogle I/O 2023で発表され、米国内のユーザー向けに提供が開始されていました。今回、日本国内でもSGEの試験運用が開始され、ユーザーはSearch LabsにGoogleアカウントを登録すると、デスクトップのChromeブラウザとスマホのGoogleアプリでSGEが利用できるようになります。ただし、Search Labsに登録できるアカウントは個人のGoogleアカウントのみで、Google Workspaceに登録しているアカウントは登録できません。
SGEを利用すると、ユーザーの検索ワードに対してAIが複数の情報源（Webサイト）から情報を整理して回答を生成してくれます。ユーザーは、回答に表示されるWebサイトへのリンクから、AIによる回答に含まれる情報を掘り下げて調べることもできます。AIによる回答は検索結果の最上部に配置され、回答の下部に従来のような検索結果がリストで表示されます。ただし、検索広告のみは「スポンサー」と明示された形でAIの回答の上部に置かれます。
AIによる回答には、関連する候補の質問や「追加で聞く」オプションが用意されています。検索ワードから生成された回答から、さらに詳しい内容を聞きたいときや新しい疑問が生まれたときなどに利用できるでしょう。質問から質問へ移行する際には、これまでの文脈が引き継がれるため、前提などを踏まえながら自然に質問を続けられます。
Googleによると、すべての検索結果において生成AIの回答を表示するわけではなく、質問の種類に応じて関連する質問に対してのみ起動するようになっているとのこと。対応しない質問については、これまでのように結果で表示されるWebサイトから情報を収集する必要があります。生成AIによるSGEのモデルは、今後もさらにアップデートしていく予定だとしています。
Google検索への生成AIの統合は、情報収集の効率を高める画期的な新機能です。その一方で、コンテンツ（Webサイト）を提供している側にとっては、情報のみAIに吸い上げられWebサイトへのアクセスを奪うものであるとも言えるでしょう。実際に検索結果画面におけるAI回答の幅は大きく、通常の検索結果までにスクロールが必要です。そのため多くのユーザーは、画面上部に表示されるAI回答のみを閲覧する行動をとる可能性があります。現時点では限られた質問に対してのみ表示される形となっていますが、今後の運用の仕方によってはWebサイトがGoogleのAI回答の“養分”となってしまう懸念も拭えません。