ガンジーの言葉とラブコメディの見事なコラボ? セレーナ・ゴメスの魅力爆発の映画『恋するモンテカルロ』

ガンジーの言葉とラブコメディの見事なコラボ? セレーナ・ゴメスの魅力爆発の映画『恋するモンテカルロ』

「世界を変えようと思ったら、まずは自分を変えなければならない」

これはマハトマ・ガンジーの言葉です。本作の冒頭、高校の卒業式で読まれるこの言葉がそのまま映画のメッセージになっています。映画『恋するモンテカルロ』は、高校の卒業旅行でフランスを訪れる3人の女の子の恋と成長を描くラブコメディですが、ガンジーの言葉をなぞるように、田舎町の普通の女の子たちが変わっていく姿が生き生きと描かれています。憧れのパリへの旅行で、思いがけぬ騒動と出会いを経験し、3人の女の子が素敵な女性へと成長する姿を描いた作品です。

ガンジーの言葉とラブコメディというのは異色の組み合わせというか、ミスマッチな感じがするかもしれません。ティーンエイジャーが広い世界を体験し、成長の糧とする様が描かれていて、青春映画としても秀逸です。

災難続きの旅行で成長してゆく3人の女の子

テキサスの田舎町に暮らす女子高生のグレース(セレーナ・ゴメス)は、卒業旅行で憧れのパリに行く資金を貯めるべく、ウェイトレスのバイトをしています。年上の親友エマと2人で行く予定でしたが、2人だけでは心配と、再婚した両親の連れ子のメグも一緒に行くことに。真面目なメグと奔放なエマは犬猿の仲で、パリについてもしょっちゅう揉める始末。しかも、選んだ激安ツアーが最悪で、まったく楽しくないパリ旅行になってしまいます。

しかし、ある時、グレースが有名な資産家令嬢と間違えられてしまい、3人はモナコのモンテカルロに行くことに。グレースは、その令嬢と瓜二つ。モンテカルロではチャリティオークションが開催される予定なのですが、3人は資産家になりすまし、豪華な接待を受けることにします。

はじめは反対していたメグも、オーストラリア出身のイケメンと出会い、徐々にゴージャスなバカンスを満喫するようになっていきます。一方、エマは本物のセレブたちに囲まれて、自分の住む世界との違いを思い知らされショックを受けます。グレースは、なんとか令嬢のフリをしようとがんばるものの、ボロが出てしまい、令嬢の叔母に正体がバレてしまいます。そして、オークション開催者の資産家の息子と良いムードになるグレース。本当の自分を隠していることに罪悪感も覚えながらも、このオークションが恵まれない子どものための学校建設の資金に充てられることを知り、なんとかオークションを成功させたいと願うようになります。しかし、本物の令嬢がグレースたちの存在に気づくなど、3人はピンチに。嘘を続けるべきか、3人は決断を迫られます。

堅物のメグは素敵な男性と出会い、開放的な性格になっていき、奔放なエマが逆に自分を見つめ直して地に足ついた自分と向き合うようになります。世界のことなど何も考えてこなかったグレースも、高校卒業後にはボランティアに従事するなど、三者三様の成長が描かれます。「世界を変えようと思ったら、まずは自分を変えなければならない」の言葉どおりに、自分を変えていくことで世界を良くする事業に参加する主人公の姿に共感を覚えます。

主人公と重なるセレーナ・ゴメスの魅力

本作の主人公を演じるのは、ティーンエイジャーに絶大な人気を誇る歌手・女優のセレーナ・ゴメス。彼女の等身大の魅力が存分の生かされていて、普通のティーンと生意気な令嬢の2役を見事に演じています。

彼女は、ユニセフ親善大使を務めたこともあり、社会貢献活動にも熱心。そんな本人の姿勢と、騒動を通じて学校建設のボランティアに従事する道を選ぶ主人公の姿が重なります。

堅苦しくさせず、社会に貢献してゆく姿勢をみせる本作は、セレーナ・ゴメス抜きには成り立たなかったでしょう。ガンジーのメッセージを軽やかに見せてくれる秀作です。

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構成・文:杉本穂高
編集:アプリオ編集部