モトローラは、他社とは異なるコンセプトのスマホを展開しています。それが今回紹介するmoto Zシリーズで、「Moto Mods」と呼ばれる専用の周辺機器を背面に取りつけて機能を拡張できます。この秋にもmoto Zシリーズの新モデル「moto z3 play」が登場したのでレビューしていきます。
価格は直販で6万1344円(税込)と、位置付けは中級クラスです。詳しくは後述しますが、スペックは上々で安っぽさは皆無です。10万円超えクラスの高級スマホには手が届かないけれど、ちょっといいモデルを探している人にはおすすめの製品となっています。
【2018年後半】SIMフリースマホ おすすめベスト5機種、すべて詳細レビュー付き
男性向けのデザインで高級感も
moto z3 playはとてもスリムなモデルで、最薄部は6.75ミリ。カメラ部分を除くと、板のようにフラットなデザインです。さらにディスプレイが6.01インチと大きめなので、実物を目にすると「薄い」と思う人がほとんどでしょう。最近流行のワイドタイプのディスプレイですが、上下に額縁が残っているのでやや大ぶりです。
サイズはほぼ「iPhone XS Max」と同様で、手の小さな女性にはやや厳しいかもしれません。また、本体カラーは「ディープインディゴ」と呼ばれる濃紺の一択です。黒に近い濃紺で、背面などがミラー仕上げになっており、高級感はバッチリです。
ただ、とても男性っぽいデザインであることは否めません。もちろん、明確に性別が分けられているわけではありませんが、Moto Modsを取り付けるガジェットっぽさも相まって、モノ好きな男性諸氏におすすめです。ただし、スタイルキャップなどのMoto Modsを利用すれば、外観の印象は変えることができます。
新登場のmoto z3 play
背面はミラー仕上げで、カメラが円形の突起になっている
左のiPhone XS Maxと比べてもサイズ感は近い
付属品が充実で初心者にも向く
moto z3 playの付属品はなかなか親切で、充電器とケーブルに加えて、イヤホンとイヤホンの変換アダプターが付属します。初めて購入するユーザーでも、これならすぐに使えます。充電器は18Wの急速充電に対応します。
付属品は初心者にも親切だ
気をつけたいのは、通常のイヤホンの接続には付属の端子が必要になることです。最近の上位モデルはその多くがイヤホン端子を排除していますが、moto z3 playも同じ考え方なのでしょう。アダプターでイヤホンをつないでもちろんよいのですが、充電中は音楽が聴けないという重大な欠点があります。今後イヤホンはワイヤレスタイプがおすすめなので、予算に入れておくとよいでしょう。
生体認証は指紋センサーが用意されています。その位置が、最近では珍しい本体側面になっています。この位置は人によっては使いやすいのですが、本体が大きいので少々微妙です。右利きの筆者の場合は、左手で持って右手人差し指を当てるのが現実的でした。片手で解除しづらいのがいただけません。
指紋センサーは本体の側面に位置している
充電はUSB-C端子なので使いやすい
DSDSにも対応する
moto z3 playのSIMカードスロットは2つ用意されており、両スロットともにLTEをサポートします。どちらもnanoSIMですが、1枚はmicroSDカードとの排他利用になるので、3スロットモデルに比べるとやや使い勝手が悪くなります。
SIMトレーは2枚セットできる
DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)に対応しますが、LTEは同時に1つのSIMでしか利用できません。また、対応するバンドは以下のようになっています。Wi-Fiが11.ac、Bluetooth 5.0に対応するのが嬉しいところです。
- 4G: B1 / B3 / B4 / B5 / B7 / B8 / B12/ B17 / B18 / B19 / B26 / B28 / B38 / B40 / B41
- 3G: B1 / B2 / B4 / B5 / B8 / B19(B6含む)
- 2G: 850MHz / 900MHz / 1800MHz / 1900MHz
moto z3 playの気になる性能は、中の中といったところです。ベンチマークのスコアは最上位モデルに比べるとかなり劣りますが、2〜3年使うなら十分。価格を考えれば妥当でしょう。現時点ではヘビーなゲームも普通に楽しめます。ただし、1〜2年後には厳しくなりそうです。
ベンチマークのスコアは中の中といったところで、現時点では不満なし
この価格帯で有機ELを採用するのがすばらしい
moto z3 playのディスプレイは、ワイドタイプのフルHD+で2160×1080ドットです。解像度は最近の製品ではごく普通で、6.01インチの大画面モデルとなっています。
