Googleは2023年5月10日(米国時間)、デベロッパー向けイベント「Google I/O」を開催。基調講演において、チャットAI「Bard」の日本語対応や、次世代言語モデル「PaLM 2」の発表しました。Google検索では、生成AIを統合する試験が開始されます。
「Bard」が日本語に対応

Bardが日本語と韓国語に対応
GoogleのチャットAI「Bard」を多言語で利用できるようになります。まずは日本語と韓国語に対応し、近日中に40以上の言語もサポートする予定です。すでにBardの日本語版は利用可能となっており、BardのWebページにアクセスして日本語で質問をするとAIの回答が日本語で返ってきます。
自然言語のサポート拡大に加えて、20以上のプログラミング言語もサポート。Bardでさまざまな言語でプログラムの生成が可能になります。
Bardの利用にはこれまでウェイティングリストへの登録が必要でしたが、ウェイティングリスト制度を廃止したことも明らかにされました。180カ国以上でもBardがサポートされ、対象地域に住むユーザーであれば誰でもBardを利用できるようになった形です。
次世代大規模言語モデル「PaLM 2」が発表

次世代言語モデル「PaLM 2」が発表
Googleによる大規模言語モデルの最新モデルとして「PaLM 2」が発表されました。PaLM 2は、多言語、推論、コーディング機能が向上しており、100以上の多言語テキストで学習をしています。多言語での学習によって、慣用句や詩、なぞなぞのようなニュアンスを必要とする表現を、複数の言語で理解、生成、翻訳するといった性能が大幅に向上しています。
また、PaLM 2のデータセットには、科学論文やWebページも含まれており、ロジックや常識に基づく推論、数学に関する能力も向上しているとしています。さらに公開されている大量のソースコードデータセットでの学習によって、さまざまなプログラミング言語でコードを生成できるようになっています。

PaLM 2は用途に応じて4つのサイズを用意
PaLM 2には、用途に応じて「Gecko」「Otter」「Bison」「Unicorn」の4つのサイズが用意されています。プレゼンでは軽量モデルのGeckoについて触れられました。Geckoはモバイル端末での使用を想定した軽量モデルで、オフラインの状態でも利用可能です。
PaLM 2は、発表と同時にプレビュー版として公開されました。また、GoogleのAIチャットボット「Bard」にも、これまでの言語モデル「LaMDA」に代わってPaLM 2が新たに搭載されています。
Google検索に生成AIを導入

検索トピックに対するAIの回答が検索結果上部に表示される
Bardの導入時からGoogleは、検索への生成AI統合について言及してきました。今回のGoogle I/Oでは、Google検索に統合する生成AIをSGE (Search Generative Experience) と名付け、そのデモを公開しました。
SGEは、新しく開設された試験サービス「Search Labs」内で、今後数週間のうちに米国のユーザー向けに提供が開始される予定。SGEの利用にはウェイティングリストへの登録が必要となります。
SGEが導入されたGoogle検索では、検索トピックに対するAIの回答が生成され、検索結果上部に表示されます。AIによる回答の下部には、通常のGoogle検索のように関連度の高いWebサイトがリストで並びます。
AIによる回答の横には関連情報を掲載するWebサイトへのリンクが表示されます。ユーザーは質問内容に関してさらに情報を深めたいときは、自身で関連トピックを扱うWebサイトを開いて情報を確認できます。
ChatGPTのような会話モードも利用可能。会話形式での質問に対して、SGEは直前の検索の文脈に基づいた回答を返してくれます。
今のところSGEは実験段階に留まっていますが、Googleは実験結果を何らかの形でGoogle検索に取り込むことを明言しています。Googleは従来から、さまざまなAIを検索機能の裏側で活用してきました。しかし今回、OpenAIのChatGPTやマイクロソフトのBingチャットの攻勢に対し、SGEでは一転して検索の表側でユーザーにAIを体験させる道を選びました。