Appleは2023年1月24日、「iOS 16.3」アップデートの配信を開始しました。緊急通報をするための操作手順の変更や、Apple ID用のセキュリティキーへの対応が含まれています。

緊急通報の発信にボタンを放す操作が必要に
iPhoneでは、サイドボタンと音量ボタンを同時に長押しすることで緊急通報をするための画面を表示でき、長押しの状態が続くとカウントダウンのあと自動的に緊急通報が発信されます。長押しのみの操作となるため、バッグやポケットの中で意図せず両方のボタンが押された状態となり、誤って緊急通報がされてしまうというケースもあるようです。
両サイドのボタンの長押しがカウントダウン終了後も続くと、自動的に警告画面が閉じられる(SIMを抜いた状態で検証)
iOS 16.3では、そういった意図しない緊急通報を防ぐため、両サイドのボタンを長押ししてカウントダウンが終了したあと、緊急通報を発信するにはボタンを放す操作が必要になりました。両サイドのボタンの長押しが継続され、カウントダウンが終了すると緊急通報を発信するために指を放すよう音声でアナウンスがされます。カウントダウン終了後、長押しの状態で約10秒経過すると警告画面から元の画面に戻るため、押しっぱなしの状態では緊急通報がされなくなりました。とはいえ、バッグやポケットの中から警告音が聞こえてきたら、焦ってスマホを探してしまい、結果として長押しが解除され緊急通報が発信されてしまうのではないかという懸念もあります。
また、Apple IDで2ファクタ認証を利用してサインインする際に利用するセキュリティキーにも対応します。セキュリティキーは小型の外部デバイスで、フィッシング詐欺などの攻撃を防ぐことができます。セキュリティキーを利用するユーザーは、Apple IDで2ファクタ認証を使ってサインインする際に、セキュリティキーがないとサインインできなくなります。
そのほか、先日発表されたHomePod(第2世代)への対応や、iCloudのエンドツーエンドで暗号化されるデータのカテゴリ拡大なども含まれています。リリースノートは以下のとおり。
- 黒人歴史月間を記念して黒人の歴史と文化をたたえる新しいユニティの壁紙
- iCloud用の高度なデータ保護により、エンドツーエンドの暗号化で保護されるiCloudデータのカテゴリが、iCloudバックアップ、メモ、写真を含む合計23種類に拡大し、クラウドでデータ漏洩が起きた場合でも情報を保護することが可能
- Apple ID用のセキュリティキーを使用すると、新しいデバイスでの2ファクタ認証によるサインイン時に物理的なセキュリティキーがないとサインインできなくなり、アカウントのセキュリティを強化することが可能
- HomePod(第2世代)に対応
- 緊急SOSで意図しない緊急通報を防ぐために、サイドボタンと、上下どちらかの音量ボタンを長押ししてから放す操作が必要
- フリーボードで、Apple Pencilまたは指を使って描画した筆線が共有ボードに表示されないことがある問題を修正
- ロック画面の壁紙が真っ黒になることがある問題に対処
- iPhone 14 Pro Maxのスリープ解除中に横線が一時的に表示されることがある問題を修正
- “ホーム”のロック画面ウィジェットにホームAppの状況が正確に表示されない問題を修正
- Siriがミュージックのリクエストに正しく応答しないことがある問題に対処
- CarPlayのSiriへのリクエストが正しく認識されないことがある問題を解決
iOSのアップデート手順については下記記事で解説しています。