注目したいのが、液晶ではなく有機ELを採用する点です。これまでは主に10万円クラスの最上位モデルが採用していたディスプレイが、中級クラスまで降りてきたのです。液晶に比べると文字のキレがよく、とても読みやすくなります。また、写真も美しく表示します。
同じ有機ELのiPhone XS Maxと比べると、輝度で負けているのでやや暗く感じますが、普通に使うなら十分でしょう。iPhone XS Maxは明るすぎるため、普段から最高輝度にしている人は少ないはずです。ただ、まぶしくて見づらい明るい屋外で使う際には大きな差になります。
強度の高いゴリラガラスを採用し、縁(フチ)を丸くした2.5Dガラスとなっています。外観、液晶とも高級モデルに匹敵すると言ってよいでしょう。
iPhone XS Max(左)と比べると、moto z3 playのディスプレイはやや輝度が落ちる
斜めから見ても、両モデルともにくっきりとしているのはさすがに有機ELだ
専用周辺機器「Moto Mods」で楽しく遊べる
Moto Modsはmoto zシリーズで共通して使える周辺機器で、本体の背面に取り付けます。追加のバッテリーやスピーカー、360度カメラ、プリンターなどが登場しており、どれも単体製品を買ってもよいのですが、ケーブルの接続などを考えなくてもよいのがメリットと言えるでしょう。
いろいろなMoto Modsが利用できる。写真上はスピーカー、左が360度カメラ、真ん中がプリンターだ
今回は、そんな中からポラロイドのプリンターを試してみました。価格はAmazonで約1万7000円。専用の用紙は20枚で1800円程度と、ちょっと高いのがネックです。
使い方は簡単で、ポラロイドのMoto Modsをセットしたら、画面の指示に従ってアプリをインストールします。あとは撮影するか写真を選んで、プリントボタンを押すだけです。さすがにプリンターは大きく、背面が少々出っ張ってしまいますが、外付けのプリンターをケーブルで取りつけたり、ワイヤレスで使ったりするよりは勝手がよくなっています。
パーティーなどで撮影して、すぐ印刷して配れるのはなかなか素敵です。写真のサイズは名刺より小ぶりになります。moto zシリーズが登場した時には、専用周辺機器のMoto Modsがいつまで使えるのかと不安になりました。しかし、末永く使えているのは高く評価できます(もちろん、次のモデルで使えなくなる可能性もあるわけですが……)。
今回はポラロイドのプリンターを試す
装着したら画面の指示に従って操作するだけ
途中でアプリのインストールが必要なので、使う際には事前に準備しておきたい
アプリから写真を撮影してそのまま印刷
サイズは小さいが、まずまずの美しさだ
カメラはiPhoneにはかなわないが及第点
moto z3 playのカメラは、1200万画素と500万画素のデュアルタイプです。2つ目のカメラはワイドや望遠などではなく、鮮やかな写真を撮るために利用されています。また、背景をぼかしたポートレート撮影にも対応しています。
今回は、同じデュアルカメラのiPhone XS Maxと比べてみました。細かく比較すると、iPhoneのほうが鮮やかに撮れています。しかし、moto z3 playのカメラも決して質が低いわけではありません。よほど写真にこだわりがない限り、これで十分だと思うユーザーが多いでしょう。
通常撮影
上:moto z3 play、下:iPhone XS Maxで撮影。iPhoneは背景の空に青味が残っているが、moto z3 playは真っ白になっている
近接撮影
左:moto z3 play、右:iPhone XS Maxで撮影。iPhoneのほうが全体に明るく花が美しい
背景ぼかし
左:moto z3 play、右:iPhone XS Maxで撮影。背景をぼかした写真は、さすがにiPhoneのほうが自然だ
暗所撮影
左:moto z3 play、右:iPhone XS Maxで暗い部屋で撮った写真。moto z3 playのほうが明るいが、窓が白飛びしている
まとめ
moto z3 playの最大の魅力は、6万円程度という価格です。このプライスで有機ELを採用し、カメラの写りも程々です。さらに、Moto Modsというライバルにはない特徴も持っています。周辺機器を買うかどうかはユーザー次第ですが、バッテリーパックは確かに便利でしょう。
個人的には、このクラスのスマホとしてはイチオシです。ただ、5〜6万円のモデルはすべてを満たすわけではありません。moto z3 playはディスプレイの美しさで秀でていますが、性能は同じ価格帯のZenFone 5Zに遠く及ばず、ZenFone 5にも負けています。美しいディスプレイを取るか、末永く使える性能の高さを選ぶかはユーザーの判断です。両方を望むなら、10万円程度の予算が必要になります。
構成・文:戸田覚
編集:アプリオ編集部